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ミュゼの魔法  作者: majica
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もうひとつの世界

閲覧いただきありがとうございます!

ぼちぼち描いていこうと思うので暇つぶし程度にお読みください!

真っ赤に燃える空


夕日に焦げた人の匂い


血まみれの白髪の女性


彼女は私の手を握りながら必死に訴える


「ごめんなさい…もっと一緒に居たかった。ただみんなの為にやってきたのに全て無駄だった…みんな…みんな…ごめんなさい。」



「ミュゼ…あとは頼みます…」



_________


……と


………い…


「八重兎(やえと)起きなきゃ、次移動教室だよ」


「え?」


何だか長い夢を見ていた。

長い白髪の女性どこかで見た気がするけど思い出そうとすると頭が痛い。目の奥が熱くなる。


「…いてて」


「大丈夫?保健室行く?」


そう言って彼女は顔を覗き込んできた。

真っ白な髪に真っ青な瞳。同じ人とは思えない容姿をしている。彼女は僕の双子の妹だ。とは言っても僕はごく普通の黒髪に茶色の瞳。彼女はいわゆるアルビノと呼ばれる染色体異常から産まれる珍しい病気の持ち主だが、光に少し弱いくらいで日常に支障はない。むしろ元気過ぎるくらいだ。僕達は兄妹だか共に住んでいる訳では無い。父と母が死んでから10年、僕たちは別々の親戚に引き取られ暮らしている。父は元々資産家で今まで特に不自由することなく過ごすことが出来た。両親が死んでから弟の「良樹」さんの家に引き取られ本当の家族のように過ごしてきた。彼の妻もまた僕に優しく父と母の顔が思い出せなくなるまでそう時間はかからなかった。でも、「世羅」は時々寂しそうな顔をする。彼女は父の妹の家に引き取られたが、彼女の夫は有名画家で彼の家もまた裕福だった。しかし、政治家と結託し他の画家を潰しているなど悪い噂は絶えなかった。また、「昌美」叔母さんも世羅をよく思っていないようでアルビノの彼女を気味悪がっているようだった。


「ぼーっとしてないで、体調悪いなら早く保健室にいく!」


「ごめん、ごめん大丈夫だよ」


僕ら2人の関係を学校側は把握しているようでわざわざ同じ教室にしてくれたり、家庭環境など気にかけてくれているようだった。


教室の扉がガラガラと開く


「すまん。今から雨が降るみたいだから、体育館に変更するとクラスのやつに伝えてくれるか?これから体育館使用許可の申請を貰いにいかなきゃならんから少し遅れる」


体育の米沢先生だった。


「先生構いませんがなにをするんですか?」


「特にきめてないから好きにボール遊びでもしててくれ」


「ボール遊びって…分かりました伝えておきます。ほら、八重兎着替えて行くよ」


「ハハハ。出来ると妹を持つのも大変だな」


「先生笑ってないで今日は休みにしましょうよ…」


「私も学校から怒られるからなすまんな」


そう言って先生は教室を出た。

その後すぐに僕達もグラウンドに向かいみんなに先生からの伝言を伝えた。


ーーーーーーーー

「はぁ〜、ダルすぎる…スポーツが必要なのはアスリートか野生人くらいだろ…」


「そんな事ないよ。スポーツは健康には欠かせないんだからあなたもバスケ参加してきたら?」


先生のはからいで男子はバスケ女子はバトミントンとなったのだが自由参加ということになったので端に座って時間が過ぎるのを待っていたのだが隣にはうるさい妹がいる。


「世羅お前もバトミントン参加してこいよ呼ばれてるぞ」


「ラケットの数に限りがあるの。みんなで交代しないと不公平でしょ?」


「あ、世羅さんこっちに来たんだね一緒バスケどう?」


世羅に興味ありそうな男子が近づいてきた。


「ごめんねこの後またすぐ戻るのまた、バスケ授業で是非一緒にやりましょ」


世羅がそう言うと男子はすごすごと帰っていく。

「世羅さんまじ可愛いよな…なんであんな陰キャと双子なんだろうなまじ似てない笑」

普通に聞こえてるっつーの!!!!


