33.オーガ 【5】
前話:呪剣タスライトを手に入れた。
ふー。疲れましたぁ。
みなさん春休みがありますか?
長い人とかって羨ましいよね……
特に学生とか……
はぁ……戻りたい……
「さてと……久しぶりのオーガ討伐でもしますか……」
ーーどう言うことだ?転移魔法が使えるだと?
「んあ?そうだけど?」
ーーそうか……高位の魔法使いだったんだな……
「え?んなことないよ。じいちゃんもやってたし」
ーーじいちゃん?年老いた魔法使いで転移魔法が使えるのって確か……?
「ああ。俺のじいちゃんサージェスって言うんだ。知ってる?巷で言う賢者だよ」
ーー賢者……か……もちろん知らないはずがない…………だが……
「どうしたんだ?」
ーー賢者……は、俺とサイオンジが戦ったやつだ。思っていた以上の手だれでな。サイオンジを苦戦させたんだ。
「そうか……ってじいちゃんと?!」
ーーああ。結果としてはサイオンジが勝ったが、サイオンジも無視できない傷をおったからな。
「ふーん……そうだったんだ…………っと、いたいた。」
じいちゃんとサイオンジが戦ったことがあるという事実に驚きながらも、俺は目的のものを見つけた。
500mぐらい離れたところにいるオーガの一群だ。
「なぁ、お前を使ってこれ、倒していいか?」
ーーはぁ……まぁちゃんと解呪してくれるのが条件だがな……
「いいってことでいいんだよね?」
ーー……さっさとしろ。長い間振られると酔うんだ。
「へぇ……剣のくせに酔うんだ……」
そう言いながら浮遊魔法と風魔法を同時発動させる。
「ちょっと加速させるぞ……って、ああ……」
俺が空に浮いて加速することを伝えようとタスライトに語りかけようとしたが、それは叶わなかった。
……もうすでに漆黒の剣が青色になってきている。
「酔ってんな……」
そう言いながら、俺は、浮遊魔法を解除し、風魔法、身体強化魔法、治癒魔法を起動させて、剣を逆手にとり地面に降り立った。
ーーお、お前……覚えとけよ……
そうタスライトが言うと、青がかっていた剣は元の漆黒の色に変わっていった。
多分、自分の意識を剣の奥底に沈めていったのだろう。
「……器用なことするな。お前」
だが、とりあえずこれでいくら振っても、タスライトは酔わない。
つまり、俺の好き勝手にできると言うことだ。
「さて……何体倒せばいいんだっけ?」
「人間かぁ?こりゃあいい時に来てくれたなぁ!」
そうオーガは俺にいう。
彼らの足元には、子供の人間の姿があった。
今まで痛めつけられてきたのだろう。
もう既に息はなかった。
「お前ら……そんな小さな子供をいたぶって何が楽しい?」
「ぎゃはははは!!こっちは使えなくなったからなぁ!!今度はオメェだ!」
「…………」
襲いかかってくる、オーガを俺はタスライトを使って切り落としていく。
タスライトで切った断面には何か魔法陣らしきものが描かれていった。
(なんだ?あれは……?)
よく見ると、じいちゃんが言っていた、封印魔法の魔法陣に似ていた。
治癒魔法の魔法陣にも少し似ている。
……予測するにこれは再生妨害かな……
オーガは、ある程度の怪我であれば自分で再生することが可能だ。
だがら、魔物の中でも高位の魔物になっている。
さらにカートゥーン王国外ーーつまり、別の大陸にいるオーガは魔王に認められ、「魔族」認定されているオーガもいるとかなんとか。
意思疎通もできるし、厄介な魔物なのだ。
……だが。頭が致命的に悪い。
オーガの上位種、ハイオーガやオーガロードなどに統率されないと、オーガはただの烏合の衆になる。
つまりここにいる、オーガたちだけでは俺に勝つことはほとんど……ない。
再生速度を売りにして、特攻を繰り返すオーガもいるようだが、この呪剣タスライトはきっと再生阻害をしてくれる。
つまり、一度切ったところは、もう治らない。
オーガにも血はあるし、血が失われると、人間で言う失血症にかかって死ぬ。
だが、治せないため、血はダダ漏れになる。
つまり、俺がある程度の傷をオーガに与えて、あとは防御魔法<ガード>か<バリア>かで自分の周りを囲って待っていれば勝手に死んでいく。
…………………
……………つまらんな…
そう思った俺は、風魔法を使って、カッターのようなものをだし、オーガたちの首を切っていく。
「人間?なんでぇそんなにぃ強いんだぁ?」
「さあな?お前らが弱いんじゃないか?」
「俺たちがぁ!弱いぃ!わけがないんだよぉ!!」
