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異世界転生したら失われた「呪力」を持っていたようです  作者: けーしん
第一章 カートゥーン王国編
36/51

36.襲撃

昨日投稿できなくてすみません。

多めに見てくれると嬉しいです。


一番下の☆マークで評価、いいねや、ブックマーク登録などよろしくお願いします。

「ふああぁぁ……よく寝た……」


 俺はまだ眠気がのこる目をこすりながら、着替えた。

 顔を洗い、立てかけておいたタスライトを手にとる。

 部屋を出た。


 タスライトは鞘に入っていない。

 つまり、刃部にあたれば切れる。さらにタスライトは呪剣だから、再生阻害ーーつまり治癒魔法が効かなくなる。

 すれ違う人に当たらないようにかたに担いだ。


 当然すれ違う人には怪訝な目で見られる。


 ……まぁこれも今日までだ。


 そう思いながら一階にある食堂まで降りていった。


 食堂には当然のことながらマーチェもセイルもすでにいた。

 マーチェはまだ眠気まなこだが。


 マーチェが朝に弱いことは俺たちの間では周知の事実だ。

 まぁ別に戦っている時もそこまで頭を使っているようには見えないので、支障はそこまでないのだが。


 そんなことを思っているとまだ脳は眠っているはずのマーチェに睨まれた。

 表情筋だけが独立して動いているのだろうか?


 そうだとするとものすごく器用な人間だ。

 脳は眠りながら筋肉は動く……だと!?


 まるでイルカのような所業を朝から目の当たりにした俺はとりあえず席について今日の予定について話し始めた。


「ーーまぁこんな感じで今日は終わりかな。もしかしたら明日セットポート行きの高速船に乗るかもしれないから。準備はしといて」


 あらかたの説明をし終えた後、マーチェから不服の声が投げられる。


「ーーで?いつになったら()()、やってくれるの?」


 マーチェが言うのはもちろん魔法の訓練だ。

 自分が先に約束したのに、セイルに先をこされ、その癖、なかなか訓練自体やってもらえない。

 そりゃあ誰だってこんな顔になるわ。


 …………前言撤回。こんな可愛い顔にはならんだろ。


 マーチェの今の顔はまさに何か要求を聞いてもらえず頰を膨らませている子供みたいだ。

 まぁこんな言い方をすると俺がロリ○ンと勘違いされてしまいそうだが決して俺にそのような性癖はない。


 ……って言うかこの顔を見て可愛いと思わない人間がいるのなら教えて欲しい。


 そんなこんなで文句を言うマーチェのことをのほほんと眺めていたら、前に座っていたマーチェから拳が飛んできた。

 さらに隣に座っていたセイルにも叩かれた。


 二連撃だ。


「何をニヤニヤしてるのよ。気持ち悪い」


「誰に向かって鼻の下を伸ばしているんですか。気持ち悪い」


 二人から、体も心もズタボロにされ、傷ついていると、頭の中に声が響いた。


 ーーおまえ、好かれてんな


 ……んなわけあるか


 ーーはは。これで気づかんとなると相当な鈍感だな?この鈍感色男め


 ……色男ぉ?色男ねぇ………どこぞのイケメンが異世界(こっち)にきてたら今頃この二人の他にも女がいてハーレムでも作ってんだろ……


 ーー……まじで気づいていないのか……


「さて。そろそろ行くか」


 そう言って俺は席を立つ。

 タスライトを肩に担いで宿の入り口の方へ向かった。


 …………何かが後ろから来ている気がする……

 …………気のせいだろうか……?


