1 好みのタイプ
「私は誠実で思いやりのある人が好きかな?」
学校からの帰り道、好みの男のタイプを聞いたらそう返ってきた。
長い黒髪、キリっとした目つき、モデルのような細身なスタイル、なのに巨乳!!
誰にでも優しい性格、皆が認める美少女で、学校での人気者。
隣を歩いているのは、俺の幼馴染の宮島蓮花。
「うーん、漠然としてるな。具体的には?」
そんな蓮花の好みを聞いている俺、朝霧圭吾。
高校二年生で、成績は上の中、スポーツは得意で、そこそこ女子からも告白されている。
「具体的ってどんな?」
「だからさ、見た目とか、身長とか、あるだろ?」
何故こんなにしつこく蓮花に聞いているのか、といえば俺が蓮花の事をずっと好きだったからだ。
告白すればいいじゃん、と友達に言われるが、失敗したら幼馴染としても関わることが出来なくなりそうで怖いんだ。
告白するなら、せめて蓮花の好みを聞いてそれをクリアしてから、と思っている。
ヘタレだなんて言わないでくれ。怖いんだよ、本当に。
「別に身長なんて気にしないよ。私より高い方が良いかなあとは思うけど。あと、見た目、見た目かぁ……。」
「うんうん。」
身長は気にしない、と。
蓮花は168㎝、女子にしては高い方かな。
対して俺は175㎝、OK、クリア!
「清潔感があって、爽やか系が好きかな?」
「清潔感、爽やか……。」
清潔感はわからないけど、爽やかっていうのは女子から言われたことがあるぞ!
「あとはそうだなー、上から目線で何か言ってくる人は嫌いかな。私の事を尊重してくれる人が良いな。」
上から目線はNG、と。蓮花を尊重、ね。
「そうそう、料理とか出来る男の人ってい良いよね!なんか尊敬しちゃう!」
ほほう、料理か。これは頑張らないといけないか?
よし、さっそく今日から料理を始めよう。
「私の事ばっか聞いてくるけどさ、圭吾はどうなの?」
「え?俺?」
「そうだよ!ズルいじゃん!」
「そ、そうか、お、俺の好みか……。」
「うんうん!どんな子が好みなの?」
えー、どこまで言っていいのか迷うな……。
「えーと、黒髪ストレートのロング。性格は優しい子が良いな。」
「ふんふん、それで他には?」
「全体的に細身なんだけど、きょ……。」
「きょ?」
「い、いや、なんでもない。」
あぶねえ、巨乳って言いそうになった……。
け、結構攻めたか?言い過ぎたか?
「へー、そうなんだね。ウチの学校だと誰かなー?いるかな、そんな子。」
き、気付かねえのか……。