第十話② 決意を固めた幼馴染(涼香視点)
深夜テンションで書いてることが多いんで、変な部分とかあるかもしれませんがよろしくお願いします。
昨日地震の被害にあわれた方、一刻も早い復旧を祈っています。
──────テストを終わらせた私は、先生と言う名の心強い味方に恋愛相談をしていた。
『それで涼香ちゃん、今日はどんな相談なの?』
誰もいないことを確認してから先生が喋り出す。
「……今日も博幸についてです。実は……先生の言った通りデレデレしても全く効果が実感出来ないんです……むしろ更に嫌われているような感じすらします。 ……やっぱり、"あの事”が尾を引いているんですかね……」
『……そうね。やっぱり一度閉じた彼の心を開かないことには始まらないわ。 ……自分のした事に正面から向きあって、彼が納得出来るような謝罪方法をとってみるしかないわね……』
「……博幸が納得出来るような謝罪方法……ですか」
……拒絶されたとしたら……いや、ほぼ確実に拒絶される。 ……でも、やらないで後悔するよりやって後悔する方が、その後のダメージも変わってくるのかな……? ……出来れば二人きりで話したいな……そのためにはまず、博幸の部屋or放課後の教室がいいかな……でも、博幸はすぐ帰っちゃうから後者は厳しいわね……となると、残るは博幸の部屋……? でもいきなり博幸の家を尋ねるのは……そうだ! 博幸のお母さんに協力してもらえば……!!
『……覚悟は出来てる? 多分、色々と厳しいわよ』
「……それでも、やります。成功しようがしまいが、やってしまったことが変わるわけでもありませんし。 ……それに、このままじゃ多分一生後悔します。」
『……そう。辛くなったらいつでも来なさいね』
「はい。分かりました」
でも、流石に博幸だって私の気持ちに気づいてくれてもいいと思うのよね……もっと上の学校だって狙えたけど、博幸と登下校したくて博幸の受験校に合わせたし、最近かなり大胆に行ってると思うし……というか中学からアタックしてるのに……
中一で意図してなかったとはいえ博幸がハブられるきっかけを作っちゃったから、良い噂を流して相殺しようとしたり、中二で週一ペースで謝罪と好意の告白を兼ねた手紙を博幸の下駄箱に何度も何度も入れ、中三で卒業式の日に校舎裏に呼び出して直接気持ちを伝えようとした……というか中二の頃のあの手紙の内容って毎回変えてたんだけどな……
ちなみにクラスのお別れパーティーは招待出来るような雰囲気じゃなかったから、代わりと言ってはなんだけど、私の家にこっそり招待してたけど、来てくれなかったな……
バレンタインには、毎年謝罪の気持ちを込めて、博幸の家のポストに『ごめんね』って書いた手紙をチョコと一緒に投函しておいた。他にも数え切れないほどやったと思うけど、全部効果なしだったっけ……
失敗した理由をあれこれ考えていたら、HRは終わっていた。ほとんどの生徒は部活へ向かう中、博幸と黒岩くんを初めとした何人かの少数派は真っ直ぐに昇降口を目指す。私も今日は部活が休みだったから、こっそりと後を追う。帰宅する人の中でも何人かは最寄り駅へと向かうため、元々少なかった人数が更に少なくなる。その後しばらく着いて行った結果、二人が分かれ道で別れなかったため、黒岩くんの家でゲームをするらしいということが分かった。二人が奥の角を曲がって見えなくなったことを確認してから、博幸の家がある方の道へと進んだ。しばらく歩くと、博幸の家に着いた。誰もいないだろうと思いつつ、一応念のためインターホンを鳴らすと、早めに帰ってきたらしい博幸のお母さんが反応してくれた。
『はーい、どちら様?』
「大川涼香です。博幸君に用があって来ました」
『あら涼香ちゃん!? 今開けるから少し待っててね……』
しばらくすると、博幸のお母さんが出てきた。
『ごめんなさいね……博幸はまだ帰ってきてなくて……遅くなるかもしれないけど、良かったら上がって待ってる?』
「……それでは、お言葉に甘えて……」
言い出すまでもなくあちらから誘ってくれた。ミッションコンプリート。
『今お菓子とか出すから待っててね〜』
「お構いなく……」
そうして、リビングに通された。小学校の頃に遊びに来た時とあまり家具の配置とか変わってないわね……
『こんなのしかなくてごめんね……』
「大丈夫です。ありがたくいただきます」
『……ところで涼香ちゃん、博幸に何の用があって来たの?』
「……とても大事な事です。二人きりで話したかったので、学校では言えませんでした……」
『二人きり、ね…………じゃあ、博幸の部屋で話しあったらどう?上の階にあるから話の内容は聞こえないし。それともその間買い物にでも行っておけばいい?』
「あ、いや……そこまでして頂かなくても……それに、博幸君が嫌がるかもしれませんし……」
『嫌がる? そんなことあるはずないじゃない。好きなだけ話し合ってていいわよ』
「そ、そうですか……ではありがたく……」
『あ、どうせなら涼香ちゃんの料理また食べてみたいわ……きっと博幸も喜ぶだろうし……』
うーん……何だろうこの展開……物凄く都合が良すぎて逆に怖いって言うか何と言うか……それに前の反応を見る限りとてつもないスピードでゴミ箱にポイされそうだけど……
「あ、はい……それでは何か作らせていただきます……」
───────そして、博幸の夕食を作り終えた後、実にあっさりと博幸の部屋に侵n……じゃなくて入ることが出来た。まぁ緊張で部屋を物色しようだなんて思いつかなかったけど……しばらくすると、博幸が帰ってきたようだ。
『おかえり〜。あんたいつもこんな時間まで遊んでたの?』
『何で居んの? テスト終わったから調子乗ってただけだって……』
『早めに終わったから早めに帰ってきただけ。はぁ……ご飯温め直すからその間に着替えてなさい』
おばさんがここまで聞こえるように大きめの声で言ってくれた…………そろそろか……えっと……まず最初に謝罪だよね……ごめんなさいじゃなんか軽い気がするし、すみません……でもまだ軽いな……うーん……
『へいへい』
『……ごゆっくり♪』
『なんか言った?』
『独り言よ』
『何だ……』
やっぱり普通の音量じゃ二人が何言ってるか全然聞こえないわね……
しかし、しばらく経っても博幸が階段を登ってくる音は一向に聞こえなかった。
──────『涼香ちゃんごめんね……失敗しちゃった……今からでも博幸のとこに突撃する?』
おばさんが申し訳なさそうに謝ってきた。
「いえいえそんな……流石にそれは止めときます……また今度の機会で……」
『そう……(今度は嫁として)また来るのを楽しみにしてるわ……』
そうして私は博幸の食事中におばさんに連れ出された。
まぁ料理食べて貰えたし今日はいっか……まさか食べて貰えるとは思ってなかったけど……
※補足:博幸の母親は"二人きり”になりたいと言っていたことから、涼香が博幸に告白しようとしたんじゃないかと疑っています。最後の"嫁として”発言はそういう事です。
良いなー、と感じたら、コメントや星での評価よろしくお願いします。