 そんな思いを振り払って俺は武器屋を探した。

 周りの道を行き交う人から視線を向けられる。


 主に剣の方。

 視線が痛い。


 ついでに後ろから怨念の籠もった視線を向けられてる。


 ……残念ながらこっちは心当たりしかないんだよなぁ……


 途中でよくわからない兵士?みたいなのに声をかけられた。

 どうやら通報されたらしい。


 さっきの視線はそれか。

 で、よく見たら街の門番の人だった。


 どうやら一応街中の警戒とかもしてるらしい。

 まぁ相手は俺だって気づいた瞬間ちょっと笑って帰っていったけどな。

 いつも門に飛んでるからか、いつの間にか結構喋る仲になっていた。

 俺がこの剣の鞘を探していることも知ってる。


 っていう騒動もありながら俺()()は武器屋についた。


「へぇ…こんなのが……」


 そうつぶやきながら俺は店内を見て回った


「これはこれは坊主たち。ここに来るんじゃないよ。ここは子供の来るところじゃな……ってなんだ!?……坊主?それ、どこで拾った?」


 俺の担いでいる剣を見て店主は明らかに動揺した。


「ああ。これ。鞘が欲しいんだけど、特注だと今日中に作られる?」


「鞘ぁ?なんだい坊主。鞘に入れて騎士さんみたいになりたいのか?そりゃぁ無理だそんな大きな剣の鞘何か腰に差してたら騎士なんかには見えないぜ。夢を持つのはいいが……ある程度の限度ってもんがあるだろ。」


「……?作れないのか?これでも俺、一応冒険者やってるんだけどな……まぁできないなら別のところに当たるか……」


「は!?坊主、冒険者なのか!?ええとこの街に子供の冒険者なんて……まさか…………坊主。ちなみにランクは?」


「え?まぁ自慢みたいになっちゃうけど俺、Sランクだよこの二人と一緒にやってる。」


 そう言って後ろに立ってた二人を指差す。


「ええ!?スバル!?何で気づいたの?一回も後ろ向いてなかったのに…………」


「そりゃだって二年間以上一緒にいたら二人の魔力ぐらい区別つくしさ。受動探索魔法でわかったよ。それにマーチェ、めっちゃ睨んでくるじゃん」


「ぐぬぬぬ…………」


 めっちゃ悔しがってた。

 何か清々しいなぁ…………


 俺たちが話していると完全に空気になっていた店主が口を開いた。


「この年でSランクとはね……わかった坊主貸してみ。採寸だけしてくれりゃ3時間ぐらいでできるよ」


「よかった。じゃあこれよろしくお願いします」


 そう言って俺はタスライトを店主に渡す。

 少しタスライトが嫌そうな顔をしたが……まぁそういう約束だからな……


 店主さんはすぐに採寸をして返してくれた。

 冷や汗がめっちゃ出てた。


 何やってんだタスライト……


 そう思って俺は剣を受け取り、話しかけた。


 ーー何やったんだ?店主、めっちゃ冷や汗が出てたぞ?


 ーーふん。別に?


 ああ。こりゃ機嫌を悪くしちゃったな……


 ーーどうしたんだ?なんかあったのか?


 ーーふん。なんでもねぇよ


 ーー嘘つけ。機嫌悪いくせに


 ーーとっとと次行くぞ…………本、だったか?


 そう。次にやるべき行動は、借りていた本を返すこと。

 まぁぶっちゃけ特になんの問題もない。


「じゃあ店主さん。後で取りに来るのでよろしくお願いします」


 そう言って俺は店を出た。

 後ろから声がかかる。


「……何で街中で受動探索魔法展開してんのよ……」


 ため息をつきながらマーチェが言う。


「……不審すぎんだよ。それに、周りの人の目、俺が担いでた剣の方見たあとにお前らの方見てんじゃん。後ろから美少女二人がついてくるってね。まぁそういうわけだ」


「美少女って……気持ち悪い!!」


 そう言ってマーチェは俺の頭を叩いた。

 流石に今日二回目なので避けたが。


 別方向から来た攻撃は避けられなかった。


「全く……誰に鼻の下をのばしているの…………気持ち悪い……」


「い……いてぇ……」


 これじゃあ俺の心身が持たない……

 何で今日は俺、めっちゃ叩かれるんだ?


「…………さっさと行くわよ」


 そう言ってマーチェは俺の腕を掴んで引っ張っていく。

 ……いや。どっちかって言うとつねっている。


 い、痛い……


 そう思ってるとマーチェはさらにつねる力を込めた。


 い、痛い!痛すぎる!

 やめてくれぇぇぇぇぇぇ……



 ーーーーーーーーーーーーーーーーー



 領主館にある資料室。

 執事とスバルが話していた。


「はい。確認しました。またのご利用をお待ちしております。」


 ……飲食店じゃないんだからさ…そういうのってどうなの?