そう言ってオーガは魔法をぶっ放してきた。
火魔法だ。
俺はそれを水魔法を使って相殺する。
「……魔法使えたのか」
「俺たちゃ魔物じゃなくて魔族だぁ!魔法ぐらい造作ねぇぞ!」
「そうなのか?」
そう言いつつ、俺は倒していったオーガたちの魔石を回収する。
こう言う時にも反重力魔法ーーつまり浮遊魔法は役にたつ。
浮遊魔法と風魔法を駆使して、自分の手元にある袋に入れていく。
「さてと……必要な量は集まったかな?…………あとちょっとか……」
「くくくっ……!お前はその依頼をこなすことはできない!!」
「そうか?俺がお前を倒せば多分足りるぞ?」
「へっ!お前が俺を倒すことができないって言ってるんだよ!」
「確かに、魔石を残して倒すことはできなさそうだな」
そう言いつつ俺はある魔法を展開する。
「オーガは火属性の魔法に弱いんだったな?」
「それがどうし………なっ?!」
「獄炎魔法<乱>」
俺が放った渦の炎はオーガたちを巻き込み、強烈な火力で辺りを燃やしていった。
「……あちゃ……やっちった。」
そう言いながら俺は自分に浮遊魔法をかけ、浮かび上がり、そこから水魔法を展開した。
「こう言うのは後始末が大変だよな……」
俺は空から雨を降らした。
相当の量の水蒸気が上がる。
(…………)
ーーなんなんだ?今の魔法。聞いたこともなければ相当な威力じゃないか。
「なんだ起きていたのかタスライト」
ーー起きるも何も俺自体がこの剣だからな?そりゃ大体のことはわかるさ。それにしても…………!!
「なんだ気づくのが遅いな。」
そこまでいった時点で俺は既に膨大な呪力を魔力に変換していた。
圧縮用の抑えだ。
ーーお、お前何する気だ?
「いやちょっとね。オリジナルの魔法のバリエーションを増やそうと思って。」
そう言って俺は周りにある水蒸気を魔力で集めていく。
そして高濃度の魔力で水蒸気を圧縮していく。
「なぁ知ってるか?水蒸気を冷やすとーー」
そう言いながら集めて圧縮した水蒸気を一気に冷やす。
爆音が鳴り響いた。
「ーー爆発するんだ。」
ある程度周りが良くなってから言おうと思ったが、タスライトは呪剣。
俺の思念を読むことができる。
ーー…………言葉が出ないな。そもそもすい、スイジョウキ?なんだそれ?
俺はびっくりした。
水蒸気の概念がこの世界にはない。
いや元から大体理解しているつもりだったが、この世界では前の世界、前世の日本では当たり前にあったことが全然当たり前ではない。
例えば、今言った水蒸気。
さらに酸素や水素、ウランなどの元素。
この世界には魔法があるからだと思うが、魔法に頼りすぎたせいで、それ以外ーー魔法なしでもできることに気づかなかったんだ。
できるだけ、変なことは言わないでおこう。
そう心に誓った。
「ところで……この魔石。取れそうか?」
ーーさあな?一応オーガの魔力が感じられるが……
この世界にはそれぞれの種族に固有の形の魔力がある。
人間の魔力、オーガの魔力、吸血鬼の魔力、魔族の魔力、竜の魔力など様々だ。
それを使って冒険者ギルドや魔物ハンター協会は鑑定して、依頼の成功、失敗を判定する。
一応、オーガの魔力が感じられればいいのだが…………
「まぁ流石にこんなボロボロじゃ無理か……」
俺が今握っている魔石はもはや魔石ではなく、砂に近い小石でできていた。
基本的に爆発魔法などを使うとこうなる。
だからできれば使いたくなかったのだが、オーガが苦手な属性である火属性を強化した「獄炎魔法<乱>」で死なないのであればこれを使う以外ない。
それだけ、魔物ハンターや冒険者は魔石をいかに傷つけずに倒すかを迫られる。
意外と大変な職業なのだ。
ーーあっちに綺麗な魔石があるぞ。
そうタスライトに言われ、俺は言われたところに行った。
地面をよく見ると、青紫色の綺麗な魔石があった。
「ふぅ……よかった。流石にこれ以上この街に足止めされたくはないんだ。」
俺は早く、このSランク昇格依頼を受けて、次の街に行きたかった。
だが、色々な問題が発生して結構な時間、足止めされているのだ。
ーーもう帰るのか?
「ああ。依頼は達成したし、冒険者ギルドに行って昇格してからかな。」
ーー俺としては解呪を早くして欲しいのだが……?
「そうか?結構強い能力じゃないか?」
ーーいや、この能力は…………いや、なんでもない。
「……?いいか?飛ぶぞ?」
そう言って俺は転移魔法を使った。




