29.意識を持った魔剣
また遅れました……
明日投稿できるかどうか……
いや、絶対に投稿する!(←フラグ)
「パ……パリエット様!」
「どうしたそんなに慌てて。妾の準備はできたのか?」
「いえ!その妾になる予定だった女がいません!」
「な?!なに!今すぐ探せ!」
「それに……」
「なんだ!まだあるのか?!」
「はい。実はあの女を閉じ込めておいた部屋にあの剣をおいたままにしており……どうやらそれを使って今里内で暴れているようです!」
「何?!あの剣を?!抜けたのか?!」
「はい!どうやらそのようです!」
報告係の人間はものすごく慌てていた。
彼がマーチェを監視する役でもあったからだ。
最悪、自分の首が飛ぶ事になると思い、焦っていた。
「ちっ。それ以外は何もないか?」
「はい。どうやら結界を叩いている人間がいるようですが今の所何も問題はありません。」
「わかった。それじゃお前は死刑だ」
「……は?今何と?」
「ん?だから死刑だと言っているのだ。お前らこいつの首を飛ばせ」
そうパリエットは自分のそばに控えていた近衛兵に命令した。
「ひ…ヒィイイイイ!お許しくださいぃぃぃぃぃぃぃ」
それを無視して近衛兵は無惨にも報告係の首を飛ばした。
「……全く。どいつもこいつも使えねぇ奴ばかりだ」
「「…………」」
そう言ってパリエットは自分の後ろに立てかけた剣をとった。
「俺がかたをつけてやる。お前らついて来い」
そう言って外に出ていった。
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「なんだってこんな事になるんだ!」
「かーちゃん!急いで逃げるぞ!」
「おい!どこへ行く!俺をおいていく……ガハッ!」
「な?!おい大丈夫か?」
「全くどいつもこいつも……魔族なのになぜ逃げる?」
そう威圧的な声で言った。
「フム…オマエカ」
と、パリエットの後ろから声がかかった。
振り返ってみると連れてきていた近衛兵たちは無残にも殺されていて、声の主が自分の剣に近衛兵を一人刺していた。
「……お前は魔剣か?」
「ソウダ。ワケアッテコノカラダヲカシテモラッテイル」
「そうか……あの部屋においておいた魔剣……」
「オレニハケイヤクガアル。ザンネンダガココデシンデモラオウ」
「ふむ……人の意識を奪う魔剣……意魔剣と言ったところか……」
「イカニモ。ダガソレヲシッテナニニナル?」
「ふふ……ふはははは!残念だが意識を持った魔剣は一つだけ対処法があるんだよ!その剣が体と触れ合っていなければ肉体は乗っ取れない!」
「ダカラドウシタトイウノダ?オレガジブンジシンヲハナスワケガナイダロウ?」
「くっ……じゃあな!魔剣!そしてリーチェリットの妹!」
その時、大きなガラスが割れるような音がした。
パリエットが周りをみると明らかな異変があった。
この里を覆っていたはずの結界がないのだ。
結界は魔王が作ったと言われる強固なもので並大抵の人間では壊せず、パリエットでさえ壊すことができない。
それなのに今、音を立てて崩れ落ちていったのだ。
明らかに膨大な魔力を感じる。それも人間の。
(先ほど報告係が言っていた人間とやらが入ってきたのか……それも相当な手練だな……)
そんなことを思っていると何かが降ってきた。
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「スバル君!どっち?」
「……ああ。こっちだ……」
……全く…俺はどうしてしまったんだろうか?
