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第十五話 姿の見えない幼馴染

お待たせしました、十五話です。少し長いかもです。ではどうぞ

風邪をひいていたせいで、久しぶりの登校である。今日はちゃんと授業も受けられた。ちなみに授業中先生が何を言っていたかは全くと言っていいほど分からなかった。空白期間の復習しなきゃだなぁ……てか進度えぐくね? 2日でもう次のとこ行くって……


まぁ、なんだかんだあったけどどうにかなって良かった……

「博幸、病み上がりだしあんま無理すんなよー」

「優しい世界」

「野菜生活」

「ここまでテンプレ」

「なんかリプ欄みたい」

「いつも通りだろ」

「それもそっか。お前の復活祝いにラーメンでも行くか?」

「お前の奢りならな」

「……まぁ、俺から誘ったしそれでいっか。でも、お前も今度何か奢れよ」

「言っとくけど、上限はラーメンの価格+100円までな」

「はいはい分かってるってー。んじゃ放課後行こうぜー」

「おう」


「あの……竹山くん……」

「ん? 白澤さんどしたの?」

「その……これ……良かったら使って……」

と、1冊のノートを手渡された。開いてみると、前にやっていた部分と、それに加えて見たことない部分の説明が細かく書き込まれていた。

「ありがと。今日の内容全然分かんなかったからすごい助かる! じゃあ写させてもらうから明日返すな」

「あ、返すのとか……気にしないでいいから……」

「え、ほんとにいいの? 」

「うん。私はもう自分用にまとめたのあるし……」

「ありがたく使わせていただきます……」

「じゃあ私行くね」

「ばーい」

「ば、ばーい……」

俺はふざけて言ったのに、少し恥ずかしそうにしながらも同じ言葉で返してくれた。やっぱいい人だなぁ……


「……博幸、前に俺が言ったこと覚えてるか?」

練太郎がニヤニヤしながらこう言った。

「いや何の事だよ……そんな急に言われてもパッと出てこねぇよ」

「まぁ流石にそうなるか。(白澤さんを)大切にするんだぞー」

「おう。ちゃんと(ノートを)大切にするよ」

「よーし! じゃあ今度はお祝いのラーメンに連れてってやる」

「お前は三食ラーメン食ってるのか?」

「そんなわけあるかーい」

「……分かってるだろうけど、食った分運動しないと太るからな……」

「いや、俺さ、運動面に関しては全然ダメなんだけどさ、なんか太らないんだよなぁ……」

「全国の女子を敵に回したなお前」

「なんとかなるだろ」

「いや楽観的すぎるだろ……」


──────放課後になると、練太郎が「実はそこ、少し遠くにあるんだ」と言って、3つ隣の駅まで連れていかれた。加えて駅から10分ほど歩いたが、彼の言った通り本当に美味しかった。十分歩く価値はあったと思う。でも、何でそんなとこにあるラーメン屋を知っていたのか聞いてみたら、なんか話を逸らされたけど……まぁいっか。

「あー、美味しかった……」

「だろ?今度のとこもあそこレベルに美味しいから楽しみにしとけよー」

「今度は近場で頼むわ。このままだと課題プリントが終わらん。」

「え、それって明日出すやつ? あれなら1時間あれば終わるぞー」

「お前は1時間で終わるかもしれないけど俺はもっとかかるんだよ……じゃーなー」

「おう」

いつもの別れ道でそれぞれの家路についた。家に帰るとまず最初に、彼女から貰ったノートを見てみる。

「んーと……あ、あの記号ってこういう意味だったのね……情弱には厳しい世界だなぁ全く……なんか新しい式もあるし……うわぁ…………ま、まぁ……きっとなんとかなるだろ……うん……ポジティブ思考大事……」

……この後、俺が徹夜したのは言うまでも無いだろう。


───────やばい。凄く眠い。立ってるはずなのにすっごい眠い。 ……てかさっきから校長話長いな!! どうでもいい内容ばっか話してないで寝かせてくれ……

「…………次は、養護教諭の花澤先生のお話です。気をつけ、礼」

周りとズレがないように頭を下げる。そういや高校に入ってから保健室は行ったことないな……まぁ早速お世話になるかもしんないけどさ……どんな人なんだろ……


「はい、皆さんおはようございます。夏休み前ですが、その前には期末試験がありますね。期末試験前は提出する課題も多く、徹夜して終わらせようなんて生徒も残念ながら多くいます。当たり前のことですが、徹夜は健康によくありません。免疫力が低下したり、寝坊によって朝食を抜くことで、エネルギー不足によって貧血になったり……など、他にも様々な悪影響があります。それに、記憶の定着は睡眠中に行われます。勉強の為に夜更かしをしていたつもりが、眠気などによって、かえってテストの成績を下げてしまうこともあります。本来ならいつも通りの時間に寝て、いつも通りに起きてテストに臨むのを勧めたいですが、どうしても勉強したい場合などは、早寝早起きする方がいいですよ。それでは皆さん、規則正しい生活を送って、テスト頑張って下さい」

