42.セットポートで <下>
少し短いですね、はい。
その後、なんとか自由に風魔法を操れるようになったマーチェに、獄炎魔法を発動する際のコツを教えている。
「うーんと……こういうこと?」
「違う違う!そっちじゃなくて、こっち!風魔法はこっちに送らなきゃ火が消えるしーー」
そう説明しようとすると、マーチェが突然膝から崩れ落ちた。
「マーチェ!?大丈夫!?」
すぐ、異変に気づいたセイルが浮遊魔法をやめて近づいてくる。
と同時に治癒魔法をかけようとするのを俺は遮った。
「ええ!?スバル君どうして?マーチェは大丈夫なの?」
「うん、多分、俺がたまに倒れて半日寝込むみたいな感じだと思う。マーチェは魔力を多いけど、しっかりとした制御にはなれていないからなぁ……まぁ、ここまで持てただけですごい方だと思うけど…………少し無理をさせすぎたいみたいだ。また明日ここにくることにしよう」
そう言って俺は地面に大きな魔法陣を描く。
魔法陣の必中効果は円の中だ。
普段は俺一人……三人分含めて半径1メートルの魔法陣を三つ出していたが、今回みたいな場合においては少し大きめの魔法陣を展開した方がコスパがいいこともある。
「そういえばスバル君、今度コレを教えてくれない?」
「ん……時間があればな」
そう言いながら俺たちは街の人たちに気づかれないように転移し、宿に戻った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「っていうことが、あったんですけど……」
「なぜかものの数分で起きてここに着いてきたと。」
「はい、休んでろとは言ったんですけどね」
「はは……まぁ君たちらしいじゃないか」
俺たちは今、バルジさんのパーティたちとセットポートを観光している。
マーチェは……宿で休ませようと思ったのだが……
なぜかベッドのところに寝かせて、セイルに頼んだ後、部屋を出ようとした時にマーチェは起きた。
その後、俺がバルジさん達のところに行くと聞いてついてきたのだ。
「……本当に、ここで倒れたらどうするつもりなんだよ?」
「そりゃあ、だってスバルは宿まで連れて行ってくれるでしょ?」
「いやまぁ……それはそうだけど……俺たちがいなかったらどうするんだ?もしかしたら人攫いにも……」
「…………常時受動探索魔法を展開して人の位置が丸わかりしている人に言われたくないわ。どうせ私がはぐれたってすぐ気づくんでしょ?」
「………………俺が倒れてたら?」
「そろそろ物事を下向きに考えるのをやめろっ!!」
俺が次々と最悪のパターンを言っていると、マーチェに拳骨をもらった。
「…………暴力反対」
「オーガを一つの魔法で百体近く倒す輩に言われたくないわ」
「…………戦闘狂め…」
ブチッ
「だぁれが戦闘狂ですって〜?」
「なんでもないですすみません」
「はぁ……また二人は…バカなことやってないで、マーチェ、あのパフェいらないの?」
「いるっ!!」
セイルの甘言に釣られたマーチェは猛ダッシュでセイルが指差した方向へ飛んでいった。
……倒れてから間もないのにすげぇなぁ…………
エネルギッシュだなぁ…………
「相変わらずだな……そういえばスバル。黒竜を倒すって?」
「はぁ……まぁ、少しやらかしちゃったんで致し方ないかなと。」
「ちなみに攻略法とかについて聞いてもいいか?」
「攻略法ですか…?特にありませんよ。とりあえず魔法で戦って……剣で戦って……魔力が使えなくなったらお陀仏です」
「…………そんなにやばいことをやらかしたのか?」
「気づかなかったんですか?スバル君、冒険者ギルドの一階部分、食堂のところの三分の一をぶっ壊したんですよ、魔法なしで」
「は!?魔法なしで!?三分の一をぶっ壊したぁ!?」
「損害額は金貨数百枚に上るって言われてます」
「え、何それスバル。お前、自分から借金背負って奴隷になりたかったの?Mなん?」
ひどい言われようだが、決して俺にそんな性癖はない……はずだ。
ちなみに金貨数百枚といえど、俺たちならギリギリ払える額ではある。
オーガ二十体の時も……金貨を結構もらったしSSランクの魔物でも倒せばその借金は完済できるかもしれない。
「……私、損害額のこと聞いてないんだけど」
