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異世界転生したら失われた「呪力」を持っていたようです  作者: けーしん
第一章 カートゥーン王国編
45/51

45.不幸体質な〇〇

また前回の投稿から開いてしまいました。

活動報告にお知らせがありますが、特にどうでもいいことなので別に開かなくてもいいです。


果たして、不幸体質なのは誰なのかーー?

「はぁー!美味しかったぁ!」


「はぁ……疲れた……」


 少し経つと、二人が俺の部屋に入ってきた。

 クレープをたくさん食べれてご満足なマーチェと疲れているセイル。


「いやさ、クレープでお腹満たすってどうなのよ?」


 甘いもの好きなのはわかるけど……それでお腹いっぱい……になれるのか?


「そういえば……スバル、さっきの剣はどうしたの?」


 キョロキョロとマーチェは辺りを見渡してから言う。

 さっきの剣……ああ、そういえばあそこに入れたまんまだったな。


 そう思った俺は、空間に裂け目を作る。

 手を突っ込んでオリハルコンの剣を想像した。


 ……感触はないが……手を取り出すと、そこにはしっかりとオリハルコンの剣が握られて出てきた。


 唖然とする二人。


「え……今、どこからそれ出した?」


「空間に裂け目が入ったかと思ったら……もしかしてまた変な魔法を?」


「いや別に……何も変な魔法じゃないと思うんだけど」


「はぁ……魔法で追いつこうと思ったらすぐこれだよ……どんどん魔法を作っていくから大変だよ……っていうかもう追いつけない気がする」


「ちなみにさっき入れたものだと他にも……例えばほら、この本とか」


 そう言いながら俺は裂け目に手を突っ込み本を取り出す。

 サンポートで買った本だ。


「なんならこいつだってこの中に入れることができる」


 そう言って俺はタスライトを裂け目の中に放り込んだ。


 ーーおいおい、ちょっと待てってーー


 全員にその声が聞こえた後、そこは静かになった。


「セイルの不安もこれで邪魔されなくなったな」


「ふ、不安だなんて!そ、そんなこと思ってないし!」


「ふーん?セイルはいつも心配だもんねースバルのこと大好きだもんねー」


「ええ!?ちょ、ちょっとマーチェ!?」


「ははは……心配かけたのか……ごめんな…」


 そう言って俺はセイルの頭を撫でる。

 焦り顔だったセイルもすぐにニヤけ顔に変わる。


(え……何あれ、無自覚でやってんの?マジで?スバルってやばくない?)


 マーチェに訝しげな視線を向けられるが……俺は何も変なことをしていないはずだ!


 至って普通。

 平凡かつ、訝しい目を向けられる謂れはどこにもないはずだ!


(はぁ、なんでこの二人はラブラブで私にはいい男が現れないんだろう……)


 自分の立場に困り果てるマーチェだった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーー




「はぁ…!はぁ……!」


「おい!大丈夫か!?後ちょっとでセットポートにつくぞ!」


「こ、こんな浅いところにあんなのがいるなんて聞いてねぇよ!!」


「って、ていうか、数が多すぎねえか!?」


「おい、お前、後ろーー」


 ザンッ


「……え?」


 血飛沫が上がる。

 たが、それは人間の()()ではない。


「……は?」


「ふーあっぶねぇ。大丈夫か?」


 そこには一人の青年こと、スバルが立っていた。




 数分前。


「あ、そういえば」


「?どうしたの?」


「ここにもさ、資料館みたいなのってあるんだっけ?」


「ああ、サンポートにあったやつですよね。確かあったはずですけど……今はもう遅いんじゃ……」


 現在、マーチェに振り回されまくって、午後6時。

 日も順調に傾いていって、綺麗な夕日が西の地平線に浮かび上がる。

 とはいえ周りは森だらけだから地平線なんて言えないのだけれども。


 どうやら、この世界では、日が沈むのが遅いらしい。

 完全に沈むのは七時をすぎてから。

 代わりに、日が上るのはそれこそ七時を過ぎたあたりだ。


「これは誰のせいだ。誰の。」


「……(セイルとスバルはイチャついているくせに私にはいい男が現れない腹いせよ!なんか文句ある?)」


 黙っているのに、すぐそこで囁かれているように言葉が聞こえている。

 ……そうか、そうだったのか……

 イチャつくって……前世童貞の俺には全然関係ないことだと思っていたんだがな……

 ましてや、恋愛経験皆無のヘタレ。

 こんな俺にどうしろと?


 そもそも、普通に接しているはずなのにイチャつき認定されるのが気に食わない。


「はぁ……仕方ない。今日中の資料館行きは諦めてすぐに宿に戻るか……」


「あ、それだったらさ、二人とも、森に行ったら?さっきセイルが新しい魔法の理論を開発したからスバルに見てほしいって言ってたよ」


「え!?ちょ、マーチェ?」


「よし!じゃあそうと決まれば……ほらスバル!さっさと転移魔法出しなさい!」


「いやいや、まだ何も決まってないんだが?」


「ごちゃごちゃ言ってないで早く!じゃないと○すわよ」


 …………イエッサー!


「それじゃあ……二人のデートを楽しんできてね!」


 楽しそうに手を振るマーチェ。

 困惑する、バルジさん達。


 なんだ、これは。

 マーチェの無理矢理度が酷すぎる。


 絶対、くっつけようとしてきてるだろ。

 自称童貞ヘタレの俺にそんな勇気ねぇっつーの。


「はぁ……仕方ない……セイルも、新しい魔法理論なんてないんだろ?」


「………一応、ありますけど……」


 まさかのそこは本当だった!?

 どゆこと!?


