6.ここはどこ?
相変わらず相変わらず少なめです。
「……痛い」
自分が生きていることに感動しながらも今起きていることを理解しようとする。
(木に引っかかったか…)
(あの光…転移魔法か?)
「ってかここはどこなんだ?」
そうして起き上がり辺りを見渡す。
今まで暮らしていたところとは全く違う世界がめに飛び込んできた。
何気なく受動探索魔法を使う。
(………)
(どこだ?ここ)
今までの地形とは全く違う。
そんな中で二つの存在を見つけた。
(これは…動物に襲われている人か?)
自分がいたところに転移魔法の印を作り、反応がした場所へと向かう。
「う…」
そこには魔物化した熊を前に立ちすくんでいる人がいた。
(!子供か?)
俺はとりあえず挨拶がわりに風魔法で両腕を切り落とす。
こちらに注意が向いた時に立っていた場所に転移魔法の印を作る。自分で魔力を込めながら別方向へ行き風魔法を使って両足を切る。
「それじゃあ最後に…」
転移魔法を使って熊の背後を取り、もう一度風魔法で首をきる。
ボトリ
子供の目の前に熊の生首が転がり、少年は「ヒッ」と声にもならないような声を出した。
我ながらいい倒し方じゃないかな…
「大丈夫?」
「あ…あの!助けてくれてありがとうございます!」
少女だったか…
よく見ると赤色の髪をした、可愛らしい少女だった。
……どっちにしろ今は俺もあまり年齢が変わらない気がするけど…
「なんでこんなところにいるの?」
「え…えっと…急に白い光がばぁーって」
そう、必死に自分の身に起きたことを説明しようとする。
つまり彼女も魔王の転移に巻き込まれたようだ。
「まあここじゃ危ないしちょっと場所を変えようか」
そう言って彼女の手を取り、転移魔法を使って自分が一番最初に飛ばされたところに行く。
「ここがどこだかわかる?」
「ええ。ここの森には何回か連れてきてもらったことがあるわ」
(どうすればいいか…とりあえずじいちゃんたちと合流するか…)
そう考えて飛ばされる前にじいちゃんにつけた簡易転移魔法陣に行こうとする。
しかし、魔力を込めても飛べない。
(これはもしかして…じいちゃんの魔法陣の印が消えてる…)
(ばあちゃんのにもつけときゃよかった…)
「あの…」
「ん?どうした?」
「もしかして君転移魔法が使えるの?」
すっごいキラキラした目で問われる。
「え?まあ一応うん…」
「本当?!」
そこまで喜ばれると胃が痛くなる…
喜ばれるというか尊敬だなこれは…
「ねえねえ他には何が使えるの?」
「召喚魔法以外は大体使えるよ」
「へぇー」
っとこんなことをしてる暇じゃない
「近くの街に行くにはどうすればいい?」
「えーっとね多分こっちの方向に行けば着くはずだよ」
「じゃあそこまで行こうか。えーっと」
「私の名前はマーチェリット。マーチェリット=サンライズだよ」
「俺の名前はスバル=シンフォニー。よろしくなマーチェ」
「よろしくスバル」
「それじゃあその街の方に行くとするか」
「うん!」
とりあえず言われた方向へ走ること2時間。街が見えてきた。
「あれか?マーチェ」
「うん。あれが街だよ。サンムーンっていう」
「へえサンムーンか」
「とりあえず日が沈む前に街に入ろう」
「そうだな」
(早くじいちゃんたちとも合流したいしな…)
そう思ったその時、隣の茂みから「グルルルッ……」と動物の唸り声が聞こえてきた。
俺は瞬時に声が聞こえた方へ顔を向ける。
そこには怪我をした魔物の鹿が立っていた。
普通は肉食動物のような唸りはしないはずだが、ここは異世界。そして相手は魔物化した動物だ。
何も不思議なことではない。
ただ、怪我をしてしまった魔物を殺してしまうということに俺は抵抗を覚えた。
(今のうちにやっといた方がいいのか……?)
そんなことを思っていると、後ろから声がかかった。
「どうしたの?スバル。」
聞かれた問いに俺は簡潔に答える。
「ああ。鹿の魔物だ。怪我をしていてな……どうしようか悩んでいたんだ」
「そっか……ふふっ。スバルは優しいね」
「優しい?なんでだ?」
「だって普通の人なら怪我をしていようと魔物は倒すのが常識なんだよ。だから魔物化していても助けようと思う心があるスバルは優しい。」
「そうかな……まぁここは素通りして街の方へ向かおうか…」
「ふふっ。そうだね」
そうマーチェは微笑みながら返事をした。
そして俺たちは怪我をした鹿の魔物の隣を素通りしていった。
(優しい……か…)
転生する前には絶対にかけられたことのない言葉を前にスバルは言い知れない感情を抱いていた。
後ろからは先ほど見逃したであろう鹿の魔物が見つめてきていた。
そして、鹿とは思えない遠吠えをしたのだった。
ウオオオオォォン
まるでありがとう、と言っているかのようだった。
(優しい……だな…)
そうスバルは思って街へと歩を向けた。
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