第五話 なんか今回は影が薄い幼なじみ
遅くなりましてすいませんでした!
評価ポイントが日に日に増えていってるのを見ててとても嬉しかったです!
※今回は涼香がほぼ出てきません。ご了承ください。
いくらアイツの作ったものとはいえ、食べ物を捨てるのは勿体ないと思い、少しだけ食べてみた。結果……普通に美味かった。
まぁ、だから惚れるとかはないが、少しだけ得をした気分になれた。
だが、後々になって冷静に考えてみると、やはり食べない方が良かった気がする。結構キツめに拒絶した為、自分の企みが上手くいかなかった腹いせに毒物でも仕込んでいないかを確認するべきだったと反省している。幸い食べた翌日は何事も無かったが、もしかしたら数日後に効果が現れるタイプなのかもしれない。正直かなり怖い。まるで体に爆弾抱えてるみたいだ。
──────「なぁ練太郎、頼みがある」
「なんだ博幸。俺に頼み事なんて珍しいな。どれくらい珍しいかっていうと、俺が二試合連続でボロ負けすることぐらい珍しいぞ」
「その俺とお前くらいにしか分からない例えやめろよ……いやまぁ何となく分かるけど……」
「で、何だよその頼みって」
「……テスト勉強一緒にやってくれ」
「テスト……? あ! そういや……あったなぁ……せっかくアプデ来たのに……」
「んな事言ってる場合じゃないだろ……今回も補習受けるのは嫌なんだよ!」
「はいはいわかったわかった……ただ、俺の教え方ってすげーわかりにくいんじゃなかったか?」
「そりゃあそもそも字が汚いからお前のノートを読む気になれない上に、俺が分かってないところを利用した解き方ばかり教えてくるからだろ」
「俺一応一番早くて楽に解けるやり方ばかり教えてるんだけどな」
「……ま、まぁ、とにかく……実際に解いてるとこを見ながらなら分かりやすいんじゃないかと思ったんだ」
「あいよ。んじゃ放課後俺ん家来いよ」
「もちろん」
──────そんなこんなで放課後になった。始めてすぐは二人とも結構真面目に勉強していたが……
「おい狙われてるって」
「狙われてないぞ?」
「いやめっちゃ狙われt……」
俺が全てを言い終わる前に、目にも止まらぬ早さで練太郎は目の前の敵を全員倒していた。
「ほら、これでもう狙われてないだろ?」
「お、おう……そうだな……」
いつの間にか一緒にゲームをしていた。しかもなんと見事に十三連勝である。
「……って違う!!」
「いきなりどうした? 良い医者紹介しようか?」
「テスト勉強のはずなのになんかいつの間にかゲームしてんじゃねーか!! しかもなんかめちゃくちゃ勝ってんじゃねぇか!!」
「……なんか二人で家にいるといつの間にか始めてるな」
「二人ともゲーム大好きだからな。ブレーキ役が居なかったらそりゃあそうなるわな」
「……てか今何時だ?」
「結局勉強する時間残ってねーな」
「……今度からはゲームのないとこで勉強するか」
「図書館とか?」
「だな。んじゃそろそろ帰るわ」
「明日は図書館にしようぜ」
「そうだな」
そんな感じで練太郎と別れた後、帰り道で内坂と会った。
「こんなとこで何やってんの?」
「帰宅途中だけど」
「もうすぐテストだけどテスト勉強やってる?」
「やろうとしたけどいつの間にかゲームしてた」
「……私の弟と同じこと言ってるわね……」
「ちなみにそいつ何歳だ?」
「小学六年生だから……十二歳よ」
「随分歳が離れてるんだな」
「いやそこよりももっと気にするべきとこがあるでしょ……」
「俺が十二歳と同じ思考回路をしてると言いたいのか?」
「そこまでは言ってないけど……まぁ、あっちは竹山くんのこと知ってるから、見つけたら仲良くしてあげてね」
「見つけるも何も俺はそいつを何一つ知らないし……てか姉のクラスメイトと仲良くする方が不自然だろ」
「別にいいじゃない。あの子が『友達とは違うゲームばっかりやってるから、そのゲームについて話す相手が欲しい』って言ってたの」
「……まぁ、仕方ないから言うこと聞いてやるよ……ただし、その代わりに数学ワークの38ページ、問6が分かんないから教えてくれ」
「私はそこよく分からないから涼香に聞いて」
「じゃあいいや」
「まぁ、それでいいなら……」
「というかお前は何やってんだ?」
「食材の買い出しよ」
「そうか。んじゃさよなら」
「また明日ね」
「おう」
───────帰宅後、疲れていたので、いつもより早めに寝た。
……寒気がして、目が覚めた。何故か横から視線を感じる。
「……今何時……?」
「ええっと……朝の五時ね。結構早起きなのね」
「……死ね」
「いきなりそれは酷くない? 何? 反抗期なの? お母さん悲しいわ……」
「……なんだ母さんか……あぁ、つい朝から人を殴りそうになった……ごめん」
「なんだとは何よ! 今日は珍しくお休み貰えたから久々に息子の寝顔を観察しようと思ったのに……」
「母さん何で働いてるの? 父さんの稼ぎで十分食べていけるでしょ……」
「私、今の仕事が好きなの。出産して育児が大変だから、一度は辞めようと思ったんだけど、私のしたことでお客さんが笑顔になってくれるのが嬉しくてね……それに、年金を受け取れる年齢が最近どんどん引き上がってるでしょ? 貰える額もどんどん下がってきてるし、老後に備えて稼げる間に貯め込んでおきたいのよ。それにもし事故か何かで死んでも、博幸が大学を卒業出来るくらいのお金は残しておきたいしね」
……初めて聞いた、母親の心中。改めて、この人が母親で良かったと思えた。
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不定期投稿なんで、次回はいつなのかは不明です……