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十三話② 隣の席で歓喜する幼馴染(涼香視点)

し、ししし失踪なんてしてないんだからねっ!ごめんなさい。

博幸に思い切って告白した翌日、私達の関係に何かしらの変化が起こるか怯えていたけど、結局昨日までと同じような対応だった。

……けど、約束は約束だ。三年後、博幸に彼女がいなくて、かつ私が更生したと認められた場合、私は博幸の正式な彼女になれる。博幸の隣に立つことを再び許してもらえる。そのためにも、今は博幸の為に頑張って働かなくちゃ……


「今日は席替えするぞー」

昼食後のLHRで突然先生がそんなことを言い出した。たった一言でクラスの大半がこんなにも盛り上がるのは予想してなかった。席替えってそんなに重要かな……? 博幸の隣以外はほとんど変わらない席ばかりだし、新しく隣に男子が来た場合は対応が面倒くさいのよね……高校ではそんなことないといいけど……中学の時は……

「大川さん! これからよろしくね!」

なんて言った次の日に告ってくる人とか……

「ねぇ、連絡先交換しない?」

とか言って、傷つけないために遠回しに断ってるのに空気を読まずに何度も再アタックしてくる男子(バカ)がうじゃうじゃいたし……悪いけど、私博幸以外の人に興味ないから。


──────クジを引いた結果、黒岩くんは安定の博幸の後ろ。(実は先生がわざとそこに配置してるみたい)そして左隣には博幸!!! ……そこまではまだ良かった。けど、問題なのは、博幸の左隣、つまり博幸を挟んで左側に、恐らく私の恋のライバルになる亜里沙がいることだ。でも、博幸と隣になれた幸福感が圧倒的に恐怖に勝っている。

「よろしくね♡」

「しばらくの間よろしくね」

亜里沙、緊張してるのかな……? 肩に力が入ってる。

「…………」

……そして微かな寝息が博幸の後ろから。黒岩くんは変わらないなぁ……ま、まぁ……その方があの人らしいけど……


「…………それじゃあ周りの人達と話してていいぞー」

ナイス担任!

「……黒岩くん……は寝てるね」

と思ったらなんか会話が始まってる……

「思いっきり寝てるな」

「起こした方がいいの?」

「こいつを起こすにはちょっとしたコツがある。あとしばらく寝ぼけて少しするとまた寝るから基本こいつは寝かしておいた方がいい」

「睡眠時間大丈夫なのかな……」

「あぁ、こいつはいつも徹夜してるぞ。ちょっと仮眠することはあるけど基本オールしてる」

えっそうなの!? やけに寝てるなと思ったらそういうこと!?

「うわぁ……」

「でも何故かテストの成績はいいんだよこいつ」

そうなのよね……何でか分からないけど授業そんなに受けてないはずなのに私とほぼ同じ成績とってるし……

「疑いたくはないけどカンニングとかは……」

「してない。試しに試験官と二人だけの部屋にして抜き打ちテストさせたこともあるらしいけど、余裕の満点とったから先生が『疑ってすまなかった』って謝罪してたし」

……えっそんなに!? ここまで来ると笑えてくるわね……

「……どうなってるの?」

「俺もそう思う。はぁ……これが本当の"天才”って奴なんじゃないの?」

「……もうそれ以外に表現しようがないわね……」

「……ねぇ、博幸……」

会話が一区切りしたので慌てて入り込む。ごめんね亜里沙……私も彼に印象づけなきゃいけないの……

「……何だよ」

「テストでいい点とれたの」

黒岩くんと比べても私のが合計点は約10点上! これなら行ける! え? 何で黒岩くんの合計点を知ってるかって? 博幸との会話の時に言ってたから。

「はいはいすごいすごーい(棒)」

「……それだけ?」

おっと……驚きのあまりつい本音が漏れた……

「もう終わったことだろ……あんまテストの話はしたくないんだよ」

「……分かった」

そうだった……博幸は勉強嫌いだった……なんでこんな初歩的なミスを……! 特にテスト後にその話題を振るのは嫌ってるって知ってたはずなのに……!! これじゃまるで自慢してるみたいじゃない…………


──────まぁ、その後も色々あったけど、次の授業の時間になった。隣だと博幸の傍に居れる感じがして落ち着く……

「隣の人どうしで答え合わせしてていいぞー。ペアの人が分かってなかったら教えてあげてくれ」

これはチャンス! ここで博幸に問題を教えてあげられれば……あれ? 私博幸のペアじゃなくね? 私の右隣は……

「よろしくお願いします」

いや誰だよ……

「よろしく」

素っ気なくそう返す。ちょっと前に麗奈に言われたけど『好きな人がいる時、他の男子に対してはこのくらいの方がいい』らしい。

「これはさっきの公式を当てはめてこの形にすればいいのかな……?」

「そこはそれであってるけど次のは違ってる。もう1回教科書よく見て」

おっと……つい癖で真面目に教えてしまった……

「……あ、本当だ……ありがとう」

「どういたしまして」

「……怒ってる?」

「……そう見える?」

「なんかムスッとしてる」

「怒ってないから大丈夫。眠いだけ」

私は咄嗟(とっさ)に嘘をついた。

「……それならいいけど……」


──────授業が終わった。博幸はいつも通り黒岩くんと帰るかと思ったら、どうやら亜里沙と帰るようだ。先を越された気がして悔しいけど、ここで手を出すわけにもいかない。だから大人しく後ろから見守るしか……じゃなくて……うーん……どうしよっかなぁ……バレたら間違いなく怒られるんだよなぁ……でも二人が何するか気になるし……


──────結局博幸にこれ以上嫌われるのと、最悪の事態があった場合のダメージが大きすぎることを考慮してやめておいた。あー……大丈夫だよね……? まだ二人はそこまでの関係に辿(たど)り着いてないよね……?

心配でとてつもなく怖いけど、まだ二人がそういう関係になってないことを祈るしかない……


良いなー、と感じたら、コメントや星での評価よろしくお願いします。

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