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異世界転生したら失われた「呪力」を持っていたようです  作者: けーしん
第一章 カートゥーン王国編
18/51

18.オーガ 【2】

(な?!気づかれたか?!)


(どうする?街まで戻る?)


(そうだな…一応準備するからそこにいといて)


 頷くマーチェとセイル。

 それに対してずっとこっちを凝視するオーガがいた。


「見つかっても動かないなぁんてぇ」


「舐めてるのかなぁ?」


 茂みの中からもう一匹のオーガが現れた。


「な?!お前!あれは俺の飯だからな!」


「はぁ?!先にやった方が食えるに決まってるだろぉう?!」


 ……なんか喋り方が独特だな…

 それに思ってたよりバカそうだ…


(スバル。オーガは行っておくけどそこまでバカじゃないし戦闘能力はすごく高いからね)


 危ない危ない先入観で決めつけるところだった。

 それにしても戦闘能力が高いって…どれくらいなんだろうか?


 そんなことを思ってるともう一つの茂みがガサガサと動き始めた。


 …もしかして…


「おい!オメェら!俺が先に食うからな!」


「な?!オメェ誰だよ?」


「いーや。俺が先に食う!」


 どっちにしろ俺たちは食われる前提なのね…


(そろそろやばいんじゃない?)

(そうだな…戻るか。)


 そういって転移魔法陣を起動しようとした矢先、俺たちの方をオーガたちが振り返り一斉に魔法を放ってきた。


(な?!防御魔法:ガード!)


 突然の攻撃に驚きながら俺は防御魔法を展開した。


「やっぱりそこにいたかぁ。人間!」


「でも俺たぁちのぉ魔法を防ぎ切れるってぇ」


「やばいよねぇ!」


 そうオーガたちは言って俺たちに連続で魔法を撃ってきた。


(これはもう戦うしかなさそうだな…)


 そう思ってマーチェとセイルを振り返ると頷いていた。


 ……やっぱ戦闘狂だな…この二人。


「マーチェ!こいつらだけやって帰るぞ!」


「はいはい。さっさと終わらせろってことね!」


 そう言ってマーチェが魔竜剣を持って飛び出した。

 そこにセイルが木の上から水魔法を放つ。


 いつもやっている連携だ。

 …にしてもいっつもやっているからか無駄な動きが全くないな…


 …これが戦闘狂の力か…

 抗わないようにしよっと…


「ヒャハハハ!突っ込んできたバカがいるぜぇ!」


「そうだなぁ。まずはこいつからだぁ!」


「やっちま…ぐげごぶしょい!」


 相変わらず一切の迷いがないな…

 まず一体を一閃だ。


「な?!おまぇ!」


「よく…ばふっ!」


 もう一体も倒してしまった。


「くっそー!おま…ぶふっ!」


 そう言って何かを言おうとしていたオーガをセイルが魔法でぶっ飛ばした。


「転移魔法を使うぞ!その場で止まっていて!」


 戦闘狂どものやり合いが終わった後に俺はすぐ転移魔法を起動した。


 ヒュンッ


「ふぅー一瞬だったねぇ」


「いやいやセイルこそ。最後のはありがとうね」


 などと戦闘が終わったら女の子の話をするから不思議だ。

 こいつらは戦闘狂なのか?それともただの純粋無垢な女の子なのか?


 ………前者だな…


「それにしても戦闘能力が強いとか言っておきながら一撃ってなんだよ」


「いや世間一般的にはね?」


「お前らにとっては?」


「そうですね…控えめに言って雑魚ですね」


 …セイルがこんなこと言うのか?俺の理想のセイルはこんなことを言うのか?


「っとまぁそんなこと私が言えないんですけどね。ほとんどマーチェが倒してましたし。私が最後に倒せたのはマーチェが気を引いてくれたからですよ」


 よかったぁ。セイルがあんなこと言うなんてことは絶対にありえないからね!


「はぁスバル…アンタって…」


「まぁマーチェ。これが良いんだって」


 あれ?なんか二人の会話が意味深に聞こえるのは俺だけか?


「あれ?君たちさっき街から出て行ったはずじゃ?」


 街の門に印をつけたので出て行った後ほとんど時間をおかずに戻ってきた俺たちのことを不思議に思ったらしい。

 まぁ初見ならそうなるよな…


「えっとあれは俺の転送…モガッ?!」


「スバル。わざわざ教えなくてもいいわ」


「それにみんなから驚かれてまた迷惑するようになるしね」


「……ん?どうしたんだ?」


 俺が転移魔法と転送魔法のことについて言おうとしたら思いっきりマーチェに止められた。

 もちろんそれだけのことでも門の守衛さんは怪しがっている。


「……まぁなんでもありません。このまま宿に戻るんで」


「あれ?冒険者ギルドには行かなくていいの?」


「うん。まだ早いだろうし二十個の魔石も集まってないしね」


「わかった。それじゃあ私は一回森に行ってトレーニングしてから宿に戻るわ」


 そう言って俺とセイルはマーチェと別れた。

 セイルと二人っていうのは珍しいな…


「さてと。そういえばこの街に図書館みたいなものはある?」


「としょかん…?なにそれ」


 ?…もしかしてこの世界には図書館という概念がない?

 じゃあなんて言えば良いんだ?


「そうだな…えっと…なんていうか…資料室みたいなのはあるのか?」


「資料室…?ああ!本がたくさんあるところね!確かどこの町にもあった気がする」


「そうか…誰かに場所を聞こうかな…」


 でも、冒険者ギルドには立ち入りずらいしな…

 入って行ったら罵られそうで怖い…

「やっぱりウソだったんだな!」とか…


「そうですね…領主様とかはどうですか?資料室があるのは大体領主館ですしAランク冒険者って言えばなんとかなるんじゃないでしょうか?」


「そうだな…それじゃあセイル。領主館までの案内頼めるか?」


「はい!」


 セイルはこの町に来た時に一人で探索とか行っていろんなところに行ってたらしくこの街のほとんどの施設を知ってるらしい。

 だからと言ってはなんだが大体の道案内はセイルに任せることにしている。


「うわぁ…サンムーンの領主館と違ってすごく大きいな…」


「そうですね…何しろこの国で2番目に大きい港町ですから」


 そう言って俺たちは領主館の門を潜り抜けた。


「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件で?」


 門を潜り抜けると執事と思しき人に出迎えられた。


「資料室に行ってみたいと思いまして。領主様の御許可を頂けないでしょうか?」


 セイルがきちんとした丁寧語で質問をする。

 流石にマーチェを連れてきてなくて正解だったな。


「そういうことでしたか。どうぞご自由にお使いください。」


 おお?なんかすんなり通してくれたぞ?

 これ資料室行った後でなんか言われないよね?

「私の資料を見たのだ!一生ここで働け!」とか…


「ええっと…本当にいいんですか?」


「はい。我らの主君は勤勉な方に対しては寛容であられますので。」


 なるほど…俺としてはこの世の中の常識を身につけたかったんだが…

 まぁ別にそこまでおかしい勘違いでもないし、いいか。


「それではご案内いたします。どうぞこちらへ」


 こうして俺たちは領主館の中にある資料室へと行った。

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