46.会敵
また一週間ぐらい空いてしまいました。
このGWで挽回したいです!
「どうした?いつも元気なお前らがそんなヘコんでいたら俺らの気分もただ下がりじゃねえか」
「いや……あの……」
「すいません、流石にあれは目の毒です」
「僕らの努力がゴミみたいに見えてきます」
俺らと同年代の冒険者、ノエルとラエルを連れてギルドに戻ると、知己らしいおっさんたちが話しかけてきた。
何やら迷言を吐いているが……気にしたら負けなやつだな。
自虐精神旺盛な人に色々とツッコんでも何も得はないしな。
「それじゃあ俺たちはここら辺で。また明日会おうな」
そうノエルとラエルに行って俺たちはギルドから出る。
ノエルとラエルは兄弟なんだそうだ。
まぁ、よく似た出たちだから言われなくても分かるのだが。
「……もう夜か……黒竜、倒せるといいな」
「やっぱりマーチェの言うとおり……」
「だから俺は戦闘狂なんかじゃなくて、健全な冒険者なんだよ!」
「狼の王を瞬殺できるSランク最強魔法使いがそんなこと言っていいの?」
ふ、ふんっ。
Sランクになったのはあくまで成り行きで……しかも、一応SSSランクの冒険者もいるらしいじゃないか。
じゃあ、俺たちも冒険者の中じゃ結構矮小なんだよ。
自分のことを過大評価しすぎて慢心すると死ぬからなフツーに。
「はぁ……あのね?スバル君?SSSランクの冒険者がいるからって、それはAランク冒険者とかBランク冒険者みたいに星の数ほどいるわけじゃなくて一人か二人なんだよ?全然私たち矮小じゃないよ?」
こうも相変わらず心を読んでくる。
これなら冒険者やめて読心術使いになった方がいいのでは?
「そんな面倒くさいことはしないよ。こっちの方が楽しいし」
そうふわっと笑う。
可愛いのだけれども……結局は戦闘狂思考に寄ってるんだよなぁ……
そして当然のように心を読んでくる。
もはや、それは才能だなぁ…………
「そういえばマーチェはどうなったんだろう?」
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三日後。
「……ということで私は森にいたのよ!」
この三日間、マーチェを見ていなかった俺たちは、久しぶりに帰ってきたマーチェに事情を聞いた。
どうやら……この街の周りにある森で鬱憤晴らしに魔物狩りをやっていたらしい。
…………三日間ずっと。
「そ、相当な忍耐力だね……」
セイルは少し怖気ついて何故か俺に近づいてくる。
まぁ、誰でもこんな戦闘狂思考の魔物掃討でも見たら失神するだろう。
率直に行ってやばい。
というか、鬱憤晴らしってなんだよ。
それで三日森に籠るってまじ?
常人じゃありえないんですけど。
まぁ……そういう魔族ということで……
「で、なんか成果はあったのか?」
「うん!あのね!スバルが使ってた……獄炎魔法!あれの強化版?みたいなのができたんだよ!」
「獄炎魔法の強化版?それは気になるな」
「え……それって地獄絵図と化すやつじゃ……」
「気にしない気にしない!ここんじょらの人たちも自分たちの身は守れるはずだよ!……多分」
「は?Sランク同士の闘争?わりぃ俺死んだわ」
「今までありがとう……来世でもパーティー組めるといいな……」
「え……これってもしかしたらこの街消失するんじゃね?」
「この世の終わりだ……母ちゃん、最期に会えなくてごめんな……」
なんかみんな絶望しているみたいだけど……?
「はぁ……これだから……ほら、さっさと森に行くよ。ここでやったら本当にこの街が壊滅することになりかねないから」
むぅ……なんだかバカにされている気分…………
致し方ないか…………
「はいはい、ほら、マーチェさっさとここの円の中に入って。森に行くぞ」
本当はもう少ししっかりと話したかったんだがな……
まぁ、後でもいいか。
最悪死んでいなければ、この話の続きはいつでもできるからな。
「よ、よかった……俺、まだ生きてるよな?」
「母ちゃんの最期に会えそうだよ……よかった……」
「まだ俺らで冒険が続けられるな…」
ものすごく失礼な言葉が聞こえて気がしたけど、気にしたら負けだからいいか。
「……なんなのあの冒険者たち。イラついてきたわ。あとでギルドごと破壊しようかしら……」
そ、それだけは!それだけはやめてくだせぇ!
