選択肢
なんか地味な男じゃねってあんたに言われた時、あたしがむっとしたのは言うまでもない。
あたしはあんたが好きだった、好きだと思ってた。でも「お試しでいいから」って告白されて彼と付き合うことにしたのは、あんたが彼女をとっかえひっかえしてたからで。
その後に気づいた。品行方正なあたしの彼氏はちょっと気弱で頼りないけど、そのぶん優しい。何気に荷物を持ってくれたり、歩調を合わせてくれたりだとか。
だから、もういい。
「ねー。今度、コンタクト試してよ」
「えー、嫌だよ、怖いし」
「大丈夫だって! 絶対」
いつまでも振り向かないで嫌味を言ってくるあんたのことなんか、すぐに忘れてみせるんだから。
第22回 毎月300字小説企画、お題は「歩く」でした。
……が投稿日を1日間違えていたので、ひっそりと公開のみしておきます。
たまにはこんなのも書いたりするんです。