7 蓮花
「俺、宮島の事いいなって思ってたんだ。俺と付き合ってくれ!」
ある日の昼休み、屋上へ呼び出された私に、突然の告白。
相手は横矢正則先輩。一つ年上の元サッカー部の人。
今は部活も引退しているが、現役の頃は女子の人気も凄かったと聞いた事がある。
第一印象はチャラそう、だった。
「え、でも私、横矢先輩の事よく知らないし……。」
「これから俺の事を知ってくれればいい。嫌なら別れてもいい。」
「うーん……。」
「必ず俺の事を好きにさせてみせる!!」
そんなに自信があるんだ……。
なんかグイグイ引っ張ってってくれそうかな?
今まで私の周りにいなかったタイプかな。
こういうのを男らしい、っていうのかなあ。
イヤなら別れてもいいって言ってるし……。
「わかりました。じゃあ、よろしくお願いします。」
「マジか!よっしゃあ!じゃあ今から彼氏彼女って事で、よろしく!!」
「は、はい。」
それから横矢先輩との付き合いが始まった。
初めは横矢先輩の態度も、男らしいものとして受け入れていた。
それも一カ月もすれば。
「今日も先輩の家に行くんですか?」
「ああ、別にいいだろ?付き合ってるんだから。」
何かと私を家に連れ込みたがるのは、どうなの?
隙あらばキスしようとしたり、身体を触ろうとしたり。
私の事、本当に好きなの?
私は別に横矢先輩の事、好きでもないのに。
好きになれるかな、って思って付き合ってはみたけど。
キスなんかしたいと思うわけないでしょ?
身体の関係なんてもってのほか、だよ。
男ってみんなそうなのかなあ。
圭吾は違ったな……。
そういえば圭吾も彼女出来たって噂で聞いたなぁ。
一応私も彼氏持ちだから、気を使って圭吾とも話さなくなったけど。
圭吾からの報告も無かったな。
気になって一度、圭吾の彼女を見に行ったんだけど。
なにあれ?全然圭吾が言ってたタイプと違うじゃん!
なんであんな子と……。
あ、あれ?なんで私……。
そ、そう!圭吾!圭吾だったら……。
ちゃんと私の話聞いてくれてたし。
横矢先輩は自慢話ばっかり。
……つまんないな。
「ごめんなさい。今日はちょっと用事があるので。」
「は?マジで?」
「はい。」
「ちっ。わかったよ、またな。」
さっさと帰って行く。
どうして、とかないの?
私のことホントは興味ないんでしょ?
身体以外。
気晴らしに友達と遊びに行こうかな。
スマホで友達に連絡しよう。
「もしもし?今どこにいるの?」
『えー?蓮花こそ彼氏と一緒じゃないの?』
「今日は一人だよ。カラオケでも行こうよ!」
『いいね!最近蓮花、付き合い悪いから寂しかったんだよ?』
「ごめんって!じゃあ、駅前で待ってるね!」
『オッケー!すぐ行くよ!』
久し振りに騒いで、ストレス発散しよう!