マーチェがジト目で見上げてくる。
「い、いや!べ、別に変なことじゃ、ないだろう?か、か、かか、隠してたなんて、そんなはずないに決まってるじゃないか!」
や、やばい。
マーチェは意外とお金にシビアだ。
マーチェに何も言わず……セイルがどっかで高い本を買ってきた時に、延々と説教させえられていたような……
「スバル、あうとー。毎日昼ご飯抜きでー」
「そ、それだけは……」
「ス、スバル君、こ、これは自業自得じゃないかな……」
っくぅ……
セイルめ。自分は関係ないといいよがばしに……
無念。
「……で、どうやって黒竜を攻略するんだい?流石に、突撃だけじゃ死ぬだろう?」
「黒竜ってSSSSですよね。あんなの最初から無理だってわかってんだったら足掻く気力も湧いてきません……ああ……俺はここで死ぬのか……」
「そういうってことは結構余裕があるってことなんだね」
「ふえ!?そんなことないっすよ!自分がこれから死にいくのを落胆しているだけです」
「……普通の人間なら落胆なんてせずに夜逃げするか、なんとかして黒竜を倒そうと思うはずなんだけどな……」
「生憎、彼は人外ですからね。強者のよゆーってやつですよ」
【魔法使い】パルムさんに揶揄われる。
そんな変な話かなぁ……?
っていうか俺嫌われすぎじゃないかな……
「じゃあとりあえず、人間らしく足掻いてみますよ……で、何すればいいんですか?とりあえず予定としては三日後くらいには行こうかなーって思ってるんですけど」
「黒竜は、残忍かつ狡猾だ。正直言って、スバルでも倒せるとは思えない。私の知り合いのパーティーには黒竜に会ったことがある奴がいるんだけど、そいつ黒竜に生かされたらしいぞ」
「生かされた?なんで?黒竜は残忍なんじゃないんですか?」
「ああ。だけど、黒竜は気が変わったとかなんとか言って生かして帰したらしい。その時あいつは確か……なんだっけ?」
「薬草」
「そうそう、なんかの薬草をつけていたから助かったとか言ってたな。だから先にそれを探しておいたらどうだ?万が一のことがあった時に逃げられるかもしれないぞ」
「へぇ……そんなことが…………」
「それと……一応全員剣は使えるようになっておいた方がいいんじゃないか?」
「……それはなんで、って聞くまでもないですね……じゃあとりあえず……新しい剣を三本新調しますか」
「三本?君とマーチェは持ってるんだろう?なんでそんなにいるんだ?」
「だって剣って……折れやすいじゃないですか」
「折れやすいって……お前もしかして…………」
「?なんか変なこと言いました?」
「お前、ミスリルとオリハルコンって聞いたことあるか?」
「オ、リハルコン?ミスリル?なんすかそれ?」
そう俺がいうと、なんと全員がため息をついた。
マーチェやセイルも含め全員だ。
「常識知らずと思っていたけどここまでとはね……」
「ス、スバル君!大丈夫ですか?熱はありませんか!?」
まぁ……心配されるのは嬉しいんだけども……少し方向性がね…………
「ミスリルとオリハルコン。それぞれの特性があって、ミスリルはものすごく軽くて鋼より強い。オリハルコンは……単純に言えば鉄の数十倍は硬い。それを使えば剣が折れるなんてことはなくなる。」
鉄の数十倍硬いって……もはやダイヤモンドじゃん。
ダイヤモンドを剣にって……絶対金貨が溶けていくパターン。
「ちなみにお値段は?」
「完成しているオリハルコンなら金貨5枚から30枚くらいまで。ミスリルはもっと安かったかな?それぞれの鉱石を持ち寄って鍛治屋に行けばそれの半額……までは行かなくてもそれなりに安くなるはず。」
うん。思ってたよりも安い!
この世界の通貨を日本円に直すと……五十万から三百万円ってところかな。
賠償額が一億円を超えてなくてよかった……
ちなみに今の預金は……この前の謝礼金を差し引いても金貨500枚くらいあったような……
ま、剣を買うには障害は特にないと!
「どこで売ってるんですか?」
「んと………そこ。」
「底?下に?」
「違う違うあっち」
バルジさんが指差した方向にはいかにもな武器屋があった。
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