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10.狼の王

「え…ち…ちょっと…」


 俺たちの前には悲惨な光景が広がっていた。


「これはどういうこと?魔力の色も違ったし…」


 根こそぎとられた木々の後には耕されたような土があった。


「…はあ。またか……」


「またってどういうこと?」


「ああ。実はーー」


 そう言って俺は前回の出来事を話した。

 最初は不思議そうに聞いていたマーチェも爆発によって森が消し飛んだ時いた頃から顔が青くなった。


「それって大丈夫なの?」


「ん。まぁ一応俺がこれを喰らったことはないかな…って今喰らったか…」


 にしてもなんでこんな唐突に起こるんだろうか?

 前回もそうだが魔力を制御しようとするとこうなる。


 毎回ってわけじゃないが、この危険性を否めない限りは人の多いところで暴走させないようにしないとな…

 この「呪力暴走(スペルレージ)」を起こさないようにしなければ…



 ーーーーーーーーーーーーーーーーー



 二年が経った。

 あれからも魔物討伐をしながら、王都行きの隊商を探していたがあまり見つかっていなかった。

 しかし一人仲間が増えた。


 王都行きではなかったが隣町ぐらいは言っておいた方がいいだろうとギルド長のキルーズさんに言われ、たまたま隣町に行こうとしていた隊商さんについていった帰りのことだった。


 森の中をマーチェと歩いていた時に悲鳴が聞こえた。


 なんだろうと思って、受動探索魔法を使いながら悲鳴が聞こえた方に向かうと、

 壊れかけた馬車と殺された傭兵さんと一人の金髪の少女がいた。


 その少女の目の前には魔物化した猪がいる。


(マーチェと似た感じだな…)


「マーチェ」


「…うん。わかってる」


 俺は女の子に当たらなように水魔法を使った。もちろんこれは当たっても何も起きないただの水滴だ。

 囮である。


 その方向へ猪が向かったところで俺は転送魔法を使った。

 マーチェを猪の死角へ送る。


「はあっ」


 マーチェは炎を纏った魔竜剣で猪に斬りかかった。


 ザシュ


 しかし、完全に首を両断することはできなかったらしく、猪は血を撒き散らしながら逃げていった。


 まぁ、あれほどの血の量じゃ致命傷となって治癒魔法を使わなければ放っといても死ぬな…


「あ…あの!助けてくれてありがとうございます!」


「いえいえ。一人で立てますか?」


 マーチェが大人な対応をしてくれる。

 助けてみると彼女は金髪に青色の目を持った女の子だった。


 ……マーチェって俺と同い年らへんだよな?

 そこにいる女の子も俺らと歳が近そうだし…


 お姉さんぶりすぎじゃね?


「…スバル」


「え?ああ、はいはい。」


 最近はマーチェにバレても隠すことはしなくなった。

 どうせ後で問い詰められて口を割らせられるか、魔竜剣で襲いかられるか、のどちらかだからな…


「君。行く宛はあるのかい?」


「い…いえ。今の襲撃で父が亡くなりましたし、母は結構前に病気で亡くなったて言われてるので。」


「そうか。じゃあ俺たちについてくる?隣町のサンムーンまで行くことになるけど」


「はい。お願いします。」


「それじゃあそこに立って」


「はい?ここですか?」

「うんそうちょっと待ってね……あ、マーチェはそっちに立って。」


「わかってるわよ。いつものあれでしょ?」


「それじゃ行くよ」


 ヒュンッ


「え?あ、あれ?さっきまで私森の中にいたはずじゃ…」


「そうね。でも、スバルは転移魔法が使えるからね」


「へぇ。じゃさっきのあなたが瞬間移動をしたように見えたのも…」


「ええ。あれもスバルの転送魔法というものね」


 そう。俺はこの二年間で召喚魔法と独自の魔法、転送魔法を取得した。

 あれから半年ほどで召喚魔法を取得した。その後一年かけて作り出したのが転送魔法だ。


 転送魔法は転移魔法と召喚魔法を組み合わせたみたいなやつで自分が間接的に触れている物体をある特定の場所に送ることができる。


 ついでに言うと、魔法の同時発動も出きるようになった。

 本来なら人は魔力を二つに分けて操ることはできるが魔法を二つ同時にできることはないとされていた。


 まぁ、言うなればあれだな。炎の魔法と水の魔法は共存できないみたいなやつで、理論上魔法の同時発動はできないらしい。


 だが、もうわかっているだろうが、転送魔法は転移魔法と召喚魔法を同時発動した形なので、一応同時発動ができるようになっている。


 今の所攻撃魔法で同時発動が可能なのは


 火魔法と風魔法を組み合わせた獄炎魔法。


 水魔法と風魔法を組み合わせた氷結魔法。


 獄炎魔法と土魔法を組み合わせた爆発魔法だ。


 他にもイメージ次第ではいろんな魔法を作れるだろうが今の所はこんな感じだ。

 というか爆発魔法は「呪力暴走(スペルレージ)」によっても起きるからなあ。


 ちなみにこの二年間で「呪力暴走(スペルレージ)」は5回起きた。

 しかし、そのすべては森で魔力制御を行なっていた時なので人的被害はない。


 …もしかして「呪力暴走(スペルレージ)」は森がトリガーなのだろうか?