「あんたも少しは言い返しなさいよ。」


不安そうな目で僕をみる

「嫌だよめんどくさい。その労力が無駄だね」

「そうやって何でもめんどくさがってるといつか本当に大事なもの失うよ。」


「わかってるよ…でも今はまだやる気が出ないだけ」


「あのね、だからそういう…」

「世羅ちゃん!次順番だよ2組でやろうって!」

「あ、分かったすぐ行くね」


「今は兄妹でお互い頑張らなきゃ。今できることをちゃんとするんだよ」


そう言って友達の元に戻って行った。

余計なお世話だよ。僕は母さん父さんが死んでから時が止まってしまったようになぁなぁで暮らしてきた。

良樹さんは良くしてくるし特に不満はない。だけどまだ、何もできる気がしない。

両親が死んでから何度かカウンセラーの元に通っていた。カウンセラーによると間近で両親の死を見てしまったようで心的ストレスによる気分の落ち込みが原因では無いかと言われた。ただ、両親の顔もなにも思い出せずただぽっかり心に穴が空いたような時間が過ぎていくだけだ。

分かっている動き出さないと行けないことを。前に進まないと行けないことを。だけど、きっと僕はあの時何も出来なかったんだ。無力で無能で無知で何も出来ずただ立っていることしか出来なかったんだ。だからこんなにも胸を押さえ付けるような罪悪感に飲み込まれそうになるんだ。


「おい、八神保健室に行くぞ」


「米沢先生」


「酷い顔だぞ、体調が悪いならはっきり言え」


「いえ、体調が悪い訳ではな…」


「みんな!1人保健室に連れていくからそのまま続けていてくれ。何かあれば体育準備室にほかの先生がいるからよろしく」


「ほら、こい…」


そう言いながら半ば無理やり保健室に向かった


ーーーーーーー


「八神あのな。辛いことがあるならなんでも相談しろ」


「米沢先生保健室でタバコはやめてください」


保健室の白露先生が怒る。


「白露先生私とあなたの仲じゃないですか。それに1本だけだし煙出ないやつなんで」


「体調悪い生徒もいるので本当にやめてください」


この人はなんで教師でいられるんだよ。自由すぎるだろ


「ごめんなさいね。八神くん。どこか体調でも悪いの?酷い顔よ」


「いえ、どこか悪い訳ではなく。昔のことを思い出したような気がして」


「先生達もあなた達のことはよく聞いているわ。きっとすぐに良くならないのかもしれないけれど私達はあなた達の力になりたいと思ってるの。好きな時にここ(保健室)を使ってくれて構わないからね」


そう白露先生はニッコリ笑う。


「はい、ありがとうございます。でも、何も思い出せないのでなにも相談出来なくて」


「いいのよただ、辛いだとか悲しいだとかそれだけでもいいのゆっくり休むことは大事なことよ。疲れた分休むそれは当たり前の事だし、その長さは誰かに決められることでは無いわ」


「白露先生いいこと言うね。じゃあ私もしばらくここで休んでいこうかな」


ピンポンパンポーン…

「米沢先生、至急体育館にお戻りください。」


「こんな時になんだよまた、ガキ共がふざけてるんじゃないだろうな」


「授業計画も出さずに勝手にレクリエーションなんかにするからじゃないですかね」


「白露先生なんでそれを知って…ハッ…まさか白露先生が密告したのか」


「教師として当たり前の事です。早く戻りなさい。後タバコは没収です。」


「くそ〜。サボれると思ったのに…酷いよ…

まぁ八神、あとは適当に先生が言い訳しとくからゆっくり休め」


「はい分かりました。ありがとうございます。先生。」


ここの先生は優しい。今の両親も世羅だってクラスでもイジメなんてないし本当に恵まれていると思う。だけど、だからこそ進めない僕が惨めに感じる。

僕の両親が死んで先生達と話すようになり少しづつ前に向かっているような気はする。ただ、それがたまにうっとおしく腹立たしく感じることもありなんとも言えない焦燥感を生み出していた。


