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1.異世界転生

初投稿です。拙いところなどは多めに見てもらえると嬉しいです。

よろしくお願いします。

「眠…」


 いつも通り眠気と戦いながら会社から帰宅する。


 時刻は9時半。駅までの道のりはすごく静かだ。


「はぁ……いつからこうなったんだろう…」


 俺はどこにでもいる人だった。

 いや、ちょっと裕福な家庭に生まれ、いろんな機会に恵まれた素晴らしい環境だったと言える。


 親からの勧めで中学受験をし、もともとそこまで頭が悪くなかったので中堅の進学校に通い始めた。


 その後も、勉強を続け、大学受験では名門大学と言われるところに入ることができた。

 ここまでは順風満帆だったと言える。

 そう。順風満帆()()()


 しかし、持ち前のシャイなところが作用してあまり友人を作れず、サークル活動もうまくいかなかった。


 そして極め付けが就職活動だ。

 人前で緊張し、小声で面談を受け続けたせいで連続で落とされた。

 それを危惧した両親はどこでもいいから入れ、といってきた。

 俺も周りのみんなが内定をもらう中で一人もらえないことに焦っていたのだろう。


 判断がままらなかったのでブラック企業に入社してしまった。

 しかし、そこでも大きな失敗を犯すことになる。


 適当な具合で頑張ってしまったのだ。

 おかげで同僚からは仕事を押し付けられ、会社での俺の立場は見苦しいものとなってしまった。


 そして今日が最後の出勤であった。

 精神的にも肉体的にも疲労が溜まった俺は、仕事の途中で倒れた。

 医者に診てもらうと過労だという。

 もう少し行きすぎていれば過労死している可能性もあったとか。

 結果、おとなしく療養しておいた方がいいと言われ今日限りで退職した。 


 つまり明日からは無職である。


(コレからどう生きていこうかなぁ)


 目の前を歩く高校生と思しきカップルが楽しく話している。

 俺にも、あんな時があったんだな、と思いながら駅へと歩を進めていく。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 駅に着いてコーヒーを飲んでいた。

 少し苦め。

 コーヒーに映る自分のやつれた顔をみると、虚しくなってくる。


「ふぅ…」


「2番線に電車が通過いたします。危ないですので黄色い線の内側までお下がりください。」


 ドンッ


「…は?」


 ファァァァァァァァン


 後ろから押された記憶を最後に意識が途絶えた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 雨の音が聞こえる。

 バシバシと激しい音だ。

 あうー、とどこかで赤子の声が聞こえる。

 いや、すぐそこで聞こえた。


(ここはどこだ?)


 目を開けると二組の男女が覗き込んでいた。

 片方は老人の夫婦と思しき二人組。

 もう片方は老人達ににた()()()()の男ともう一人の女。

 そして、赤子の声を発しているのは自分だと気づく。

 血生臭い匂いがする


(は?は?)


 理解が追いつかず混乱する。

 もしかして俺、死んだ?

 つまりこれは……


 ショックのあまり呆然としていると物凄い眠気が襲ってきてそのまま寝てしまった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 鳥のさえずりと川のせせらぎの音が聞こえる。


「ほら行くよスバル」


「ちょっと待ってよばあちゃん」


 俺の名前はスバル=シンフォニー、5歳だ。……ということになっている。

 気がついたら転生していた。


 転生した場所はというと…


 いかにも厨二病感あふれる魔法のあるファンタジーな世界だった。

 いわゆる魔法がある世界だ。

 できればチートして、可愛い子と結婚して……仲睦まじい家庭を築きたかったのだが…………

 まさか転生してきた場所が森の奥だったなんて死んでも言えない。


 (これじゃあ、チートもハーレムもなんもできねぇじゃねえか!異世界の楽しみどこいった!)


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「相変わらずアンタは遅いねぇ」


 目の前にいるばあちゃんは昔、剣士だったらしい。

 だからと言ってはなんだが、ものすごく体力がある。


「はぁ…はぁ…はぁ…ばあちゃんが…早い……だけ…」


「まぁいいさ、今日はここら辺でやるよ」


 ばあちゃんはそう言うと木剣を構えた。

 それに倣って俺も構える。


「……さて今日はどうなっているかな?」


 毎日、ばあちゃんとの基礎体力を伸ばす訓練をしている。

 意外と1日で劇的な変化が起こったり…………はしない。


 息を整えて、自分の体に身体強化魔法をかける。

 毎回これだけ纏っても負ける。ばあちゃんは身体強化魔法を使っていないのに、だ。


「よ…よろしくお願いします」


 また新しい一日が始まる。


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