「…あ。自己紹介がまだでしたね。私の名前はセイルース=ドマークです。」


「ああ。俺はスバル。よろしくなセイルース」


「私の名前はマーチェリット=サンライズ。マーチェって呼んでね」


 こうして俺たちのパーティーには新しくセイルース…セイルが入ったのだった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 この二年間でいろんなことがあった。例えば、セイルが入ってから二週間以上が経過した時の出来事だ。


「セイル!そっちにいったよ!」


「うん!わかった!」


 今二人は魔物化した狼の集団を狩っている。


 俺が獄炎魔法や氷結魔法、爆発魔法を使うと狼の集団は一瞬で消えるので、二人には手を出さないでと言われた。


 マーチェはともかく、セイルまでもが好戦的だったとは…

 うちのパーティー、女性が強すぎじゃありませんかね?


 そんなセイルは思っていた以上に魔法の素質があった。攻撃魔法の基本形となる火、水、風、土、雷のうち雷を除く全てが使えるし、治癒魔法も得意だ。


 なので二人はマーチェが狼の集団に突っ込み、それをセイルが手伝うという形になってきた。


 その戦法により最初は十数匹いた狼も今では四匹に減っている。


 …さて、そろそろ動くか。


「マーチェ、セイル。後は俺のもんな」


「ええ?もう?」


「いやだってあと四匹じゃん」


「「むぅ…」」


 この戦闘狂どもめ…


「それじゃあ失礼しますよっと」


 キュイイィィィィン


 周りにある魔力を集め、火魔法、風魔法、土魔法にそれぞれ変換する。


「…よし。それじゃ行くぞ。」


 ドゴオォォォォォォン


 三つの魔法を組み合わせ発した俺の爆発魔法は残った狼たちを灰塵へと帰させた。


「……はあ。相変わらず威力が意味わからない魔法をぶっ放しますねスバル君」


「そうね。そもそも今の爆発魔法だってこの国で使える人が何人いるか分からないしね」


 なんか化け物扱いされているんだが?


「とりあえず帰るぞ。魔石持ってな」


 この二年間で魔石と言うものを知った。

 世間のハンターや冒険者は一般常識として知ってるらしいが、この世界の魔物には魔石と言うものがあるらしい。

 元々の動物が魔力を暴走させ、その暴走した魔力が集まってできたのが魔石、らしい。


 市場価値は高く手のひら大の大きさなら金貨1枚の価値があるそうだ。


 狼の魔石はそこそこ大きい。最後に俺が爆発させて倒したやつからは取れないが、それ以外を全部集めても金貨10枚分はくだらないだろう。


 魔石の使用用途は主に二つだ。


 一つ目は、武器に使うこと。魔石の結晶から作られた武器もあるし、魔石に魔力を込めて杖の触媒したりなどに使う。


 二つ目は、魔力の増幅効果だ。魔石を砕いた粉を水と共に飲むと魔力の制御の量が増える。しかし、魔力を元々制御できない人が使えるようになるわけではない。


 獲得した魔石の二割は俺が魔剣を作るために使う。残りは魔物ハンター協会か冒険者ギルドに行って換金してもらう。

 結構お得な商売だったりするのだ。


「はいはい。どこに立てばいい?」


 もう出会ってから結構たっているので二人とも俺が転移魔法を起動するときに取るべき動作は全て覚えている。


「ん。そこにたってればいいよ」


「分かりました」


「それじゃ起動するぞ……って、なんかきたな…」


「そうですね…それにこれは…」


 厄介なものが来たようだ。さっさと離脱しても良いのだが…


「一応これが依頼であるしねぇ」


「じゃあさっさとやって帰ろうよ」


「そうだな」


 三人とも意見が揃った。


 グルルルォォォォォォ


「おいおい。これまでのとは全然違うじゃねえか」


「そうですね。こんなのは見たことがない」


「でもそれだけ倒しがいがあるってことでしょ?」


 俺たちの目の前に現れたのは額に大きな魔石をはめ込んだ狼だ。


「まさか「狼の王(ウルフロード)」に会うとはね」


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