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7.英雄?

 街の入り口まで来た。

 こちらに気づいた守衛さんが向かってくる。


「身分証の提示をお願いします」


「…身分証って何?」


「え?身分証を知らない?」


 今まで森の中で暮らしていたので身分証なんてものを持っているわけがない。


「っと。それじゃあ新規発行するから手続きしていってね」


 ……そんなんでいいのか?

 犯罪者とかたくさん新規発行しそうなんだけど…


 身分証には名前と年齢と職業をいれるらしい。


 そういえば今更だったけどこの世界に来てからまだ十年も立ってないんだよなあ…


 精神年齢はもう30歳超えてるからそこを気にしたことはあんまなかった。


 とりあえず名前を入力して、年齢も入力する。職業は…


「職業のところは書かなくてもいいんだよ」


 とマーチェが教えてくれた。


「へぇそうなんだ。」


(それってつまり…無職じゃね…?)


「そういえば俺お金も持ってないんだけど…」


「え?!そ、そっか…」


 マーチェがちょっと狼狽えている。

 あれ?そういえば宿とかどうすればいいんだろう…


「あ!そうださっきの熊を魔物ハンター教会に持っていけばちょっとしたお金になるはずだよ」


「でも今からあそこまで行くとなると夜中になっちゃうな…」


「さっきの転移魔法はもう使えないの?」


 盲点だった。

 そういえば転移魔法描きっぱなしにしてたわ。


「そ、そうか。じゃあ取りに行ってくるからちょっとだけ待ってて」


「え?!熊を倒したの?」


 守衛さんが騒いでる。


「しかも転移魔法まで使えるの?!」


「ふふん。どうだ私のスバルは!」


 …いや君のじゃないからね?!


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふぅ」


 今は先ほどの森にいる。


「にしてもこれをどうやって持っていこう…」


 精神年齢大人とはいえまだ本当は10歳未満の子供である。

 2メートル以上の熊を一人で動かすには無理がある。


 そこで俺は、生活魔法の一つ身体強化魔法を手と足に集めた。

 さらに攻撃魔法の派生の重力魔法で熊の重力を下げる。


 ズルルルルッ


 少し土がついちゃったけどなんとかなるだろ…



「…よし。それじゃ」


 魔力変換した呪力を使って、先程の門に置いた転移魔法陣に飛ぶ。


 ヒュンッ




 俺が転移魔法陣に着いた時、


 唖然として見ている守衛さんたちと自慢げにしているマーチェがいた。


 …だから俺は君のものじゃないからね?!


 いつか本当に誤解されそう…



 ーーーーーーーーーーーーーーーーー



 朝。


「はあー。まさかあそこまで問い詰められるなんて…」


「そうだね……流石にあれだけ聞かれると疲れてくるよ…」


 宿をとった俺たちは食堂でご飯を食べていた。


 あのあと、守衛さんに借りたお金で一泊してから魔物ハンター協会にいったところ、扉を開けた瞬間にみんなの視線を集めた。


 まぁそりゃ10歳かそこらの子供が熊を担いできてるんだ。異様すぎる光景だろう。

 その後に自分で討伐したと言ってしまったのが失敗だった。


 ある人からは心配され、ある人からは「そんなあるわけがない」と言われた。他にも、嫉妬の目を向けてくる人もいたし、なぜか怒ってくる人もいた。


 あんなのはもう二度と経験したくない…


 一応その後、換金所でお金に変えた。熊の魔物は珍しいらしく金貨3枚が出てきた。


 流石に森の中で生きていたとしても、俺も通貨のことぐらいは知っている。


 この世界には全部で六つの硬貨がある。


 一つ目が石銭。いわゆる日本の一円だ。


 次に鉄貨。これは、百円ぐらいかな?確かそんぐらいだった気がする。


 3番目が銅貨。これは千円ぐらいの価値がある。


 4番目が銀貨。一万円ぐらいの価値がある。


 5番目が金貨。10万円の価値がある。


 最後は大金貨。これはいわゆるクレジットカードみたいなもの。持っているひとは少ないし、製造数も少ない。


 にしても金貨3枚か…初仕事でお金もらいすぎたな…


 もちろん使いやすいように銀貨8枚と銅貨20枚に分けてマーチェとはんぶんこした。


 そしたらマーチェは、


「こんな大金はいらないよ」


 と言ってきたが、これから会えなくなるかもしれないからと言って渡したら、


「?何言ってんの?」


「は?」


「私スバルについてくよ?行く当てないもん」


 と言われて、ついてきてしまった。


 全く…俺はお前のじゃないからな?!


