第十一話 強力なライバルが現れた幼馴染
最近蚊(多分)に刺されました。痒いです。
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いつもと少し違う夕食を食べた次の日の朝、俺はどうやら幻聴を聞いてしまったようだ。いや……それともまだ寝ているだけか……? だって…………
『竹山くん、黒岩くん、おはよ〜』
『白澤さんおはよう』
「おはよー」
白澤さんのような人が俺たちに挨拶するわけがない。そう油断していたため、いきなり挨拶された時に咄嗟に友達のノリで返してしまったが、相手はあの陽キャの護衛集団(笑)を従えるほどのスクールカーストトップ。そんなノリで返してしまったら、他の陽キャ達からどう思われるかが心配だ。
……しかし、その日は特に何も無く一日を終えた。
そして、次の日も彼女に挨拶された。そして昨日と同じように返してしまった。しかし、ここまで来ると新たな問題が発生する。この二日間続けた感じで今後も貫き通さないと、仮に向こうがこちらを友達だと認識していた場合、急に丁寧な挨拶になったらこちらが相手を嫌っているという誤解を生んでしまうことになる。そして空気を読んだ相手がこちらと関わらなくなってしまう。そういう繋がりがはっきりと見えたので、これからは何も考えずに挨拶を返すことを決めた。どんな形であれ、陽キャの頂点に君臨する彼女とパイプが繋がっているのは、学校生活においてかなり大きなアドバンテージになり得る。
──────白澤さんから挨拶をされるようになって一週間。再び掲示係の仕事があると言われたので、放課後に残って教室の後ろとかに掲示物を貼る。そんな中、彼女は突然……
『竹山くんってやっぱり背高いよね〜』
「男子だし皆そんなもんでしょ。つーか白澤さんも女子の中では身長高いよね? 何かスポーツでもやってんの?」
『スポーツは特にやってないかな〜……お母さんの身長が高いから遺伝かな?』
『俺は男なのに例外なんですかね?』
「お前が全然寝てないだけだろ……」
『あはは……そういえばいつも思ってたけど、二人とも仲良いんだね……小学校とかから友達なの?』
「いや、高校からだけど」
『えっ……そうなの?』
『あれじゃね? 俺たち二人とも友達が少ないから、その分一人一人に割ける時間が長くなって必然的に仲良くなるとか?』
「確かにそれはあるかもな」
『……ねぇ、ちょっと……いいかな』
「どしたよいきなり」
『私の悩み……二人に聞いて欲しいの』
『どんな悩み?』
『……さっき、友達についての会話を聞いて思ったんだけどね……』
「どうぞ」
『自慢に聞こえるかもしれないんだけどね……ほら、自分で言うのもあれだけど、私って"周りから見たら”友達多いよね……でも、その人たちが本当に"友達”なのか不安なんだよね……なんて言うかさ、その……上手く言えないんだけど……今のところ断ってるんだけど、男子からはよく週末に二人でどこかへ行こう、みたいな誘いを受けることが多くて……女子は私と大して話してくれないし、何となく距離を置かれているみたいな感じがして……それに女子だけになると急に会話が途切れるし……』
……なるほど、何となく察せた。要するに、彼女は自分の周りに集まる"友達”の皮を被った"何か”を信用しきれていないってことか……? 話を聞いた限りだと、休み時間に構成されているあの陽キャの護衛集団(笑)の実状は、彼女を目的に集まった陽キャのイケメンと、彼らを狙う陽キャ女子で構成されていて、男子は彼女を"友達”として見ておらず、近づいたのはアピールして付き合うため。女子もまた彼女を"友達”として見ておらず、好みのイケメンを奪い合う"ライバル”として認識している……今のところそんな感じか? 女子側としては、白澤さんから離れるのはイケメンとの関わりが薄れるためデメリットとなる。しかし、実際は彼女とそこまで仲良くなりたい訳でもないので、表面上の形だけのお友達(笑)になっている、か……どうやら思ったよりも複雑な関係図だな……甘い蜜(白澤さん)に群がる虫たち(男)と、それを狙って網を振り回す少年たち(女)的な? 上手く例えられてるのか……?
まぁそれはともかく、本人が悩んでいるのなら解決法を考えないとな……だがこの現状をどう伝える? これはあくまで憶測だし、仮に当たっていたとしても、陰キャの一人に過ぎない俺と練太郎がどうにかできる問題でもないし……
『……あ、なんかごめんね……色々考えさせちゃったみたいで……誰かに話聞いて貰えただけでだいぶ楽になったから……もし良かったら、二人は"本当の友達”として今後も付き合ってくれると嬉しいな……』
精神的な支えがあるだけで、人の心は確かにだいぶ楽になる。そのことを経験から知っていたため、俺も彼女に"友達”として向きあうことに決めた。
「……話聞くぐらいだったらできるから、遠慮なく言ってくれ」
『俺も勿論協力するぜ〜』
『……!! ありがと! じゃあ早速連絡先でも交換する?』
「了解」
『俺は基本何時に送られても返信出来るぜ!(笑)』
『ふふ……両方とも頼もしいね!』
「まぁ確かにこいつなら何時だとしても反応出来そうではあるが……」
『だろ?』
「なんかこのやり取り前にもしたような……」
『そうだな(笑)』
……と、こんな感じで、俺と練太郎に新たな友達が一人増えた。ちなみに、両方とも女友達はもしかしなくても初めてだ。しかも美少女。やったぜ。
──────その日の夜、テレビを見ていたところ、彼女から早速メッセージが来た。
『明日の古文の小テストの範囲ってどこだっけ……』
か……ってあれ? そもそもそんなのあったか? やべぇ分かんね……
「悪い。分かんないからちょっと待っててくれ」
うーん……練太郎は当然知らないだろうし(まぁあいつなら抜き打ちでも高得点取れそうだけど)、他に同じクラスのやつなんて……あ、いたか。内坂。
早速俺は彼女にメッセージを送信する。
「突然悪いが、明日の小テストの範囲忘れたから教えてくれ」
五分ほど経つと返信が来た。早くね……?
『たしか教科書23ページ〜27ページくらいだったと思うけど……違ったらごめんね』
「ありがとな」
そしてそれを彼女にそのまま伝える。
「クラスメイトに聞いたら、23〜27くらいって言ってた」
『ありがと!』
メッセージを送ると即既読がつき、簡潔なメッセージと共に可愛い犬のスタンプが送られてきた。これにはどう反応したらいいんだ……? 少し考えてもこういう経験がない以上、答えは出るはずもなく、無難に
「どういたしまして」
と返した。
あーあ……勉強しなきゃな……だーる……
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