6 俺と愛
それから俺たちは二人で過ごす時間が増えた。
学校では俺のクラスまで来て一緒に弁当を食べたり、話をしたり。
放課後には、二人で遊んだり。
そうしているうちに、お互いの事を名前で呼び合うようになっていた。
「圭吾!帰ろ!」
今日も愛が俺のクラスまで、迎えに来てくれた。
「ああ、いつもありがとな、迎えに来てくれて。」
「え?お礼なんていらないよ!私が好きでやってる事なんだから!」
そういって俺に笑顔で応える愛を見ていると、そろそろ俺も腹を決めなきゃな、と思う。
「愛、今日は喫茶店に寄らないか?」
「ん?いいよ!二人で初めて行ったトコ?」
「そう、ちょっと話があるんだ。」
「うん、いいよ。」
喫茶店に向かう途中、学校から少し離れたところで愛が腕を絡めてきた。
最初は俺も恥ずかしかったし、付き合ってるわけでもないから、と言って拒否していたんだが、最近はまあいいか、と思うようになっていた。
そ、それにしても、当たってる、当たってるんだよ。
もちろん制服越しだから、柔らかさとかそんなにわかるワケじゃないけど。
巨乳、とまではいかなくても、その存在感は無視できない。
「ふふっ、圭吾、これ好き?」
「え?な、なにが?」
「友達がね?こうすると男の子が喜ぶって言ってたの!」
「くっ。そうだよ!喜んでるよ!」
「やったぁ!これで圭吾も私の事好きになってくれるかなぁ?」
「そ、それはどうだろう……。」
そんな事言ったけど、蓮花に彼氏が出来て落ち込んでた俺を元気づけてくれたのは、間違いなく愛だ。
ストレートに想いを伝えてくれて、傍に居てくれて、感謝してるんだ。
それだけじゃなくて、俺は愛を……。
喫茶店に着いて、飲み物も手元にある。
ちゃんと伝えよう。
いざ口にしようとすると、なかなか出てこない。
愛からの気持ちは充分理解している。
それでも言葉にするのは勇気がいる事だ。
愛は、俺に断られる可能性の方が高いとわかっていながら、告白してきた。
すごいな。
俺は、蓮花にも言えなかった。
こんなにも勇気がいる事なんだな。
相手に想いを伝えるっていうのは。
「俺、愛の事が好きだ。付き合って欲しい。」
「……え?うそ?」
「嘘じゃない。本気なんだ。」
「ほ、ホントに?ホントにホント?」
「あ、ああ。本当だって。」
「や、やったあああ!!うそ?!夢みたい!!」
「え、そ、そうか?」
「あ、やだ、私ったら。え、ええと、私も圭吾の事が好き!これからよろしくね!」
「ああ、こちらこそよろしくな!」
こうして俺と愛は付き合う事になった。