17.オーガ 【1】
「魔物か…っていうかオーガってなんだ?」
俺は依頼書の中にあった聞いたことのない魔物について質問した。
「はぁ…そんなことも知らないなんてね…」
仕方ないだろう?!こちらとて今までずっと森に住んでいたんだぞ!
「え…えっとオーガっていうのはコブリンの上位種で凶暴な魔物です!」
「それに一体一体がBランク相当の魔物だ」
セイルの解説に近くにいた冒険者さんが補足をしてくれる。
にしてもBランクか…そこまで強うそうでは…
「なるほど。群れになっているからか…」
「そうね。オーガ単体は弱いと思うけど群れになるとSランク相当まで上げられるのね…」
「はぁ?!オーガが弱い?!」
俺たちの会話を聞いている冒険者のおじさんたちが聞き慣れない言葉にびっくりしている。
……いやオーガは弱いと思うよ?俺たちにとっては。
「ちなみにそのオーガってのはどこら辺にいるんですか?」
「えーっと君たちがいた「帰らずの森」より奥にある「迷いの大森林」というところね」
…なんか帰らずとか迷いとかいってるけどそこまで難しいか?
…俺らにとってはそこら辺の森と変わらん気がするけど…
「ほらスバル。世間一般的にはそうならないんだからさ」
そしてなぜマーチェは俺の思考が読める?
結構前から気になっていたんだけど不思議すぎないか?
「ちなみに依頼報酬と依頼証明はどうするんですか?」
「そうね…依頼証明はオーグの魔石を二十個。依頼報酬はオーグの魔石二十個で金貨10枚でそれから一個増えるたびに銀貨一枚ずつプラスね。」
意外とたんまりもらえるんだなこの依頼。
「それじゃあ今日は宿をとってからまた明日きますんで。よろしくお願いします」
「ええ。わかりました」
さてと宿を見つけるか……
初めてくる街だけど宿とかあるよね?
「ほらお兄ちゃんたち。俺たちが宿の場所を教えてやってもいいんだぜぇ〜?」
気持ち悪いお兄さんに絡まれた。
「いえ。自分たちで探すので大丈夫です」
「そんなこと言わずにさぁ〜じゃないとそっちの女の子に手だしちゃうぞ?」
ビキリ
「まぁ力でねじ伏せられると思ってるんでしょうが頑張ってください」
多分無理だと思うけど…
「少なくとも彼女たちに危害を加えようなら俺が相手しますんで」
それ以前にこの二人が化け物程度に強いんだよ?俺でも恐れる戦闘狂どもにお前らが手を出せると思わない方がいいよ?
「ヒャッハァーー持ち主から許可がでたぜぇ!」
「いっておくけど俺はこいつらの持ち主じゃない。少なくともそんなことやったら俺が死んでる」
そういってマーチェとセイルに飛びかかろうとしていた冒険者のお兄さんを鳩尾に拳を入れてみる。
「っな?!」
ぶっ飛ばされた冒険者のお兄さんは気絶してしまったみたいだ。
……あれ?なんかデジャブ感じるの俺だけ?
「あの時にめっちゃ似てるわね…スバル。やりすぎよ…」
周りの人もめっちゃ唖然としている。
「なぁあれ本当に12歳か?どう考えてもそういう感じには見えないけど…」
「おい!お前さっきの話聞いてなかったのか?「帰らずの森」の迷宮主を倒したやつだぞ?あれぐらいが普通だろう」
…なんか初対面の人からも化け物扱いされているんだけど?
「はぁこれだからスバルは…」
「仕方ないよマーチェ。これが普段のスバル君なんだから」
「そうね…」
「「はぁ…」」
めちゃくちゃ盛大なため息が聞こえたんだが?!ちょっと酷くないか?二人とも!
