22.オーガ 【4】
「おいおいマジか?」
「流石に量が多すぎる気がするんですけど…」
俺たちは遠巻きに俺たちを囲んでいるオーガを見ながらこう声をこぼした。
(流石にこれはさっきの比じゃないな…)
「「久しぶりの獲物だぁ!」」
「「お前らぁ!一気にやっちまえぇ!」」
『おう!』
そう言って百体のオーガが一気に襲いかかってきた。
「なぁマーチェ今からアレできるか?」
「今からか…まぁ一応頑張ってみるよ」
そう返してくれたのを合図に俺は自分の魔剣をマーチェにわたした。
「死にたくないしね!」
「戦いたいの逆じゃないのか?」
「ほら二人ともこんな時に喧嘩しないの」
…いやこんな時に注意するセイルも相当ヤバい気がするんだけど
「それじゃあいくよ…<炎の重り>ッ!」
ボオオォォォォォ
大きな炎がオーガたちを覆い尽くした。
「っな?!これはなんだ?!」
「アチいしおめぇ!」
これがこれまでの旅でわかったマーチェの能力<魔法合成>だ。
これはその名の通り、魔法を合成させる能力だ。
ただ、マーチェの扱える魔法の手数が少なすぎるため、今は俺の付与した魔剣で<魔法合成>を行っている。
欠点としては一度使うとその後数十分は魔力が制御しづらくなること。
それも最近は訓練のおかげかそこまで魔剣の使用には影響しなくなってきている。
そして今。俺たちの目の前では燃え盛る業火と上からのしかかる重力によって疲弊し切ったオーガたちがいる。
「獄炎魔法<乱>」
俺が出した、獄炎魔法はオーガたちを巻き込みながら渦を巻き、次々とオーガを燃やしていった。
獄炎魔法<乱>は渦のように乱れる獄炎魔法を目的の位置に送る魔法だ。
獄炎魔法の操作をする際に身につけた技でもある。
「相変わらず壮観ですね…」
「それよりも…大丈夫か?マーチェ。流石にこれ以上それを使うと…」
「ふっ…ふっ……ま、まぁ大丈夫…」
「どう考えてもそれじゃあ…」
「おいおい。まだ終わりじゃねぇぞぉ?」
な?!あれだけ俺たちの火魔法を喰らっときながらまだ生きてるだと?!
よく見れば他にも立ち上がり始めたオーガはたくさんいた。
「っち!できれば使いたくはないんだけど…「爆発魔法<散>」!」
ドゴオォォォォォォン
大きな音がした後、砂煙に見舞われた。
「セイル!そこから動くな!」
「はい!」
ヒュンッ
こうして俺たちは満身創痍なマーチェを連れて撤退をした。
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「…ごめんね。二人とも」
「いやいや。あれだけのオーガがいたんだ。マーチェのせいじゃないって」
「そうだよ。逆にマーチェがアレを使ってくれなければ最悪全滅の可能性だってあったんだから。」
俺たちはアレから寝込んでいるマーチェと話していた。
どうやら、今回のアレは今までとは違い、マーチェがこれまでにない強力な一発を放ったらしく、医者からは数日間は寝ていた方がいいと言っていた。
「…本当にごめん。私のせいで依頼にもいけなくなって…」
オーガ百体が「迷える大森林」に出たことを冒険者ギルドに報告した俺たちは、マーチェが寝込むというので依頼を受けるのを中止していた。
「だから大丈夫だって。俺は訓練や借りてきた本を読むこととかいっぱいやることはあるし。」
「私もちょっと散歩に言ってみたいと思ってたんですよ」
「本当にっ…本当にごめんね…」
そう言ってマーチェが泣き出しそうになっていたので慰め役としてセイルを残し、俺は部屋をでた。
(ふーっ。久しぶりに新しい魔法でも開発するか…)
そう思って俺は森のところまできた。
(とはいえ、簡単に相手を屠ることができる魔法なんてな…)
そう思っていると、後ろから声をかけられた。
「ふぉっふぉっふぉっ悩んでるのう少年よ」
「……?誰だ爺さん」
「ワシか?ワシはのうマスイークルじゃ。これでも昔は有名じゃったんだがのう…最近の子はワシのことも知らんのか…」
「それで爺さん。俺が悩んでいるってなんでわかった?」
「そりゃのう…少年よ…お主は気づいていないだろうが全部顔に現れているぞ」
「か…顔に?」
(…あれ?なんかデジャブだな…)
「ふぉっふぉっふぉっ少年よ。『核』を使え。さすれば強くなれるじゃろう」
「か…核?って爺さん待てよ!」
俺が返答に窮していると爺さんは足早に去っていった。
(にしてもあの爺さんなんで核なんて知っているんだ?あれはあっちの世界限定じゃないのか?)
(核か…やってみる価値はありそうだな…)
そう思った俺は核魔法を作ろうと必死になった。
数時間後。
「ダメだ!そういえば俺核爆弾のメカニズムなんてなんも知らねえじゃんか!」
なんとなくこう、よく原子力発電所とかに使われているって言われるウランを崩壊させるイメージをしているのだが、なかなか爆発は起きなかった。
だが、少し頑張ると小さな爆発は起きる。
(むむむ…どうすればいい?)
そう思い悩んでいるとすぐ近くに蟻がたくさんいるのが見えた。
(爆発蟻か?なんでこんなところに?)
そう思っていると一番大きな爆発蟻が爆発を起こした。
それに誘発されるようにどんどん爆発が起こっていく。
最終的に半径5メートルほどのクレーターができた。
爆発蟻の体長は先ほどの一番大きかったやつでも三十センチほどだ。普通なら10メートルもの大きなクレーターができるはずがない。
(もしかしてこれは核にも適用できるのか?)
俺が目をつけたのは「誘発」だ。
ウランを崩壊させるようにし、その周りにたくさんのウランを集めれば大爆発が起こるのではないか?と思った。
(…よし。やってみよう…)
そう思って俺はウランを集め始めた。
だが、空気中にそんなウランがあるはずもなく、大体は魔力による変換で集めていった。
(よし。集まったら次は…)
俺は集めたウランを凝縮させ、小さめの円形の核を作った。
それをさらに集めたウランで覆う。
そして真ん中に集めたウランを崩壊させるようにした。
ドゴゴゴオオォォォォォォォォォオオン
今までにない爆発が起こった。
(なんだ…これ……これが原子爆弾の威力なのか?)
呆然とする俺が見たものとは…
「呪力暴走」によって起こした爆発の数倍の威力により半径約1kmがクレーターになった荒野だった。
(ははっ…これは……滅多には使わないでおこう…)
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