 そう思うが、口には出さないでおく。

 なぜなら最悪、死刑になる…かもしれないから。


「…………で。何でお前らまで来てんだよ」


「私はスバル君とここに来ましたから。返す義務があるので」


「私はまたセイルに抜け駆けされたら困るからよ」


 ……セイルの方はまだわかるけど……


 マーチェの方はどうなんだ?

 言ってる理由が結構不純な気が……


「まぁ別にいいか。じゃあ高速船乗り場でも行くか?」


「そうね。明日もうここを出るって言ってたもんね。それから、鞘を取ってからにしたら?」


「ああ。そういえば。じゃあ一回宿に戻って()()取ってから鞘を受け取って高速船乗り場に行くか」


 タスライトは領主館の資料室には持ち込めないので宿に置きっぱなしにしていた。

 鞘もきっとできているはず。


 そう思って俺は領主館を出た。

 二人共ついてくる。


 ス…ストーカーか……?


 なんかおかしい気持ちを胸に宿に帰った。



 同刻。

 領主館の資料室を管理していた執事は先程返してもらった本を見ていた。


「ほう……呪術の本ですか……この本を借りたのは……数十年前に一回だけですか……なるほど。スバル=シンフォニー……これは報告せねば」


 ニヤリと口角が上がった執事がいた。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーー



 宿に戻りタスライトを担いで俺は()()()武器屋に行った。

 案の定鞘はもうできていたようで俺は鞘の中にタスライトを入れた。


 不満の声が上がる。


 ーーこれ。もうちょっと快適にできないのか?


「諦めろ。これが多分限界だ」


「坊主?誰と話しているんだ?」


「ああ。こっちの話なのでお気にせず」


 ーーむさ苦しくてかなわん。どうにかなんないのか?


「無理だって。さっさと行くぞ」


 ーーなんだ?どこにかに行くのか?


「あの高速船のチケット売り場だな。明日ここを立つ。」


 ーーそうなのか。二人はそこに?


「ああ。先に行って待ってるって。だからさっさと行くぞ。遅れたらワンチャン殺される」


 ーーはは……早速尻に敷かれてんな……


 そんな他愛のない会話をタスライトとしていると、街の北門に砂煙が見えた。

 急いで走ってきてる門番さんがいる。

 息を切らして、相当急いでやってきたんだと分かる。


 その門番さん達は、大きな声で叫んだ。


「コブリンの大群だーッ!!」

「オーガもいるぞーッ!!南に逃げろーッ!」

「誰か冒険者ギルドに伝えてBランク以上の冒険者をよこしてくれ!!」


 通りにいる人はみんなギョッとしている。

 一瞬、通りにいた人全員の動きが止まり、誰かが、家の中に入って行ったのを合図に慌ただしく動き出した。

 ギルドがある、南に走っていく人や、荷物をまとめて逃げようとする人、迷子になっている子供とかがいる。


 まるで絵に描いた混沌のようだった。


「さっさと殲滅するか?」


 ーーまぁそれでいいだろう。準備運動だな。コブリンは。


「それじゃあ行きますか」


 そう言って俺は転移魔法を展開して街の北門まで来た。

「帰らずの森」とかはこっち側にある。


 ……オーガの被害が大きかったのはこれか…


 そう思う俺の前にはコブリンが百体以上いた。

 後ろの方にはさっきまでのとは比べ物にならないほどの砂煙が出ていた。


「先手必勝ってね」


 そう言って俺は獄炎魔法<乱>を起動した。

 5個同時に。


 先陣を切っていたコブリンたちは今の一撃で大体葬り去った。

 だが、俺が呪力から魔力に変換できるのは火魔法<火球>の消費魔力を1とすると百しか一度に変換できない。

 さらに一度の消費魔力量五十を超えると精神的なダメージを喰らう。

 で、ちなみに、獄炎魔法<乱>は一つで十五ぐらいが魔力を消費する。

 つまり、5個同時発動なので75も魔力を消費した。

 相当の精神ダメージが来ている。


 息切れもしてしまった。


「おいおい……まじかよ……」


 コブリンの後ろにオーガが二百体ぐらい迫ってきていた。






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