8 やっぱり、ね
「いやあ、歌った、歌った!!」
「ホント、ホント!!スッキリした!!」
「あ!結構遅くなっちゃってたね!」
「どうする?蓮花、帰る?」
「そりゃ帰るよ?なんで?」
「いや、あたしンち泊まんない?」
「え?いいの?」
「実はねー?蓮花には色々聞きたいなって思ってて!」
「な、何を聞くつもりなの?」
「そんなに怯えないでよ!ただ、最近彼氏とはどうなのかなって!」
「彼氏、ねぇ……。」
「ん?どうした?悩みでもあるの?」
「まぁ、ね……。」
「じゃあ決まり!お泊りしなよ!ね?話聞くから!」
「う、うん。じゃあ、家に電話する。」
お母さんに電話して許可は貰った。
「ち、ちょっと!こんなトコ通るの?」
「近道なんだよねー。」
ここホテル街じゃない?
「そんな照れなくてもいいんじゃない?そのうち彼氏と来るかもだし?」
「来ないよ!もう!」
「初心だねー、蓮花は。」
「ふ、普通でしょ?からかわないでよ。」
「そんなん言ってもほら!あのカップルだって高校生じゃない?」
「あ、ホントだ。高校生っぽいね。」
「そうでしょ?だから……。あれ?ちょっと、あれって……?」
「なに?どうしたの?」
「いや、あれ……。」
指さす方を見ると、……ああ、そういうことね。
横矢先輩と知らない女の子が、ホテルから出てきたところだった。
もういいよね。
横矢先輩に後ろから近づく。
「横矢先輩!!」
「は?えっ?れ、蓮花?」
「もう気安く名前でなんか呼ばないで下さい。」
「ちょ、ちょっと待て!これは」
「イヤなら別れてもいいって言いましたよね?別れて下さい。」
「……はぁ、わかったよ。まあ、俺もヤラせてくれない彼女なんていらねえし。」
「じゃあ、そういうことで。」
友達のところに戻って来た。
「た、大変だったね?話聞くからさ。」
「うん。よろしくね?」
ムカついたけど、悲しくなんかない。
だって、好きでもなんでもなかったから。