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第十一話② 強力なライバルが現れた幼馴染(亜理沙視点)

遂にGW最終日か………………皆さん、明日からまた頑張りましょう……

Twitter→https://twitter.com/Syumai_syosetu?s=09

──────一般的な高校生にとって、"友達”とは、何なんだろうか。

どうでもいいような事で笑い合える存在? 毎日昼ご飯を一緒に食べるような存在? 寝ていた授業のノートを写させてもらえる存在? ……私の"友達”は全部それに当てはまっている。

……けど、何故か疎外感を感じる。女子からはどことなく避けられているような気がするし、男子からは"二人きり”でどこかへ行こうとよく誘われる。普通友達としてどこかに行くとしたら、他の人も誘うはずだ。

……きっと、"友達”と言う関係性は、互いに信頼しあっているからこそ成り立っているものであり、今のような関係は本当の友達とは言えないと思う。彼らは本当に私のことを"友達”として見ているのだろうか……そんなことを考えながら、今日も四方八方を埋め尽くす彼らを見て、心の中でため息をつく。私は聖徳太子でもなんでもないので、複数の会話は聞き取れない。早く放課後にならないだろうか……


今日は放課後になると、彼らから解放されることになっている。いつもは家に帰ってからようやく一息つける感じなので、少しでも早く自由になりたいのだ。


──────遂に待ち望んだその時が来た。私が解放される瞬間。HRの終わりと共に、ふっと体が軽くなった気がした。あの二人には事前に今日のことは伝えておいたはずだから、教室の後ろで待ってよう。


『ダルいからとっとと終わらせようぜー……』

『さんせーい』

どうやら二人が来たらしい。私より背が高い方が竹山博幸くん。隣で眠そうに返事をしたのが黒岩練太郎くん。同じ係になった彼らとは、一週間ほど前から挨拶を交わす程度の関係になった。当たり前かもしれないが、彼らはこちらとの間に壁を作っている様には見えないし、どこかへ行こうとしつこく誘ってくることもない。たったそれだけのことが、私に日常的な安らぎを感じさせてくれた。一週間に一度、係で放課後に教室に三人で残り、仕事をして各々が帰る……と言っても、竹山くんと黒岩くんは二人で帰っていることがほとんどだが。今のところ、この短い時間だけが、唯一彼らと時間を気にせずに話せる時間であり、私に安らぎを与えてくれる時間である。

……この頃には既に、この人達になら、私の悩みを話してもいいかな……と、思っていた。


──────作業をしている中、ふと思った。あぁ、竹山くんって背が高いな……と。女子の中ではかなり身長が高い方の私との、その少しの差が、改めて彼が異性であることを感じさせる。


「竹山くんってやっぱり背高いよね〜」

『男子だし皆そんなもんでしょ。つーか白澤さんも女子の中では身長高いよね? 何かスポーツでもやってんの?』

特にスポーツ経験はない。運動成績も、体育の授業で平均値をとるくらいだ。あと考えられる可能性としては、外国人である母からの遺伝だ。

「スポーツは特にやってないかな〜……お母さんの身長が高いから遺伝かな?」

『俺は男なのに例外なんですかね?』

『お前が全然寝てないだけだろ……』

夜に寝ないと身長は伸びないらしいしね……

「あはは……そういえばいつも思ってたけど、二人とも仲良いんだね……小学校とかから友達なの?」

『いや、高校からだけど』

「えっ……そうなの?」

衝撃の事実に思わず聞き返してしまった。もう何年も一緒にいる感じが出てたのに……

『あれじゃね? 俺たち二人とも友達が少ないから、その分一人一人に割ける時間が長くなって必然的に仲良くなるとか?』

『確かにそれはあるかもな』

「……ねぇ、ちょっと……いいかな」

『どしたよいきなり』

「私の悩み……二人に聞いて欲しいの」

『どんな悩み?』

「……さっき、友達についての会話を聞いて思ったんだけどね……」

『どうぞ』


「自慢に聞こえるかもしれないんだけどね……ほら、自分で言うのもあれだけど、私って"周りから見たら”友達多いよね……でも、その人たちが本当に"友達”なのか不安なんだよね……なんて言うかさ、その……上手く言えないんだけど……今のところ断ってるんだけど、男子からはよく週末に二人でどこかへ行こう、みたいな誘いを受けることが多くて……女子は私と大して話してくれないし、何となく距離を置かれているみたいな感じがして……それに女子だけになると急に会話が途切れるし……」


話し出したら止まらなくて、溜め込んでいた感情をつい全て吐き出してしまった。それからしばらく、竹山くんが難しいことを考える顔をしていた。私の発言で色々と悩ませてしまったと思い、これ以上深く考えないように止めに入る。


『……あ、なんかごめんね……色々考えさせちゃったみたいで……誰かに話聞いて貰えただけでだいぶ楽になったから……もし良かったら、二人は"本当の友達”として今後も付き合ってくれると嬉しいな……』

微かな希望を込めて、彼らの気持ちを聞いてみることにした。


『……話聞くぐらいだったらできるから、遠慮なく言ってくれ』

『俺も勿論協力するぜ〜』

少しの沈黙の後、柔らかい笑顔でそう言われ、とてもほっとした。

「……!! ありがと! じゃあ早速連絡先でも交換する?」

『了解』

『俺は基本何時に送られても返信出来るぜ!(笑)』

「ふふ……両方とも頼もしいね!」

『まぁ確かにこいつなら何時だとしても反応出来そうではあるが……』

『だろ?』

『なんかこのやり取り前にもしたような……』


こうして今日、心から信頼出来る本当の"友達”が二人できた。

軽快な音と共にメッセージアプリに新しく追加された二人の名前を見て、不思議と冷えきっていた胸が暖かくなった。


──────家に着いた。空白のままのトークルームを少しでも早く埋めたくて、そして彼らと"友達”になった実感が欲しくて、竹山くんにメッセージを送る。

「明日の古文の小テストの範囲ってどこだっけ……」

よし、こんな感じでいいかな……

送ったメッセージの左下に"既読”とつき、少し待つと返信が来た。

『悪い。分かんないからちょっと待っててくれ』

あ、そもそも覚えてなかったんだ……まぁ、今日のうちに思い出せたから結果オーライ……?


五分程で新たなメッセージが送られてきた。

『クラスメイトに聞いたら、23〜27くらいって言ってた』

「ありがと!」

お礼を言い、お気に入りの可愛いスタンプも一緒に送信。

『どういたしまして』


そんな短い言葉のキャッチボールだったが、ほんの少しだけ、普通の高校生の気持ちを味わえた気がした。嬉しさで頬が緩む。


『亜理沙、なんかニヤニヤしてるわよ? 彼氏でも出来た?』

すっかり流暢(りゅうちょう)に日本語を話せるようになった母がニヤニヤしながらこっちを見てきた。

「うるさい! 母さんだってニヤニヤしてるじゃん!」

『あれれ〜? 彼氏ってのは否定しないんだ〜?』

「っ……だから違うって!!」


そう言われて、ほんの少しだけ彼のことを考えてしまったのは内緒だ。

『若いって良いわね〜』

「だーかーらー! そんなんじゃないって!!」

その後母を説得するのに時間がかかってしまい、彼氏が出来たと勘違いした父が落ち込んでいた。別にそんなんじゃないのに……

良いなー、と感じたら、コメントや星での評価よろしくお願いします。

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