11 好みのタイプは?
「おーい、圭吾!宮島さんが迎えに来てるぞ!」
「おう、わかった。」
「良かったなあ、圭吾!」
「ん?あ、ああ、まあ、な。」
いろいろあったけど、あれから蓮花はずっと俺の傍に居る。
愛の事はショックだった。
何も考えられなかった。
あの日、どうやって家まで帰ったか、覚えていない。
蓮花が俺の手を引いて、家まで連れて帰ってくれた、らしい。
その後も、俺の部屋までついてきて、ずっと手を握っていてくれた、らしい。
その辺は、母さんから聞いた。
翌日から、蓮花は朝、俺の家まで迎えに来るようになった。
クラスが違うのに、昼になると俺のクラスに来て、一緒に弁当を食べるようになった。
料理は苦手だったはずなのに、俺の弁当を作ってくるようになった。
そして放課後になると、やはり俺のクラスまで迎えに来る。
一緒に帰りながら、遊びに行こうと誘ってくれたり、家まで付いて来て二人でゲームしたり、話をしたり。
以前の俺達と変わらない様で、明らかに違う。
正直俺は、戸惑っている。
愛と別れた直後は、何も考えられずにただ、受け入れていた。
だが、一ヶ月もすれば、さすがに愛の事も自分の中で消化出来始めていた。
そんななか、蓮花の行動に疑問を持った。
なぜ、そこまで?
幼馴染と言っても、俺には興味なかったんじゃないのか?
放っておけない弟、のような感覚なんだろうか。
それにしても、やり過ぎじゃないか?
そんな事を思っていた。
「圭吾、今日は真っ直ぐ帰るの?」
「ああ、特に用は無いし。」
「そう?なら、私も圭吾の家に行く!」
「ああ、別にいいけど……。」
どういうつもりなんだろう。
「ねえ、圭吾!前に好みのタイプ、聞いて来たじゃない?」
「あ、ああ。そんな事もあったか。」
「うん!私、あの時は深く考えないで、結構適当な事言っちゃった。」
「そうなのか?」
「そう、だからね?改めて、ちゃんと答えようかなって!」
「え、べ、別にいいぞ?無理して言わなくても。」
「いいの!圭吾に聞いて欲しいの!」
「わ、わかったよ。」
「えーとね?まずは、思いやりのある人!!」
「……それ前もそう言ってたよな?」
「ちゃんと私の意見も聞いて、尊重してくれる人!」
「……うん。」
「誰かの為に一生懸命努力出来る人!!」
「へえ、そんな事、前は言わなかったよな?」
「清潔感があって、爽やか系な人!!」
「ああ、それは前も言ってたな。」
「黒髪で、結構サラサラで、前髪は目にかからないくらいで、目つきはちょっと悪いかな?」
「んん?やけに具体的なんだな。」
「身長は私より7㎝くらい高くて、勉強もスポーツも、何でもこなせる人!!」
えっ?いやいや、えっ?
「それでね?最近お料理とか頑張ってた人!!」
……。
「あとは……。つらいことがいっぱいあって、落ち込んでて、どうにかして元気出して欲しいなって、思った人……。」
……。
「あ、け、圭吾は?圭吾の好みのタイプって、前と変わったりしたの?」
「お、俺の好みのタイプ?」
「そう、前に聞いた時と変わった?」
俺の好みのタイプは……ずっと……。
「俺の好みのタイプは……。」
「やっぱ巨乳の子がいいな!!!」
変わってないよ。
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