一部の破壊で今ものすごい借金に追われてんの!
まじで奴隷落ちするよ!二人とも可愛いからどこかのキモデブ貴族にあんなことやそんなことをされちゃうよ!!
「まぁ、マーチェ。ところでその魔法ってのは?」
「ああ、そうね。…………これだわ」
そう言ってマーチェは自分の手から炎を出す。
一瞬、渦状になびいたかと思ったら、一瞬で炎は大きくなって竜巻と化した。
いや。
それは正真正銘の竜の形をしていた。
「…………まじで?この三日で?魔法の伸び代ありすぎじゃない?」
「ふ、ふん!才能よ才能!」
「で、でも、これ、すごいね。スバル君にも……できるのかな?」
「いや、流石にこれはできねえな……一週間あればなんとかなるかもだけど……流石に難しいな……」
竜の形をした炎はそのまま、周りの木々を巻き込んで灰に変えていく。
「えげつねぇ……」
炎の竜はそれなりの速度で、ある方向へ向かっている。
「お、おいちょっと待て。そっちってーー」
「あ、やっば」
「やっば」じゃねえよ!
そっちは街の方じゃねぇか!
街ごと壊滅させる気でいたの?まじで?
「水魔法<水球>!」
魔法使いなら誰でも使える水魔法<水球>。
いわゆる、水の玉を出すだけの魔法。
ただ、熟練者ともなれば、その射出速度は時速50kmを超える。
俺が出したのは、射出速度ではなく、量に特化した<水球>だ。
炎の竜の上に、覆えるほどの水を出す。
そのまま、特に何もせず、落とした。
だが、炎の勢いは止まず、そのまま街に向かおうとしている。
「おいマーチェ!魔力の供給をやめろ!」
「もうやめてるよ!今のは多分……全部残存魔力で動いている!」
「残存魔力…?いや、今はそんなこと考えなくていいか」
どうにかして炎の竜を止めなければ!
どうすれば、街の人たちに被害が及ばずに炎を消せる?
炎が燃えている条件は…………そうか!
「風魔法ーー<渦風>ッ!」
俺は……二酸化炭素濃度マシマシの風邪を炎に叩きつけた。
押し出された酸素により、一瞬、炎が強くなったが、その後にすぐ消えていった。
「危ねえな……あんま変にやるんじゃねえぞ」
しっかりと釘を刺しとく。
これがセイルだけだったら……対処できないでもないが、まぁ、少なからず被害は出そうな気がする。
それに冒険者とかがいたらひとたまりもない。
冒険者ギルドから除名、利用規約違反の罰金、その他諸々…………
世間の立場的にも苦しいもんがあるんだ。
「それにしても……さっき言っていた残存魔力ってなんなんだ?」
「残存魔力は、魔法を放った時に、その魔法に込めていた魔力のことですよ。魔力が完全に魔法に置換されるまではその魔法は止まらないんです」
「へぇ……そうなんだ」
魔力から変換した魔法がずっと効能を持ち続けているのもその残存魔力のせいらしい。
ということは……?
「マーチェ、一体、さっきの魔法にどれだけの魔力を込めたんだ?」
「え?いつもより少し多めにって思ってたんだけど?少なかった?」
「いや……流石にあれは多すぎだ。いつもより多くしたって……上げ幅の限度ってもんがあるだろ」
「だって……仕方なかったんだもん…………」
そう言って俯くマーチェ。
「え?」
俺も異変に気づく。
「まじで?」
セイルもほぼ同時に気づいた。
「えっと……そういうのは聞いてないんですけど……」
「流石に今から戦うのは……」
地面に映し出された大きな影を見て俺たちは言う。
それは、先ほど、暴走した炎の竜の影にすこぶる似ていた。
「奥の谷にいるんじゃ?」
「ギルド員さんの話じゃそうだった気がするんですけど……」
「「「なんで黒竜がここにいんだよ!」」」
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