_______


「じゃあ、私は部活があるから気をつけて帰ってね」


あっという間に放課後になり、教室から人がバラバラといなくなる。


「お前、いつも部活にバイトに遅くまで頑張ってるけどよく体壊さないな」


「私は元気だけが取り柄だしね〜、それにいつかこの頑張りを見てくれる素敵な御曹司にここから連れ出してもらうんだから」


そう目を輝かせながら世羅は自分の夢を語る


「いつもそれ言ってるけど、十分人気なんだから選び放題だろ」


「私のことちゃんと見てくれる人は、私のことほっとかないよ。ずっとそばに居てくれる人がいいもん」


そう言いながら少し俯き、悲しそうな顔をする


「世羅……お前無理してるんじゃ……」


「あ、やばい遅刻する!じゃあまた、明日ね」


そして、慌ただしく教室を後にしていた。

______

僕はずっと世羅の事が気になっている。

兄妹としてではなく、ずっと目でおってしまうようなそんな感じてはいけないような気持ちだ。

だから、今日の世羅はなんだか変だった。

どこか遠くを見ているような、どこか辛そうなそんな表情だった。あんな顔、小さい頃から見たことがなかった。ずっと一緒だったのに世羅に何かあったのだろうか。


「ただいま〜」


「おぉ、八重兎。おかえり、今日の学校はどうだった」


「おじさん今日は早いね」


「今日はこの後嵐になるらしくてさ、職場で早く帰ろうってことになってみんな早上がりだよ」


「え、そうなんだ。全然知らなかった」


「この後雨が降り出すみたいだから運が良かったな。後今日は大好きなカレーだぞ」


「そうなんだ、ありがとう。荷物片付けてくるよ」


「おう、宿題があるなら早めにな〜」


「わかってるよ」


そう言いながら自室に戻った。

もう10年、おじさんおばさんには良くしてもらってる。母も父も失った俺を血の繋がりだけで迎え入れてくれて当時のことは何も聞かないでただ、寄り添ってくれる。僕はとても運がいい。だからこそ、前を向いて頑張らないといけないのに。


「僕は一体いつまでこうなんだろな……」


来年には受験がある。

こうしてウジウジしてられるのも今のうちだ。

進路を決めて歩き出す道を自分で探すまでタイムリミットは近づいていた。


「いただきます。」


「はい!たーんと召し上がれ!

今日は特性ポテトサラダ付きです!」


「おばさんこんなにあっても食べれないよ」


「あら食欲ないの?」


「いやそうじゃなくて量が多いって話だよ」


「また、明日にでも食べればいいじゃない」


「そうだぞ!でも俺が今日全部食っちまうかもな、ハハハ」


明るい食卓。優しい義両親。ほんとに僕はここにいていいんだろうか……僕の居場所はここなんだろうか


_____

ジリリリリリリリリ


けたたましく電話がなる


「やべ……課題あるのに寝ちゃってた……」


電話の相手は……

世羅だ。


「はい……ごめん寝ちゃってて急ぎの用事?」


「八重兎……私、私ね……」


あまりにもいつもと様子が違う世羅に、落ち着くようにゆっくりとはなす


「うん、どうしたの?なんかあった?」



「私ね_______」


「うん。」














「-------------死にたい-----------」














その瞬間、大きな音ともに雷が落ちる。



「今どこ?今すぐそっちくよ。だからお願いそれまで待ってて」


慌てて上着を羽織り玄関をあける


「どこ行くの?これから嵐よ」


「おばさんごめん。でも緊急事態なんだ」


「わかったわ、車だそうか?」


「いや、僕だけで行かなきゃ」


「そう、絶対危ないことはしないでね」


「うん、約束するよ」



______


雨が強い……早く、早く行かないと

世羅……世羅……叶うことなら君の隣は……


「八神!!」


振り返ると車に乗った米沢先生がいた。

助手席には白露先生が心配そうにこちらを見ている。


「今から嵐だぞ、どこへ行くんだ」


「世羅が大変なんだ、急がないと」


「あの子が?ちょっと……」


先生の静止を振り切り先を急ぐ


---------


「夜分にすみません。世羅は、世羅はどこにいますか?」


「こんな夜になによ」


昌美おばさんがうっとおしそうにでる


「すみません。世羅はどこですか?」


「何よ急に、こんな日に迷惑よ」


おばさんの静止を振り切り世羅の部屋へ向かう

部屋には居ない

おばさんの言い方からするに家にはいるのだろうだけど会わせたくない何かがある


「世羅!!」

名前を呼びながら片っ端から部屋をあける


奥から世羅の義の父である誠司さんが出てくる

「なんだいったい」


心臓がバクバクしている。

本当に嫌な予感がする。冷や汗が流れるのが分かる


「世羅……」


おじさんの横をすり抜け奥の部屋に向かう


そこには半裸で震えている世羅がいた。


「世羅……お前……何があった」


「八重兎……私……私……」


涙がボロボロこぼれ落ちる世羅を抱きしめる


「ごめん……ごめん気が付かなくて……1番近くに居たのに……」


世羅がずっと寂しそうな顔をしていた理由。

お金には困っていなのに夜遅くまで家に帰らない理由。

ずっと誰かにそばにいて欲しかった理由。


僕が気が付かないといけなかった理由。





義両親からの虐待だった。



まさか、まさか義理の親とはいえ……娘に手を出すなんて……

おばさんの様子からするにおばさんも知ってはいたのだろう。気持ち悪い。本当に気持ち悪い。


全員殺してやりたい。

でもどうすればいいんだ……この嵐の中家に連れて帰れるのか。連れて帰ったところでまた、連れ戻されるのではないか。これ以上、優しい良樹おじさんおばさんに迷惑をかけるのか……どうすればいいんだ。


