3 好みのタイプと違くない?
マジだったのかよ……。
なんで?
ずっと一緒だった俺じゃなくて、他の男と付き合うのか?
俺には興味がなかったのか……。
蓮花に告白するためにいろいろ頑張ってたんだけどな……。
呆然としていると、蓮花のクラスの前で大声で蓮花を呼んでいる男が見えた。
「おい!蓮花!まだかよ?!!帰るぞ!!」
「あっ。ごめんなさい!待って!」
「ったく、俺がわざわざ迎えに来てんだから、とっとと出て来いよ!」
「ごめんね?今度から気を付ける!」
えっ?もしかしてアイツが蓮花の彼氏?
金色の短髪、制服は着崩しており、顔はまあイケメンの部類に入るかもしれないが……。
ヤンキーっつーか、チャラ男じゃねーか!!!
爽やか系とはとても言えないし、蓮花に対する態度も上からじゃね?
え?全然蓮花が言ってた好みのタイプと違えじゃん!!
教室から出てくる蓮花と目が合った。
片手で”ごめん”のジェスチャーをしながら、口の動きで「ごめん」と言っているのが分かった。
俺は反応を返すことが出来ずに、ただ蓮花の背中を見つめていた。
それからというもの、俺と蓮花は関わることが無くなった。
あの日の夜、蓮花から謝罪のメッセージが来たが、俺は返すことも出来なかった。
……なんでだよ。
なんであんな奴と……。
好みのタイプなんて聞いたって意味無かったじゃねえか。
さっさと告白すれば良かったのか?
それとも、蓮花の本当の好きなタイプはああいうヤツだったのか?
俺は眼中になかったって事か。
最初から俺に勝ち目は無かったって事なのか……。
「な、なあ、圭吾。今日遊びに行かねえ?」
「いや、気が乗らねえんだ。悪いな。」
「そ、そうか。まあ元気出せよ!」
友達は俺の気持ちを知っていたから、気を使ってくれる。
遊びに誘ってくれるが、どうしてもそんな気分にはならない。
この気持ちを忘れる事が出来るだろうか。
時間が経てば、蓮花への気持ちは薄れていくんだろうか。
みんなが俺に気を使ってくれている、という事は皆から見て、俺は落ち込んでいるように見えるって事か……?
切り替えなきゃ、いけないんだろうな……。