第六話 般若の様な幼馴染
今回はいつもよりちょっと長めです。その分間違いも多いと思いますが、良ければ報告してやって下さい。いつもありがとうございます。
いやー、遂にテスト前だ。学生が最も憂鬱になるであろうこの期間、俺と友人達はいつもとちっとも変わらない……はずだった。
「次のテストで100番以下とったら、テストで100番以上取れるようになるまでゲーム禁止だから真面目にやりなさいよ」
「……はい? それテストの三週間前に言うことじゃないよね!?」
ちなみに俺の通っている高校の同級生は大体300人くらいである。いつも俺がテストでとっている成績は、大体140~160番位の良くもなく悪くもない順位だ。
「三週間で頑張りなさい」
「三週間で50人抜きしろと?」
「しなさい」
「マジかよ」
「マジよ」
とまぁ、こんな感じで私の平穏な日々は失われたのである。悲しい。
頼みの綱の練太郎の教え方じゃ一ミリも分かる気がしないし、佐藤や田中も勉強がそこまで得意ってわけでもない。
「……さらば、私だけの青春……」
──────そんなこんなで気づいたらもうあと二週間しかない。もちろんそんな短期間で50人抜きなんて出来るわけもないし……はぁ……どこかに練太郎と同じくらい頭が良くて、かつ教え方も良くて、自分の順位を犠牲にしてもいいから俺の勉強を手伝ってくれる様な奴がいたりしないかなぁ……
「で、内坂。そういうわけだからそんな感じのスーパーパーフェクト美少女が知り合いにいたら紹介してくんない?」
「何で私に聞くの?」
「お前の人脈が広そうだから。せっかくお前の連絡先知ってるんだし、使えるものは使わないと損だろ」
「そこまで都合のいい人は世界中どこを探してもいないでしょ…………あ!!!」
「どした急に」
「一人だけ思い当たる人が居るわ」
「誰? 誰だ? 教えてくれ! いや、教えて下さい!! 内坂先輩!!!」
「そこまで頼み込まれちゃ仕方ないわね。ならその人に連絡しておくから、放課後に図書室まで来てね」
「ありがとうございます!!」
──────遂に放課後になった。図書室で指定された席に座って待っていると…………げ、あいつかよ……まぁ話すわけでもないし視界に入るくらいならまだ……ってちょっと何でこっちに向かって歩いてきてるんですかね? ちょっと???
「博幸、私に勉強教わりたいって本当? まぁ博幸が相手だったらこのまま次の日の朝までつきっきりで教えてあげられるけど、どうする?」
……とりあえずこいつは無視しよう。
一旦図書室から出て、スマホが使える場所で内坂に電話をかけてみる。
「はいもしもし」
「おいちょっと待て話が違うぞ」
「何が違うの?」
「こいつのどこが『スーパーパーフェクト美少女』だよ……」
「え? 要望通りの人を用意したはずだけど……黒岩くんと同じくらい頭が良くて、かつ教え方が上手くて、自分の順位を犠牲にしてもいいからあなたの順位を上げようとするスーパーパーフェクト美少女よ。むしろここまでピッタリ条件が一致してるのは涼香くらいしかいないと思うけど…」
……こいつのスペックが無駄に高過ぎることをようやく思い出した。まさかこんな無理難題を乗り越えてくるとは……天から二物も三物も与えられまくった人生イージーモードの人間とはまさにこいつの事だな。
「……せっかく探して貰ったとこ悪いが、こいつが相手なら話は別だ。一人で頑張ることにする」
「今回のテストで100番以内に入らないとゲーム禁止なんじゃなかったっけ……」
「……うっ」
「しかもテストで100番以内に入れるまで続くんでしょ? 順位を50位も上げたいんなら……うちの学校、県内でもそこそこ頭いいとこだし、結構な時間がかかると思うよ」
「……」
「竹山君が涼香のことを嫌いなのは分かるけど、涼香に教えてもらえばほぼ確実に100番以内に入れると言っても過言じゃないわ。これから先いつまで続くか分からないゲームの禁止と、二週間嫌いな人に勉強を教えてもらうの、どっちがいいの?」
「……うっ」