そんな冒険者ギルドを後にし、俺たちは宿を探しにいった。
「すいませーん。ここの宿って空いてますか?」
「空いてるよ。何部屋だい?」
「出来れば三部屋がいいですね」
「ごめんねぇ生憎二部屋しかなくてねぇ」
「じゃあそれでいいです。いいよね?マーチェ、セイル?」
「うん。私はセイルがそれで良いって言うなら良いよ」
「私は別に良いです!」
「じゃあここの宿を一週間だけお願いします」
「はいはい。毎度。一週間だと金貨2枚だよ?持ってるかい?」
「ああ、はいこれでお願いします。」
そういって俺は金貨を3枚だした。
「これで食事付きにしてもらえませんか?」
「ああ。もちろんいいよ」
宿主さんは一瞬ちょっと驚いた顔をしたがすぐに営業スマイルで返してきた。
「それと明日から魔物狩りに行くんで血がついていても驚かないでくださいね」
「ええ?!魔物狩り?!…うんまぁ良いよ。なんか事情がありそうだしね」
事情なんてものはなんもないんだけどな……
まぁ勝手になんか事情がるって思ってくれたらそれはそれはで何とかなるけどさ…
そう思いながら俺は宿の部屋に入り眠りに落ちていった。
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朝。俺たちは宿にあった食堂で朝食を食べていた。
ソーセージみたいな肉と卵、サラダと意外に豪勢だ。
「ふぉふぉろでさ、これはらどうふるほ?」
「せめて飲み込んでからしゃべってくれ…マーチェ。」
「まぁスバル君。一応何いってるかは伝わるから良いんじゃないの?」
「それもそうだが……」
口の中に食べ物を詰め込んだマーチェに質問をされて俺は悪態をついていた。
「そうだな…今日はとりあえずその「迷える大森林」ってところに行って現地調査かな…多分討伐は明日以降になると思う」
「ふぇーほうなんは」
相変わらずマーチェは口に食べ物が入っているからなのか変な言葉をしゃべっているが、あまり支障もないためそのまま会話を続ける。
「そもそもオーガの弱点ってなんだんだ?そこら辺から知りたいんだが…」
「確かオーガはコブリンたちと同じで火魔法に弱いんじゃなかったんでしたっけ」
「火魔法か…獄炎魔法でもなんとかなるかな?」
俺は火魔法を繰り出すぐらいなら獄炎魔法で一気にやっちゃったほうが早い気がするんだけど…
っは!そもそも「迷える大森林」を全部焼いちゃえば良いんじゃないか?
「ダメよスバル。そんなことしたら生態系が崩れるし、行き場を失った魔物が一気に街へ攻め入ってくるわ」
いつの間にか普通の口調に戻っていたマーチェにまたもや思考を読まれていた。
「前から思ってたんだけどさ、マーチェってなんでそんなに俺の思考が読めるわけ?」
「なんでって…ねぇセイル」
「はい。スバル君はめっちゃ思ってることが顔に表れています。私でもわかるぐらいに、です」
ダニィ?!マーチェはもとよりセイルにまで思考を読まれていたのか?!
それでいてセイルは今まで何も言わなかったんだ。素晴らしいことじゃないか。
「それじゃあそろそろ行ってみるか」
「そうね。転移魔法使う?」
「ああ。昨日の遺跡のところに飛ぼうって思ってね」
そういって俺は街の入り口のところまで来た。
「それじゃあここら辺でやるか。マーチェはそこに、セイルはそこに立っててね」
そういって俺は指定の場所にいるよう二人に指示する。
二人は俺のいったところに立った。
「それじゃあいつも通りに…」
ヒュンッ
「っと」
「相変わらずこの魔法は便利ね…」
目の前に昨日攻略した遺跡を見ながら俺たちは話している。
「それじゃあ「迷える大森林」に行くけど…っていうか「帰らずの森」の奥ってどこだ?」
「うーん…多分街から見てだからこっちの奥側じゃないかな?」
「それじゃあそっちに行ってみるか」
そういって俺たちは歩きつつ、受動探索魔法を使ってオーガを探した。
「!スバル君。」
「いたか?それじゃあ木の上に隠れよう」
一番広い索敵範囲を持つセイルが一番最初にオーガと思しきものを見つけたようだ。
待つこと数分。
突然、茂みの中からコブリンより一回り大きい魔物が来た。
「あれぇ?人間の匂いがしたから来たってのに人間がいねぇぞぉ?」
(あれがオーグか?)
(確かそうだったはず。)
(にしてもアレでかいな…)
小声でマーチェたちと確認をとる。
「むふふ。そこかぁ!」
そういってオーグは俺たちがいる木を見上げた。
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