 と思いながらどうすればじいちゃんたちに会えるかを画策していた。



 とりあえず王都にでもいこうかな?

 じいちゃんたち有名だったらしいし…


 そもそも王都ってどうやっていけばいいんだ?

 隊商とかに連れて行ってもらうとかあるけどここは山の中にある街だったしな…

 そうそう隊商なんて来ないじゃないのかな?


 そう思って魔物ハンター協会の受付の人のところに行ったら、


「冒険者ギルドとかならそういう依頼を受けていたりするんだよ」


 と教えてくれた。


 なるほど…冒険者ギルドか……いかにも異世界にありそうなやつだな…


 マーチェと一緒に冒険者ギルドへ行った。


 受付の人に依頼を受けたいと言ったら、冒険者カードがないとできないと言われた。

 新規発行は頼めるかと聞いたところ、俺たちのような子供はできないと言われた。


 …くう…もどかしい…


 そのことで揉めていると、奥からガタイのいいおじさんがやってきた。

 そしてこういった。


「俺に勝ったらいいぜ」


「え?!ちょっとニーシリーさん勝手に言ってもらっては困ります!」


 受付の女の人が困っている。

 そんなに強いか?この男


 確かにガタイはいいが強そうには見えない。


 そうこうしているとさらに後ろから声がかかった。


「おーい、ニーシリーにその子が勝ったら登録してあげろよー」


「え?!ギルド長?!」


 おお、そんな奴もいるのか!


「さてやろうか坊っちゃん」


 にしてもこいつ気色の悪い奴だな…

 女癖とか悪そう…



 ーーーーーーーーーーーーーーーーー



「それじゃあルールはどちらかが「参った」をいうまでな」


 うおい!それまじか?!10歳の子と大人の戦いでそんなの採用すんなよ!


「それでは………始めっ」


 突っ込んでくるニーシリーさんに俺は先制攻撃として炎の球を飛ばす。


「おいおい!そんなのが当たるとでも思ってんのか?」


 んなわけねぇだろバカが!


 続いてあいつが避けた先に土の壁を作る。


「!おわっと。あぶねえなぁ!」


 相変わらず突っ込んでくる。

 バカなのか?


 地面に大量の水を放ちぬかるみを作る。

 その後間髪を入れずに風の刃を三発ほど飛ばす。


 もちろん当てようとはしない。


 でも、当たるかもしれないという緊張を与えるため髪を切るようにする。


「っち!さっきからちらちらと!」


 そう言ってニーシリーは俺の目の前まで来た。


 殴られると思って防御の構えをしようとした俺は一瞬、びっくりした


(こいつ、遅すぎじゃね?)


 ばあちゃんとの模擬戦ならこいつが拳を一振りする間にばあちゃんは十発ぐらい剣を振ってくる。


(カウンター刺さるなこれは…)


 俺は身体強化魔法で拳の強度を上げた。

 振りかぶって隙だらけのニーシリーのボディに強化された拳を叩き込む。


 ドッ


 まともに食らったニーシリーは泡を吹いて倒れていた。


(やりすぎたかな?)


 今の戦いを見ていた人はみんな絶句していた。

 中には唖然として口を大きく広げている人もいた。


「これはまるで…英雄様みたいじゃないか…」


 ギルド長が呟いてるのを聞いた俺は聞き返した。


「英雄ってなんですか?」

「ん?ああ、そんなことも知らないのか、って最近の子はあまり知らないか…」



 英雄の名前を聞いた俺は固まった。


「サージェス様とリッテル様のことだぞ」


 そこで聞いた英雄の名前はじいちゃんとばあちゃんだった。




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