表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したら失われた「呪力」を持っていたようです  作者: けーしん
第一章 カートゥーン王国編
50/51

50.VS黒竜 【4】

まーた間が空いてしまいましたね……

気をつけるようにはしているんですが……

『くそっ……他の龍王たちも龍帝も分かってはおらぬのか……』


 黒竜(ブラックドラゴン)が落とされた渓谷には小さな光とたくさんの花があった。


『全く……こんなところに落としおって……』


「あー竜さんだー、みんなみんなー竜さんがいるよー」


 小さな光が喋り、黒竜(ブラックドラゴン)の周りに色々な光が集まってくる。


「本当だー竜さんだー」

「珍しいねー」

「どうしたのー?」

「なんでここにいるのー?」


『うるさい妖精どもだな』


「あー妖精って言った!」

「あははー私たち妖精じゃないのにねー」

「私たち()()だよ花の」

「やっぱり竜さんたちには私たちは見分けがつかないんだね妖精たちと」


『ちっ……小賢しい……さっさとどっかへ行ってくれないか』


「あははーどっか行けだってー」

「ええーここは私たちの場所なのにー?」

「勝手に入ってきたのは竜さんなのにー?」


『ったく……精霊どもよ、ここから人間の大陸に行くにはどうすればいい?』


「えー教えよっかなー」

「どうしようかなー」

「竜さんたちってー」

「人間さんのこと、みーんな殺しちゃうもんねー」


()()ども、さっさと伝えろ』


「ふふふ……竜さん、ここがどこだかわかる?」

「竜さんが落ちてきたのはどこかの谷だと思うけど」

「ここはーー」

「「「「「大精霊の森」」」だよ」」


『な……!?大精霊の森?まさか……あの渓谷がここへ……?』


「そんなわけないよー」

「大精霊の森はね、君たちが住んでいる世界とは少し違うんだー」

「知らなかったでしょー」

「竜さんがここに来れたのはー」

()()()()()()、なんだよねー」


『何に……?』


「あははーやっぱりだー」

「なんも分かってなかったんだねー」

「竜さん、わざと暗示をかけているのかもしれないけど」

「黒いのに黒竜(ブラックドラゴン)さんじゃないからねー」

「何に絶望したんだろうねー?」

黒竜(ブラックドラゴン)さんじゃなくなったことかなー?」


『貴様らッ……!……っく…はぁ……』


「どうしたのー?」

「攻撃しないのー?」

「なんだなんだー」

「弱虫だなぁー」


『精霊ども……!ここから出るにはどうすればいい……!』


「はははー」

「さっき言ったもんねー」

「ここは君たちがいた世界とは別世界なんだよー」

「出る方法はただ一つ」

「「「「「()()()()()()()()()」」」」」


 小さな精霊たちは口を揃えてそう言い、竜の周りを飛び交っていた。


『契約だと……?竜と精霊にそんなこと……』


「できない、って思ったでしょー」

「それが、そうでもないんだよねー」

「さて」

「なんで僕たちはここにいたでしょー?」


『精霊ども……!さては最初から……!』


「気づくの遅いなー」

「まったくー()()()()も物好きだなー」

「ねー」

「それじゃあ」

「いってらっしゃい」


 竜の周りを眩い光が取り囲んだ後、大精霊の森から、五つの光と邪悪な気配が消えていった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーー



『……戦っていないのではない。そういう契約だ』


「契約ねぇ……」


 俺の前に憤然と佇む黒竜(ブラックドラゴン)は何かを思い出したように遠い目をしていた。

 同時に、黒竜(ブラックドラゴン)の周りに五色の光が回り始めた。


「久しぶりだねー」

「そうだねー」

「死にそうー?」

「助けてあげてもいいんだけど」

「助けなくてもいいんだよねー」


 黒竜(ブラックドラゴン)から愉快な声が聞こえてくる。


「えーっ」

「竜さんよりやばい人間がいるよー」

「わーなにこれー」

「すごいすごいー人間なのにー」

「こんなことってあり得るのー?」


『勇敢だったな人間よ……だが、我は……死ぬわけにはいかない理由があるのだ』


 そう言って黒竜(ブラックドラゴン)は俺に向かって魔法を放ってきた。


 火魔法<火球>、水魔法<水球>、風魔法<風切>

 土魔法<岩弾>、雷魔法<雷撃>

 火魔法<豪炎>、水魔法<水巻>、風魔法<竜巻>

 土魔法<泥沼>、雷魔法<豪雷>


 おおよそ人が生み出せる魔法の速度とは比にならない速度で、さまざまな魔法を繰り出してくる。


「ありえない量だな……っていうか、黒竜(ブラックドラゴン)なのにそんな魔法って打てるんだっけ?」


 俺は魔力に変換した呪力を大量に消費しながら防御魔法を展開する。


「スバル!あれは多分、精霊たちの魔法だと思う!」


 遠くに離れていたラエルとノエルが俺に近づいてきて言う。

 同時にバルジさんも近づいてきて口を開く。


「竜は……精霊と契約できないはずなんだが……」


「でも、黒竜(ブラックドラゴン)が魔法を使うにはさっきの精霊の力を借りないと……」


「じゃあさっきの結界はなんだったんだ?あれも魔法だったんじゃないのか?」


『貴様ら……!いい加減に……!』


 黒竜(ブラックドラゴン)の怒りが最高潮に達したのか、地面がとても揺れている。

 俺は全員に浮遊魔法と防御魔法を重ね掛けして誰も転倒させないようにした。


(…………なんだ…?この、さっきから感じる違和感は……)


 また、黒竜(ブラックドラゴン)が魔法を連続で放ってくるのを、俺は防御魔法<エリア>で、防ぐ。

 と、同時に、獄炎魔法<舞>で反撃もした。


(ありえない…………何かがおかしいのに、その()()がわからない……)


 他のみんなも、各々カバーをしながら着実に黒竜(ブラックドラゴン)へダメージを与えている。

 だが、見たところ黒竜(ブラックドラゴン)に疲弊している様子はない。


「はぁぁぁぁっ!!」


 マーチェは度々、黒竜(ブラックドラゴン)に向かって剣を振り下ろしている。

 先ほどまでは、剣を見るたびに激昂していた黒竜(ブラックドラゴン)だが、今はそんなことどこ吹く風と、()()()向かって()()を放っている。


(攻撃相手が全員……?いや、そんなことじゃないはずだ……でも……)


 ラエルが逃げ遅れて、黒竜(ブラックドラゴン)が放った魔法に当たりそうになる。

 俺は、浮遊魔法と風魔法を使って加速しながらラエルを助けた。


「大丈夫か?」


「あ、ああ。助かったよ、スバル」


 俺はラエルを下ろして、もう一度考える。


 黒竜(ブラックドラゴン)の違和感。

 標的の変化。

 マーチェの剣に激昂していたはずが、今じゃ目的がわからない。

 そして、現れた精霊。

 竜は精霊とは契約できない。

 なのに、魔法が使えないはずの黒竜(ブラックドラゴン)は数々の魔法を……それも息つく暇もなく高速で放ってくる。

 本来SSSSランクであるはずの黒竜(ブラックドラゴン)が、Bランクの冒険者によって手傷を負わされるばかりか、こちらの被害はほとんど皆無。

 根本的な話、なぜ出てきたのかもわかっていない。

 今、ここのありえない状況。


 頭の中に何か引っ掛かるような感じがしながらも俺は攻撃を再開した。



興味を持ってくださった方は下の星マーク、ブックマーク、感想等で応援よろしくおねがします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