「へ、へぇ……どんなの?」


「ええっと……スバル君がよく使う、受動探索魔法のことについてなんですけど……」


 ほう。

 受動探索魔法は、ものすごく汎用性が高い魔法だ。

 ただ、結構綿密な魔力制御を必要とし、扱える人間もほとんどいない。


 ちなみに俺たちのパーティーじゃ、効果範囲に差こそあれど、一応みんな使える。


 セイルの話を聞くと、だいたいこういうことだ。


 まず、受動探索魔法は、魔力をできる限り薄く広げた物を地面に這わせる、それか、空気に伝達して魔力の波動の変化から読み取る、の二つの方法がある。


 で、俺が基本的に使ってるのは、空気伝達の方なんだけれども、マーチェとセイルが使っているのは魔力をできる限り薄くして地面に這わせる方法。

 こっちの方が、魔力消費量が少ない代わりに、空中の魔物……飛んでいる龍とかは捕捉することができない。


 セイルは、俺が使っているような空気伝達の受動探索魔法の効果範囲を地面を這わせた場合と同じ魔力量でできるようにしたらしい。

 実際、その理論通りにやってみると、今まで受動探索魔法の範囲外だったところからも情報が入るようになった。


 それと同時に、とある魔物と二つの人間の存在も確認できた。

 二人の人間は……魔物から逃げているが、多分冒険者とかなんだろう。


 魔物は完全に追いかけモードに入ってる。

 それも結構上位の……ハイウルフってところかな。

 もしかしたら狼の王(ウルフ・ロード)もいるかもしれないな。


「セイル……これは……」


「はい!楽しみですね!」


 うん。やっぱりマーチェがいなくてもセイルの根幹には戦闘狂の考えが残っているっぽいな。

 こいつら……黒竜の前でも()()は流石にないよな……?


 ……流石にないか……?


「じゃ、そうと決まればさっさと行きますか」


「そうしようそうしよう」


 いやね……そんな軽い気持ちで行くのってどうなん?

 もう戦闘狂通り越して不謹慎だよ………


 ま、これはもう、諦めるしか……


 そして現在に至る。


「あれ?君たちさっきの……」


「本当だ。さっきの私たち勧誘してきた子たちじゃない」


「あ…」


 どうやら助けた二人はさっき俺たちを勧誘してきた二人組の子供だった。

 …………とはい俺たちも子供ではあるんだがな。


「あ、ありがとう。やっぱり強いんだな」


「そ、そんなことよりも、この奥にーー」


「ああ、それならもうとっくのとうに気づいているよ」


 ちょうど辺りの茂みが激しく揺れる。

 五体の魔物化した狼が出てきた。

 さらに奥から、禍々しい、魔物の狼が出てくる。


「ひ、ひぃっ!狼の王(ウルフ・ロード)っ!?」


「はは、セイル。再戦じゃないのか?」


「くぅぅぅ……私の失態を覚えているなんて……」


 セイルは、あの時、戦おうとして、マーチェに止められ、結局何もせずに終わった。


「じゃ、俺は手出ししないから、頑張ってね」


「ありがとう!スバルは優しいね!」


 うん、戦闘狂だな。

 ただ単純に魔物を倒せる権利をもらえると優しいと言うことになるらしい。セイルの尺度では。


「それじゃあ……ええと、名前、なんだっけ?」


「獄炎魔法」


「そう!それそれ。それじゃあ獄炎魔法<乱>」


 そういうと、セイルのてから炎が出される。

 不規則な軌道を描いて狼の王(ウルフ・ロード)の周りをまわる。


「トドメどうすんの?」


「…あ、そう言えばこれって……」


 ずっとグルグル狼の王(ウルフ・ロード)の周りを回っている。

 段々火の勢いが弱くなっていく。


 そりゃ、そうなるわ。

 空気入れてないもんね。

 風で操っていただけだから仕方ないな。


「え……こ、これ、大丈夫なのか?」


「ご、ごめーんスバル君、お願い!」


 まぁ、やれと言われたらやるけどもね?

 決して俺はそこんじょらの戦闘狂とはわけが違うよ?


「前のと同じ方法でもいいんだけど……それじゃ面白くないし、どんな魔法が効くか試してみたいしね」


「やっぱりマーチェの言うとおりスバル君も戦闘狂なのでは?」


 俺もその括りに入れないで!?戦闘狂認定されるから、まじで。

 あらぬ誤解は受けたくないんです。


「そいじゃ、ほいっと」


 前回は水魔法による蒸気の攻撃。

 じゃあ今回は最近よく使うようになってきた雷魔法<雷撃>だな。

 別に風魔法<渦風>でもいいんだけども……やっぱり試してみたいじゃん?


 さすが雷魔法と言うべきか、しっかりと直撃した。

 でも、なかなか倒れない。

 二発目、三発目と打っていっても倒れない。


「こりゃあ……もしかして、雷属性に耐性でもついてる?」


 そうくると大変だ。

 流石に数十発も俺は打てない。

 となると……風魔法か土魔法か……


 …………土魔法だな。


 というか、ほとんど土魔法は使ったことがないんだよな。

 なんか土魔法って……見栄えないよね。

 あるとしたら……いや見栄えはないけれども単純に圧殺とか、沼化とか、固めた岩を放つとか……それぐらいしかないんだよな、土魔法って。

 いやまぁ、そんなこと言ったら雷魔法も似たようなもんだけども……かっこいいじゃん?なんか雷魔法って。



「じゃあこの前のと似た感じになるかもしれないけど、圧殺かなー」


「見栄えがなくなっちゃうね。それじゃあ」


「戦闘に見栄えを求めんな。セイルもだんだんとマーチェに言動が似てきているぞ」


 そう会話するスバルとマーチェを遠い目で見ている二人組がいた。


「見栄えとか……」


「戦闘狂とか……」


「「Sランクって次元が違うんだなぁ……」」




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