なるほどそう来たか……どっちも同じくらい嫌だけど、期間の短さで言えば圧倒的に後者だ。ただ、あいつが素直に俺に勉強を教えるとは考えづらい。ただ、友達からの頼みとなれば別か……?うーん……考えていても埒が明かない。ダメもとで行ってみるか……
「はいはいわかったわかった……こいつに教わることにする。」
「それじゃあ私はここで」
「おう」
図書室に戻り、大川に勉強を教わることを伝えた。まずは信用できるかテストしなきゃな……
「言っとくけど、お前を許したわけじゃない。俺の目的の為にお前を利用してるだけだ。勘違いすんなよ」
「……うん」
彼女は真剣な目をして頷いた。
「まずこの問題を教えてくれ」
とりあえず事前に答えを調べておいた難しい問題を分からないフリをして教えさせてみる。
「えーっとね…………まず、ここをこうしてみると、この形になるのが分かる?」
「おう」
「次に、さっきのこれで、この関係が成り立つから、ここもこの関係になるの。で、そこをその通りに計算してあげれば……ね?」
凄いな……ちゃんと正解だ……けどなんかムカつく。
そして……さっきから近いんですが? 俺だって普通の男子高校生ですよ? お前見た目だけはいいんだからあんま寄って来んなって恥ずかしい! さっきからお前の成長しまくった胸部が当たりそうで怖いんだぞこっちは!! しかもお前全然気づいてないじゃんふざけんな!
「近い。離れろ」
「……あ、ごめん」
そう言って彼女は急いで後ろに下がった。
「……てかなんかさっきからジロジロ見られてねーか?」
……まずいな……そこまで深く考えてなかったけどここ図書室じゃん……しかもテスト前……てことは結構な数の生徒がここに集まる。こいつは見た目だけで言えば学年でも……いや、ひょっとしたら学校内でもトップ3くらいには入るかもしれないしな……
「まぁ私もさっきから視線は感じてたわね……しかも……結構な数よ……」
「あいつら公共の場でイチャイチャしやがって……〇ね」
「あぁ……何で"あんな男”に大川さんがくっついてんだちくしょうめ……」
「隣の男誰だか知らんけどそこ変われ。てかついでに〇ね……」
恨み度MAXだなおい……ってちょっと? 大川さん何であなたは立ち上がってるんですかね? しかも顔怖いよ? どれくらい力入れたらそんな感じになっちゃうの? 普段の顔からは想像もつかないよ? てかやめてやめてそっち行かないで凄く嫌な予感がするから……
大川は三人のところに向かい、それぞれにこう聞いた。
「……さっき、何か言った? あ、あと"ついでに”もう二度と博幸と関わんないでね?」
その様子を見て、三人全員が
「何も言っておりません。そうさせて頂きます……」
と答えるしかなかったようだ。三人は渋々図書室を出ていった。
「終わったよ。さ、続きやろっか?」
そこには、先程までの般若の様な印象は欠片もない、いつも通りの美しい女性がいた。
「……お前さっきめっちゃ怖かったぞ。何? お前もしかして前世はヤクザかなんかだったの? まぁ似合いそうではあるけど」
「酷いわね……でもそこまで怖かった? 確かに怒ってはいたけど……」
「でもあいつら確かにうるさかったから助かった」
「……博幸を馬鹿にされたから怒ったのに……」
小声で何か言ってたけど聞き取れなかった。
「え? 何か言った?」
「ううん……何でもない……ただの独り言だから……」
てかなんでさっきから顔赤いの?
「じゃ、早く続き始めよ。はい、じゃあここはどうやるか分かる?」
「分かんない」
「じゃあこれをこうして………………」
こりゃ今日の分はあと何時間後に終わるか分かんねーな……まぁいっか……二週間後に間に合えばそれでいい。
「ちゃんと聞いてる?」
「聞いてるっつーの。これをこうしたらいいんだろ?」
「違うってば……それはこの問題。やっぱ聞いてないんじゃん……」
「はいはいわかったわかった……次はちゃんと聞くからもっかい頼む」
「しょうがないわね……だからこれをこうして…………」
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