足は重く、めまいも吐き気もする。それでも少なくともセイルとともにマーチェを救い出さなければならない。
じゃなきゃあの場面であんな言葉を言うわけがないから。
「……ここだ。きっとここには結界もあるはずだ。マーチェはそんなことを言っていたし、実際この先には受動探索魔法が効かない」
「そう……」
そう言ってセイルは足を進めた。だが、見えない壁に当たって後ろに飛ばされてしまう。
「じゃあ、この結界を先にどうにかしないとね……」
「そもそも結界って壊せるもんなのか?」
「多分……結界も魔法だから……」
「わかった」
そう言って俺は先ほどクリエットと言った魔族が使った魔法を思いだす。
あれはいわゆる魔法に魔力で干渉して組み立てにくくすることだ。
そこまで難しい魔法ではない気がする。
だって、魔法はいわゆる「イメージ」による構築で作られている。
魔力を使って魔法に干渉……そう難しいことではない。
ただ、この結界の魔法は必中範囲と効果範囲がいわゆる街一つ分だ。
広すぎるがゆえ、そう簡単に魔力の干渉で打ち消せるわけではない。
なので、一番簡単な結界の壊し方というと、許容以上のダメージを与えて崩壊させるか、ある一点の穴を開けてその穴を押し広げる方法かのどちらかになる。
「……じゃあ、普通に破壊するか……」
そう言って俺は先日開発したばかりの核熱魔法を起動した。
「え?これって……」
セイルは気づいたのであろう。
俺がとてつもない魔力を使って魔法を行使しようとしていることに。
「セイル。少しだけ離れてくれ。」
「うん……わかった」
一応この前の実験では爆発の飛ばす向きを自分で変えることはできるようになった。
だが、万が一暴発してしまう可能性を憂慮すると、セイルには少しだけ離れてもらったほうがいい。
そう思ってセイルに離れてもらったあと、俺は魔法を放った。
閃光が光った後、爆音が聞こえてきた。
煙が晴れて、ちょうど結界があったところを見てみると、少しヒビが入っていたがあまり変わっていなかった。
「ん……これでダメなのか…」
「…………」
セイルの方を振り向くと無言で立っていた。
ーーてっぺんだね
ーーうん。てっぺんだ
謎の声が聞こえてくる。
「てっぺんってどこだ?」
「ス…スバル君?」
「ん?ああ気にしなくていいよ」
ーーだから。てっぺんに今のを
ーー打てばいいんだよ
ーー頑張ってね
ーーじゃあね
……何がしたいのか…
そう疑問に思うが、実際この謎の声には結構助けられていたりする。
てっぺんというのはきっとこの結界魔法のてっぺんということだろう。
確か、この結界魔法は半円球の形をしていたはずなので、てっぺんというとこの里の中心の真上という事になる。
……どうやってそこまでいけと?
「……セイル。ここから結界魔法の一番上まで行くにはどうすればいい?」
「え?!てっぺんか………………そういえば」
「そういえば?」
「確か、少し前にスバル君が使ってた重力魔法?だっけ。あれ使えないの?」
「!」
そうだった。重力魔法のことを完全に忘れていた。
あの時は吸血鬼の王に重力魔法をかけられて反重力魔法を使って対抗した。
だがあれは実際の重力魔法を受けていない時に反重力魔法を使うと、浮くことができるはずだ。
「わかった。セイルにもかけるから上に行こう」
「うん」
そう言って反重力魔法ーー今では浮遊魔法ーーを起動した。
結界の狭間に触れながらてっぺんまで登っていく。
触っていた結界の狭間が下りになったとき、俺は止まった。
「ここか……」
「?ここで何をするの?」
「ああ。その前に……」
俺は、セイルを浮遊魔法でさらに上へ押し上げた。
そして先ほどは不発だった核熱魔法をもう一度起動する。
「セイル!お前は北から探してくれ!俺は南から探す!」
「うん!わかった!」
起動しながらそういうと、俺は魔力の出力を最大にした。
ドガアァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアン
俺の放った核熱魔法は結界魔法によって半分が弾かれた。
だが、俺の出力最大の魔力によって作られた核熱魔法により、結界は音を立てて崩れ落ちていった。
「頼んだぞ!セイル!」
そう俺は言って風魔法を使って南の方へ飛んでいった。
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