15.吸血鬼の王
「…さて振り出しに戻ったがどうする?」
「な…なんで重力魔法が効かないのよ?!」
「さぁな。なんでだろうな」
確か吸血鬼の弱点は…
心臓を杭で撃ち抜かれたり、十字架とかに弱いんだっけか?
とりあえずで俺は風魔法でやつの腕を切る。
……手応えはあった。……だったらなぜまだ腕が生えている?
…まさか高速で再生している?
「フハハハハ蚊ほど痒くもないわ!」
やっぱり高速で再生していた。流石に吸血鬼の王ともなるとコレぐらいじゃあ痛くも痒くもないってことか。
さっきまでの焦りはどこへ行ったのか自分の再生能力に溺れている。
即席で十字架を作るのもいいけど…
土魔法で作ったものじゃ効かないとかないよね?
まぁとりあえず、再生能力が追いつかないぐらいの速さで打ち込んでみるか。
そう思って風魔法を連射する。
「フハハハハその程度か?弱い弱いのう!人間とはなんとか弱いのじゃ!」
…なんか喋り方おかしくなって来てねぇか?コイツ
「フハハハハ!攻撃してこないならこちらからいくぞ!」
そう言って思いっきり近くにあった巨石をこちらに向かって投げてきた。
「うおっと。危ねぇことしやがるなお前」
「何ぃ?なんでこれでしなねぇんだ?」
「っへ。こんなところで死んでたまるか!」
「そうか。そもそもこんなか弱い人間とかいう下等劣種に俺が相手する必要もないか。よしお前らいけい!」
やっぱり話し方が変じゃね?こいつさっきまで私とか言ってたのに今は俺って言ってるぜ?
そんなことを考えていたら、吸血鬼の王の後ろからたくさんの魔物が押し寄せてきた。
…こんなことしている暇じゃないな。できれば呼びたくなかったけど…
「マーチェ!セイル!ちょっとだけ手伝ってくれ!」
「はいはい。わかってるわよ」
「にしても吸血鬼の王ですか…だからこんなに魔物がいるんですね…」
どうやら吸血鬼系の生物は動物と意思疎通をすることができるらしい。だから魔物を連れていた。
「にしても俺が呼んだ瞬間に来るってやっぱり…」
「スバル!そういう話は後で!今はこの敵を倒さなきゃいけないんでしょ?!」
……はぁ。やっぱり戦闘狂だったか…
「というわけでよろしくお願いしますマーチェさん」
「はいはい!任されましたよ!」
そう言ってマーチェは魔物の中に飛び込んでいく。
「はぁっ」
マーチェが魔竜剣を一振りするたびに向かってくる魔物がバッタバッタと倒れていく。
「え…えっとスバル君…私は何をすれば?」
「そうだね……マーチェに当たらないように魔法で助けてくれると嬉しいかな」
「!わかった!」
さて。それじゃあ俺はまた吸血鬼の王と戦いますか…
そもそもこいつの弱点はなんだ?暑いのと寒いのだとどっちの方が効きやすいんだろうか?
そう思ってもう一度吸血鬼の王と対峙すると吸血鬼の王の体が透けて見えなくなった。
いや、見えなくなったというよりは煙となって霧散したといった方がいいかな?
「フハハハハ!見えないか!そりゃあ大変だなぁ!」
バカなのか?こいつは。この世の中には受動探索魔法があるんだぞ?
いくら見えなくなったって魔力によってわかるから、今俺はお前の位置を理解しているよ?
もちろんわざとそっちの方は向いてないけど。
あいつが飛び込んできたら氷結魔法で作った杭とかで心臓を一突きかな?
多分それが一番ベストな倒し方だろう。
だが相手はこっちが気づいていることに気づいてないのか思いっきり飛び込んできた。
「バカか?」
そういって俺は氷結魔法によって作った杭をやつの心臓に打った。
「ぐふっ」
な?!心臓に当たらなかった?!
なんちゅう反射神経してやがるんだこいつ…
だが少なくとも心臓を掠ったようで、簡単には再生していなかった。
…くそっ!最高のチャンスを逃した!
吸血鬼の王はさっきの俺が自分に気づいて狙って氷の杭を打ったことがわかったのか無闇に近づいてこようとはしない。
…本当に最高のチャンスを逃してしまった!
「くそっ」
そういって俺は氷結魔法によって作った杭をできる限り大量に打ち出した。
しかし、一つも吸血鬼の王を掠ることはなかった。
めっちゃ警戒されているなぁ?
「スバル君!吸血鬼の王は切った傷を焼くことで再生を遅らせることができるよ!」
「そうなのか?ありがとうセイル!」
…そうか。それなら……
俺は風魔法と雷魔法を組み合わせ超高速の斬撃とともに、火魔法を繰り出し、獄炎魔法へと姿を変えた。
「くらえっ!」
ボオオオオオオォォォォォ
「っく?!再生しないだと?!」
自分の腕が再生しないことに困惑しているようだ。
「最後に…コレでもくらえ!」
俺は氷結魔法の杭を連射した。
「…グッ俺は…これしきのことでは……終わらんぞおおぉぉぉっっっっっっ」
そういって吸血鬼の王は息たえた。
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