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9.暴走

 初仕事が終わった。


 そこまで苦も無く、あるといえば転移魔法を使おうとした時に猪に襲われたぐらいかな?


 それぐらい()()にとっては簡単な仕事だった。


 ところが。俺たちが狼の集団を狩って街に持って帰ったら、それこそみんな唖然として、歓喜してた。


 そこまでのことかなぁ?


 そこまでのことなんだろう。


 多分よっぽど今まで虐げられてきたんだろうな…


 そして今。今は、サンムーンの領主館にいる。

 狼を討伐したことによって、領主から直々にお礼と恩賞を与えたいという。


 …もうすでに狼を魔物ハンター協会のところに連れて行って換金しただけであと二ヶ月はここにいられそうな大金が入っているんだけど…


 まぁ領主様からの願いを断ることもできず、結局行くことになった。


 コンコン


「失礼します。セーサスヴェン様」


 執事さんが領主様のところまで連れてきてくれた。


「し、失礼します…」


 俺とマーチェはおずおずと部屋の中に入る。


 奥の執務机には初老の人の良さそうな人がいた。


「やぁ。よくきてくれたね。狼を討伐してくれたんだって?」


「え…あ、はい!」


「いやぁありがとうね。こちらも騎士団を出そうか迷っていたんだよ。」


「そこまでのことを…?」


「ハハッ確かに瞬殺したらしい君たちにはわからんだろうがあれはものすごく危険な個体なんだ。」


 むぅ…情報が漏れている。誰が漏らしたのかな?

 そう思ってマーチェの方を向くとびっくりして立ちすくんでた。


「…セーサスヴェン様」


「む?ああ、よしあれを出せ」


「はっ」


「まぁ今回は素晴らしい貢献をしてくれたのでとあるものを君たちにあげようと思ってね」


「とあるもの?」


「ああ。そちらの…マーチェさんと言ったかな?」


「は、はい!」


「あなたが魔剣を使うと聞いてね。この街…というかここの領主館の宝物庫にあった魔剣をあげようと思ってねぇ」


「!魔剣ですか?!ありがとうございます!」


「ふふっそう言ってくれるとありがたいよ」



「それではこちらをマーチェ様」


「ありがとうございます……って、これって…」


「ああ、それはこの前鑑定させたところかの有名な三大魔術師の一人サージェス様が作ったとされている魔剣だ」


 うおう。今なんか空耳が聞こえた気がするんだが?


「やっぱり!これって魔竜剣クッテルカルムですよね?」


 …空耳じゃなかった…


 なんかいろんなところに絡んでるなじいちゃんって。

 昔は目立ちたがりだったのだろうか?


「ねえスバル!この剣がどうやってできたか知ってる?」


「え?いや知らないよ?」


「やっぱり。この剣はね……」


 魔剣マニアのマーチェの講義が始まった。


 領主様の前でそういうのは勘弁してくれよ…


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 一週間がたった。俺たちは王都への隊商の護衛の依頼をさがしつつ、魔物を倒していた。


「よーし、今日こそは勝つぞー」


 あれから毎日、マーチェと魔剣対決をしている。


 俺は自作の魔剣。マーチェはじいちゃんが作った魔竜剣クッテルカルムだ。

 どうやらその魔竜剣というのは、魔物化した竜の鱗や骨から作っているそうだ。

 魔力はものすごく通しやすいらしい。


 また竜の固有魔法「竜の息吹(ファイアブレス)」を剣に纏わせることができるらしい。


 炎の剣と重力によって加速する剣。

 技術では、マーチェの方が強いが、剣は俺の方が強い。


 ……使いこなせたらだけど。


 そのおかげで俺は今まで全勝。マーチェは今度こそといった意気込みだ。


 ドンッ


「うわー また負けたー」


 女の子相手に手加減しないのか、と言われると背中が痒くなるが、手加減すると後でぶっ飛ばされる。

 それに手加減したら最悪俺死ぬし。


「もう…スバルはどうしてそんなに強いのかなぁ?」


「いや俺は強くないよ?剣が強いだけで。」


「でも魔竜剣より強い魔剣があるはずがないんだけどなぁ?」


 そうか。世間の一般常識では三大魔術師のじいちゃんたちが作った魔剣が一番いいと思ってるわけだ。

 でも世界ってこの国だけじゃないよね?

 なんでそう思ってるんだろう?



 ……久しぶりに魔力でも集めてみるか。

 俺は空気中に漂う魔力を制御し始めた。


 はずだった。


 魔力を集め始めて気づいたのは集めた魔力が青白い色ではなく、紫色だったこと。


 な…これって…


「ち、ちょっとスバル!何やってんの?!」


 マーチェも変な魔力に気付いたんだろう。


 …いや正確には魔力ではない。()()だ。


「…っく」


 やはりこれは霧散させようと思っても散らせない。


 これならできるだけ被害を…


 と思って森の方角に軌道を向けた時だった。


 この前はある程度の大きさになった時に爆発した。

 それを危惧して軌道を変えた。


 だが。呪力はとどまるところを知らずどんどんでかくなっていく。


 そして。半径が3メートルほどの球体ができた時に成長が止まった。


 次の瞬間、球体に引き寄せられるように森の木々が吸い込まれていく。

 もちろん俺たちもたまったもんじゃなく、とっさに俺が展開させた土魔法でマーチェと俺をギリギリ踏みとどませていた。


 シュゥゥゥゥゥ


 ある程度吸い込んだ後、収縮してなくなった。

 しかし、周りの森は根こそぎ木々がとられたことによって悲惨な光景が広がっていた。


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