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異世界転生したら失われた「呪力」を持っていたようです  作者: けーしん
第一章 カートゥーン王国編
21/51

21.オーガ 【3】

 チュンチュン


 小鳥の囀りが聞こえる。


「っは!寝ていた?」


 俺は小鳥の囀りで起きた。

 確か呪術に関する本を読んでいたはずだ。


 そう思って机の上を見ると昨日の時のまま、本が置いてあった。


(よかった…)


 そう安堵しながら、マーチェたちは起きているのだろうかと思う。

 本を片付けて部屋を出た。


 宿に内接されている食堂に行くともうそこには朝ごはんを食べ終わったであろうマーチェとセイルがいた。


「スバル。あんた遅いわよ。今何時だと思っているの?」


「え?何時なんだ?」


「今は11時ですよ。私たちは起きてもスバルくんがいなかったので先に行ったのだろうと思って森に行ったんですけどスバル君はいなくて…」


「そうだったのか。ごめん昨日遅くまで借りた本を読んでいてさ。もうご飯は食べ終わった?」


「そうよ。あなたが遅すぎるせいで暇だったんだから」


「わかった。じゃあもう行くか。」


「?ご飯、食べなくていいんですか?」


「まあね二人を待たせていたわけだし、ご飯食べた後すぐに運動するってのも嫌だからね」


 そう言って俺たちは外へ出た。


「もうこのまま飛んでもいいんだけど…」


「さ…流石に外で飛びましょうよ…」


「そうですよ…バレたらちょっと厄介なことになりますし…」


 そう押し切られてしまっては街の外まで行かねばならない。


 門についた俺たちは転移魔法を起動した。


「行くぞ…」


 ヒュンッ


「何回も思うけどうやっぱり楽ね。この魔法」


「それにしてもここはどこですか?あの迷宮(ダンジョン)の目の前ってわけでもないですし…あっ!」


「ああ。ここは昨日のオーガを倒したところだ」


 そう言って昨日倒したオーガがいたところを見る。

 そこにはもうオーガの死体はなく、血が引きずられていったことを物語っている。


 …きっと仲間のオーガが死体を回収したんだろう。


「ってことはこれを辿っていけばオーガの群れに会えるかもしれないってことね」


 マーチェは現在の自分が置かれている状況を冷静に判断している。


「そうだな。じゃあここから辿っていくか」


 そう言って俺たちは血の後を頼りにオーガの群れの場所まで行くことにした。



「そういえば昨日はどのような本を読んでいたんですか?」


「ん?ああ、『この世界の生き物』と『世界一周日記』ってのと『呪術 〜最後の伝承者〜』だな。」


「え?!あなたたち呪術に関する本も見つけたの?!」


「それでその呪術の本はどんな内容だったんですか?」


 俺が転生者だっていうことを教えてもいいんだろうか?

 なんかドン引きされて周りから人がいなくなるのは嫌だな…


「えーとね…途中で寝落ちしたからまだよくわかってないんだ。」


「途中で寝落ち…ですか」


 あれもしかして変なところでドン引きされている?!

 それはやめて欲しいんだけどな…


「まぁ他の本を読んでこの世界の大体の国名とかは覚えたし、生き物の生態とか弱点も覚えたつもりだからね」


「一日で全部覚えるってどんな頭したらそうなるのよ…」


「ま…まぁ…ね?マーチェ。スバル君はアレだから…」


 ん?セイルから意味深な言葉が聞こえるんだが?

 どういうことだ?セイル。


「そういえばセイル。昨日のデー…」


「二人とも!」


 俺が昨日のことについてセイルに問い詰めようとしたところで、マーチェから声がかかる。


 うっかりして受動探索魔法を怠っていた。

 きっとセイルも同じだろう。


 マーチェが気づいた時には周りはオーガたちに囲まれていた。


「っくそ!どこからこんなに湧いてきやがった!」


「っふふ!久しぶりのぉ人間だぁ!」


 オーガたちのリーダーと思えるやつが俺に話しかけてきた。


「今からお前たちは俺らの餌となるんだ。せめて恐怖で震えてくれ!その方が上手く感じるからな!」


 …なんちゅうやつだ。こんなにも悪逆非道なやつだったとは…


「マーチェ。セイル。これぐらいならいけるか?」


「んー。ちょっと心配だけどなんとかなると思う。」


 そうだな…二人に転送魔法をかけてこの枠から脱出させた後に爆発魔法でもやるか…


「セイル!マーチェ!そこに立ってろ!」


「「ええ…」」


 っち!この戦闘狂どもが!


「飛ばすぞ!」


 ヒュンッ


「あれぇ?獲物が二個無くなっちゃったぞ?」


「お前らはこれでも食ってな!」


 そう言って俺は爆発魔法を出した。

 もちろん自分の方向にも飛んでくるので防御魔法も併用して。


 ドガアァァァァァン


 大きな音がした後、たくさんのオーガが飛び散るのが見えた。

 数分して、煙がなくなりかけた頃、遠くから二つの足音が聞こえた。多分マーチェとセイルだろう。


 二人とも変なところに飛ばしてしまったのでこっちまでくるのに時間がくるだろうと思っていたがすぐにきてくれるとはな…


「っく!まさかこんな魔術師がいたとはな…」


 な?!まだ生きているオーガがいるのか?!

 あれを喰らって生きていたやつなんてまだいないんだぞ?!


「だが近接戦闘はできないだろう!」


 そう言って飛びかかってきた。

 だがーー


「はぁっ!」


 ドシュッ


 飛び込んできたマーチェによって一刀両断にされてしまった。


「……貴様は…さっきの……」


 そういって最後のオーガは息絶えた。


「なぁ。この魔石って取れると思う?」


「……うーん…これは流石に…」


 そう言って相談しているのは、先ほど俺が爆発魔法で討伐したオーガたちの魔石を取れるか取れないか、だ。

 爆発魔法によって大半の魔石は粉々に砕けている。その中でも特に綺麗な魔石を選別していた。


「二十体ぐらいいたのに魔石は5個……」


「これじゃあ全然足りないね…」


 ドドドドドドッッ


「!二人とも!」


 今度は俺が気づいた。


「気づくのは相変わらず遅いわね…」


 そういうマーチェもさっきは囲まれるまで気づかなかったじゃないか!


「…ただちょっと今回はやばそうね…」


 オーガ百体が俺たちを囲んでいた。

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