第七話 果てしなく一途な幼馴染
失踪したと思っていたか? ……残念ながらネタが思いつかなくてゲームに没頭していたらいつの間にか一ヶ月経っていました。まだまだ先は長いですが、どうか待っていただけると嬉しいです。
次の日、なんかあいつが絶妙に目立たないところでイケメンに絡まれていた。
『大川さん、駅前に最近できたこのカフェ、今度行ってみない?』
『ごめんなさい。とっても残念だけど今日も明日も明後日も明明後日もずーーーーっと大事な予定があるから行けそうにないわ! それじゃあさよなら!!』
淡々と言い切ったぞあいつ……イケメン、ドンマイだ。お前くらいの顔ならもっといい女と付き合えるさ……だからやめとけ。そいつ見た目はいいけど内面は屑だから。
『それじゃあテスト終わったら行こうか。土曜と日曜どっちがいい?』
おい、話聞いてたかイケメン……お前思いっきり断られてたよな……
『ごめんなさい。無理です。あなたからいくら誘いを受けたとしても私は行くつもりはありませんし、第一私には彼氏がいるので。あなたもいい人を見つけて下さい。それじゃあさよなら』
あっ……ここにいるとマズい。大抵のラノベではこういうところに出くわすとただの知り合いの男性なのに彼氏役を押し付けられて既成事実を作られてしまう……てことで隠れるか。
──────『彼氏ね……そっか、じゃあ、その人と俺、どっちのが好m……』
『彼氏です』
『……その人に俺が勝ってる所h……』
『申し訳ないですが一つもありません』
『……そこまでの人だったら是非見てみたいな……』
『……はぁ、分かりました。そこまで言うなら…………ってあれ? おかしいな……さっきまでこの辺に気配を感じたのに……』
『そうですか。それならまた今度お願いします。ついでにそのタイミングを知りたいので良ければ連絡先k……』
『無理です。あと正直に言うとキモいです。次の授業があるのでさようなら』
角度的に互いに見えないところにいたが、会話は聞き取れた。いやー、あいつ『彼氏が居る』だなんて言ってたけど、あんなのが彼女だなんて彼氏さんは大変だな……
『…………そんな……馬鹿な……何でだ? この学校内において、女子からの総合的な評価で言えば俺が断トツ一位のはずだ! そんな俺に向かってキモいだなんて……しかも俺が勝ってるところが一つもないだと!? ……何で俺程のイケメンが同じ相手に二度もフラれなければいけないんだ……』
おいイケメン、あいつが去ったからって油断するな……声に出てるぞ……しかも自覚ありのイケメンとか厄介なやつだな……
ていうか"同じ相手に二度も”って言ってたな……メンタルすごいなあいつ。
「それにしても……なんか忘れてるような………うーん………あ! 移動教室!!」
こうして俺は、無事授業に遅刻したのであった。もちろん何も無いわけがなく、罰として課題のプリントを一枚増やされた。
──────あー、だる……七時間目とかどうしてあるんだよ……百歩譲って七時間目はまだいいとして、絶対時間割おかしいだろ!! なんだよこの時間割!! 七時間授業の癖に後半が数学、英語、古典の並びとか絶対わざとだろ!! どれだけ眠らせたいんだよ!!
そんなこんなでもう放課後。最後の授業中、気づいたら寝ていたのは言うまでもない。
『博幸、あんた最後の古典で寝てたでしょ……』
「何でそんな事言えるんだ? お前の席は俺よりも前のはずだろ? 後頭部に目でもついてんのかよ」
『なんか昔話でそんな話を聞いたことがあるような……』
「それは口だろ……で、なんで俺より前に席があるはずのお前が、俺が寝ていたと言えるんだ?」
『そ、それは……あなたの隣の子に聞いたのよ』
「出席番号の関係で、俺の隣の席のやつは両方男なんだけど……男子のことをそういうのは違和感ないか?」
『隣じゃなかったわねー……確か左斜め後ろだったかな?』
「俺の席の左斜め後ろのやつは昨日から風邪で休んでるけど……」
とりあえずカマをかけて反応するか確かめるか……
「へっ!? じ……じゃあ……右斜め後ろだったかな〜? 席が離れてるから分かんないなぁ〜」
上手くかわしたか……恐らくこれ以上深掘りしても何も情報は出てこないな……
「はいはいわかったわかった。そういうことにしといてやるよ……」
「はい、それじゃあ早速図書室行ってテスト勉強しましょ」
「……あー……だる……」
「つべこべ言わないで早く始めるよ! はい、じゃあまず今日の授業で分からなかったところから!」
「勘弁してくれ……」
──────こうして俺は、三時間程みっちり絞られたのであった。たまに変な視線が向けられてたような気がするが気のせいか……?
「死ぬ……もう無理……」
『はいじゃあ今日はここまで。お疲れ様でした』
『あ、大川さん。こんなところで会うなんて奇遇だね! 』
嘘つけ。本棚の影からチラチラ見てたろ。どうせ勉強を終わりにするタイミング狙って……いや、待てよ?イケメンをこいつに押し付ければ、こいつは二股疑惑で彼氏と厄介な事になるし、イケメンはこいつと居れて嬉しいだろうな……そして俺は奴から解放されて……よし、みんな(彼女を含むとは言っていない)の為の尊い犠牲となってくれ! ついでに仕返しも含めて。まぁまだ終わってないけど。
「どうやらお前の彼氏が来たみたいだな! 俺はゲームしたいからこれで! いやー、美男美女()同士お似合いのカップルだな!! それじゃ後は二人でお幸せにー!!」
『あっちょま……』
『……どこ行こうか、大川さん』
『……最悪』
こうして、俺はイケメンを元幼馴染に押しつけることに成功したのだ。ちらりと後ろを振り返ると、イケメンが幸せそうな顔で手を振っていた。いやー、恋っていいね! ついでにこのままイケメンと流れで付き合って元彼と破局しとけやバーカ。
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