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異世界転生したら失われた「呪力」を持っていたようです  作者: けーしん
第一章 カートゥーン王国編
28/51

28.魔族の生活

有言実行!

昨日の約束(縛り)を守ることができました!


今回はちょっと短いです。ご了承ください。

ちなみに明日は多分投稿できないと思います。すみません!


 怪訝な目で見られる。


 久しぶりーー約4年ぶりに帰ってきた故郷でマーチェは訝しげな目で周りから見られていた。


「どうした?さっさとついて来い!」


 そう言われて、先導している魔族の人間の後に続く。


 ここはサンライズ族の里。数々ある魔族の里の中でもそれなりの大きさを持つカートゥーン王国北部にある里だ。


 普段は、里の周りにある結界によってこの里は受動探索魔法で気づかれることはなく、さらに人間はその中に入ることすらできない。


 入れるのはこの里の人間。そして魔族の頂点君臨者魔王だけだ。


 そんな外の世界からの干渉を受けずにあった里は前統治者の娘を見て疑問を抱く。


 ーーなぜこんな時期に帰ってきたのだろうかーー


 これは彼女を知っている魔族の人間全員が思っていることだった。

 彼女の父親はもう死んでいる。


 それから幾ばくも立たぬうちに彼女の姉も行方不明となり、パリエットが一族の長になった。


 彼女が帰ってくる理由は何もないはずだ。

 それも今。魔王が復活されたと魔族の中で騒ぎになっている間に。


 魔族にも種類があった。例えばサンライズ族は人間の姿形をした魔族だ。

 他にも、馬面の魔族や異形の魔族などたくさんいる。


 サンライズ族の特徴は全員、髪の色が赤から黒色だと言うことだ。

 その中でも、一族の長ーー創始者である魔王の直系に当たる者たちーーつまりマーチェたちは特に髪の色が赤がかっている。


 だが、マーチェ本人の髪の色は黒が混じった赤色の髪だ。

 これでは里に示しがつかず、正当な後継者とは呼べない。

 さらに一族の直系秘伝の<魔力合成(マジックシンセサイズ)>を使えないとなると彼女にこの里での居場所はなかった。


 それが急に戻ってきたのだ。

 多くの魔族の仲間が疑問を抱くことも無理はない。

 彼らは事情を知らされていなかった。

 マーチェは今からパリエットのところへ向かうとは………



 ーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ほう、ようやくきたか。連絡が入ってから遅いとは思ったが?」


 と、パリエットは口を開く。

 太っている上にハゲヅラなやつだ。と、マーチェは思った。


「はっ!誠に申し訳ございません!クリエット様が戦っておらしていたので……また彼女とともに人間がいました。」


「むぅ人間とな……まぁいい。ところでその小娘をどうするか……」


「どうしますか?殺されますか?それとも妾に?」


「むふっ。それもいいがのう……今度訪れる魔王の生贄にでもしようかのう?」


「ははっ!それもいい案でございますな!」


 そこまで言った時、それまで項垂れていたマーチェは首を起こし問うた。


「姉さんは!父上はどうした!」


「…姉さん?そんなやついたか?」


「はっ!あのうるさく毎日ここへ通い抗議し、少しだけ厄介な魔法を放った小娘でございます」


「ほう!あれか!あれはお前の姉だったのか!いやぁあれは逸品だったぞ。すぐ壊れてしまったのが残念だがな……」


「!姉さんはどこだ!今どこにいる!」


「あいつはもう死んだぞ。意外と締まり具合が良くてのう……ずっと使って壊れたから捨てたんじゃ。そうだ、お前はあれの妹と言ったな?ならあれをもう一回体験できるのか?よし!おいお前!この小娘を妾にする準備をしろ!」


「よろしいのですか?彼女はこれでも前の長の娘ですよ?」


「そんなこと言ったらあれも娘だろう?今更どうと言うことはない」


「ですが……里の仲間たちは皆これを見ていてさらにここに連れ込まれるのも見ているので……最悪反乱が起こるやもしれません」


「ふむ。貴様我が家系の特殊能力はなんだ?」


「はっ!<魔力霧散(マジックキャンセル)>でございます。」


「なら何も怖がることはあるまい。大丈夫だ」


「はっ!」


 マーチェは身震いがした。

 自分より強かった姉をいとも容易く捕まえさらに反撃の隙を与えず自分の玩具にするなど……


 到底並の実力ではない。


 さらに父上も暗殺されたとクリエットは言った。

 父上はあれでも村の中で一番強く、さらに不意打ちなどできることができるのはこの里にはいなかったはずだ。


 それさえも殺してしまう。

 マーチェは今更だがここへきたことを後悔した。


 その後、妾を向かい入れるため準備をする必要があるらしく、マーチェは長の家の地下にある粗野な部屋に入れられた。

 長の家の地下である以上、マーチェがここから逃げ出そうとすると絶対に気づかれる。


 だが脱出しなければこのままでは妾にされてしまう。

 姉さんがされたことを聞く限りでは私もいつかは壊れてしまう。

 それで結局殺され、捨てられるのだろう。


 生きるにはこの時点で逃げ出さなければならなかった。

 そう思って部屋の周りを見渡すと一振りの剣がある事に気づいた。

 それは地面に刺さっていた。


 それも相当な異様さを纏っていた。


 ーーヌケ

 ーーカマエロ


 そう空耳が聞こえてきた。


 否。空耳ではなく剣が話していた。


 否。剣が頭に言葉を送ってきた。


 ーーハヤクシロ

 ーーアイツガキテシマウ


 そう急かされ、マーチェは剣を抜いた。


 ーーヨクヤッタ


 刹那、剣が見えなくなったと思ったら体ごと、部屋の前まで来ていた。

 振り返ると壊れたドアがある。


「……は?」


 自分でもわかるほど間抜けな声が出た。


 ……いやいやいやおかしいでしょこれ。何が起こった?


 そうマーチェは狼狽えるがまた頭の中に言葉が入ってくる。


 ーーオマエハドウシタイ?


「私は……父上と姉さんの仇を討つ」


 ーーイイダロウ


 そう剣が笑ったように見えた。


 ーーオレノチカラヲカシテヤル


 そう言葉が聞こえたのを最後にマーチェの意識は遠ざかっていった。

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