いやめっちゃちゃんとしたこと言ってた……てか長い……

「気をつけ、礼」

再び遅れないように頭を下げる。頭を下げる時に腕時計を確認したところ、そろそろ朝礼の終わる時間だった。

「それでは1年生から教室に戻って下さい」

ようやく朝礼から解放された。とはいえ、朝からこの感じじゃ間違いなく耐えられない。という事で、コーヒーを買おうと思う。まぁ買ってる時間ないから昼からだけど……ってあれ? そういや練太郎どこだ? 今朝から見かけてないけど……

「それでは出欠をとります。伊藤」

「はい」

「内坂」

「はい」

他にも色々居て次に練太郎の番。

「黒岩は体調を崩して欠席だそうだ。誰か黒岩の家を知っている奴はいるか? 放課後プリントを届けて欲しいんだが……」

練太郎休みかよ……まぁお見舞いのついでってことで……

「俺が行きます」

「じゃあ竹山、放課後少し残ってくれ」

「分かりました」

「えーっと……次、小杉」

「はい」

……と、授業の合間にふざけられる相手がいなくなったため、休み時間が暇で暇で仕方ない。テスト前だし、一応勉強しなきゃいけないと思い、彼女から貰ったノートをもう一度見てみる。……ダメだ……とても一回じゃ覚えられそうにない。どうやらこの先しばらくはお世話になりそうだ……


「あ、それ……使ってくれてたんだ……」

「ん? あぁ、これめっちゃ丁寧に書かれてて分かりやすい! あとこの言葉が何ページに出てるかとかも書いてあるから便利だな!」

「あ、ありがと……そこまで言って貰えると作ったかいがあったよ……でも休み時間に勉強してるなんて珍しいね……どうしたの?」

「ん? あぁ、練太郎がいないからゲームの話ができずに暇してるってことで合法的に暇を潰せる勉強をしてました」

「合法的って…………仮に校則がなかったら何するつもりだったの?」

「もちろん周回作業」

「えぇ……」

「まぁまぁいいじゃないか」

「あっはい」


会話が続かねぇ……そして気まずい……やっぱ共通の話題とかがないと厳しいな……俺と白澤さんの共通の話題と言えば……

練太郎のことについてと学校行事くらいしかないな……なんか他にないか……?

「……そういえば、もうすぐテストだよね……」

「へー、そう。テスト……ってテストもうすぐ!?」

「え?あと1ヶ月でテストだよ?」

「なんだ1ヶ月あるのか……」

「え、1ヶ月ってそんな長い?」

「……なんか今の会話だけで2人の勉強に対する意識の差が分かった気がする」

「ま、まぁ……それでね……もうすぐテストだし……その……もし良かったら、一緒に勉強……」

「亜里沙ー、ちょっといいー?」

げ、陽キャの護衛集団(笑)の見た感じトップに君臨してる……名前分かんないから取り巻きAでいっか……タイミング悪いな……

「どうしたの?」

「なぁ、そろそろ予定空いた? 今週末のチケット取れそうなんだよね〜」

「あはは……少し厳しいかな……」

「さっき"テスト近いし一緒に勉強しない?”って誘ってるように聞こえたんだけど? 俺よりこのタケノコくんを優先しようとしてるの?」

「えっと……それは……」

いやタケノコくんってなんだよ……俺の名前は竹山だよ迷惑野郎……とは言っても視線が集まるこの状況、俺はそれをひっくり返すだけの力を持ってるとは言い難いし……やっぱ数の暴力には叶わな……

「あ、兄貴! やっと見つけた!」

ん? 兄貴?

教室のドアに視線が集まる。そこにいたのは…………あ、あの可哀想な人だ。

「いやー、まさかこんなとこにいたとは……って、お取り込み中でした?」

「なぁ、1つ聞いていいか?」

「はい、何ですか兄貴」

「………………え、俺が兄貴なの?」

「はい! もちろんです!」

「…………………………」

え、どゆこと?

「お取り込み中でしたらまた出直しますけど……」

「あ、どうぞどうぞ入っちゃって」

ラッキー! 助け舟きたー!


「お、山中ー、お前最近部活サボってたろ? 部活サボって青春したい気持ちも分かる。何せ俺が経験中だからな。だがしかし、部活に入ったんなら、せめて休む意思は伝えt……」

「うるせぇな! キャプテンだからって偉そうにしてんじゃねぇよ! いつも俺の邪魔ばっかしやがって! 中学の時、未経験者だったくせにぐんぐん伸びてキャプテンの座をかっさらっていったのはお前だろ!? 高校生になってやっと輝けると思ったのに……どうしてまたお前が居るんだよ! ……………………よし、サッカーしようぜ。お前対俺とアキラとコウスケで」

3対1!? 流石にそれはこいつがキャプテンだとしても不利なんじゃないのか?

「負けたら罰ゲームな。俺たちが負けたら全部俺のせいだったってことで謝ってやる。お前が負けたら…………キャプテンやめろ」


「おい、流石にそんな条件こいつがどんなにバカでも受けn……」

「兄貴、残念ながら俺は……どうしようもないバカなんですよ。いいぜ、その勝負受けてやる。俺が勝ったら兄貴にも謝れよ」

「タケノコくんに? …………いいぜ。もし、お前が勝ったらな」

……何だか嫌な予感がする。

良いなー、と感じたら、コメントや星での評価よろしくお願いします。

※博幸が「可哀想な人」と呼んでいるのは、大山大助です。

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