誰か……誰か助けてくれ……

誰か……力ない僕を……世羅を……


助けてくれ


「承知した。契約に従いお前の右目の代わりに力をかそう」


目の前にはツインテール銀髪の少女が現れた。


「君は……」


「お前の母君から契約を交わした従者。摩虎羅。」


「誰でもいい助けてくれ」


「あなた誰と話しているの。頭でもおかしいんじゃないの」


「承知した。」


彼女の目が真っ赤に染まる。

辺り一面が黒い霧に覆われ周りが暗くなる


「なによ、なによこれ……」


おばさんが顔を掻きむしり

おじさんはなにかに怯え腰が抜けている。


「なにをしたんだ……」


「何ってこやつらを殺せばいいのだろ?たんと苦しめて殺してやらないと」


彼女は不気味に笑い。その目は禍々しく赤く輝く


「八神!!!」


「先生!?」


なんで先生がここに……


「これはまずいわね……浄化の力をお貸しください

ディスペル」


白露先生がそう告げると周りの霧が晴れ始め周りがクリアになる


おじさんは泡を吹きながら痙攣し

おばさんは顔が血まみれで倒れていた


「なんで……こんな」


「お前……神の使いの邪魔するとは余程死にたいらしい」


銀髪の少女はにやりとそう笑いながら先生の方をむく


「監視対象が覚醒しました、至急お……う……」


そう言い終わる前に先生はお腹を裂かれ倒れる。


「お前だれ……」


隣にいた米沢先生も一瞬にして倒れる


「やっと……やっと見つけた」


そこには真っ黒の髪をしたこの世のものとは思えない恐ろしい顔の女性がいた。


「なんだ……何が起きて」


「八重兎……」


そうだ。世羅を世羅を助けないと。


「お前は誰なんだ」


「大丈夫、大丈夫よ。あの子との約束だものちゃんと守るわ一緒に行きましょう。あの子の為に。」


そう言いながら手を伸ばされる。

その手を銀髪の子が手を払う

「穢らわしい魔女め。わしらに近づくでない」


「あの子の従者だったのに、乗り換えていたのね

穢らわしい瘴気にまみれた兎はどっち」


「瘴気だと?このワシが?」


その瞬間

黒い闇が僕らを飲み込んだ


「簡単に持って行けると思うな」


「邪魔をするなクソ兎」

______



涼しい風が頬を撫でる

緑の香りと潮香りで目が覚める

「ここは……」


気がつくと草原の真ん中に1人だった。

遠くには風車と海が見えた。


「世羅!世羅??」


世羅の姿は見えず周りには街も見えない。


「ここは……」


その時背後に気配を感じた

「……っ」


首筋に光の筋があたった

この筋にあたれば死ぬことくらい理解できた。


「振り向かずに答えなさい」


「あなたは何者なの……亀裂からどうやってきたの」


よく通る声だった。女性の、しかも若い子の声なのに何故か妙に落ち着いている声だった。

「僕は八重兎。僕もここにどうやってきたのかわからない。急に女の人がきて闇に飲まれてそのまま……」


「……そう。あの女の気配はしないし巻き込まれでもしたのかしら」


そう言い彼女は光の剣を収める。

綺麗な黄金の髪に青い宝石のような目をした女の子だった。


「ここはどこなのか教えてください……」


「あなたがどこから来たのかは分からないけれど、ここは魔法使いが生まれる街アヴァロン。悪いけど一緒に来てもらう」


「アヴァロン……魔法……まじか……」


僕は途方に暮れるしかなかった。

どうやら異世界に来たようだった。



アヴァロン:魔法使いの街と言われるだけありマナに満ち溢れており研究、教育が活発に行われている。かつて女神がこの地に残した生命の樹によりこの地は繁栄してきたと言われている。

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