プロローグ
プロローグ
世の中は絶えず、平等に進む。
それは誰に対しても平等に与えられ、例外は死人以外に存在しない。人は時流に置いて行かれないよう一生懸命、軌跡を残しながら走る。様々な人々と出会い、沢山の出来事を通って『次代』へ繋いでいく。人生という物は愉快だが大変だ。嫌になることもままある。
生きるということは『この世に起こる全ての事象』を個人の許容量に応じてひたすら重ねて行くことだ。そして多くの人間は失い、得て時の流れに身を任せてただ、生きる。生きることや時間と言う概念に面と向かって相対する機会もないからそれは仕方がないことだ。
だがしかし、今まで生きて経験したこと、得た物は一つ、一つが貴重なものでそれらを過去として片づけることや忘れるのは勿体ない。そうは言っても過去、全てを形にすることは出来ないし、永遠に失われる危険もある。
では何故、貴重な物を過去として後ろに置いて先へ進むことを人は出来るのか。
この問いの答えは見つけるのが難しく、言えても『まだ見ぬ先への好奇心』としか答えられない。万人が答えられるような面白みがない答え以外に当て嵌まる物を持っている人間は少ない。しかも数少ない答えでさえ、正しいかは判断基準がそれこそ今生きている人間の数だけあるから分からない。
だから。
だから、今は走り続けるしかないようだ。
遊び、学び、経験し、人と触れ合う。確かに謎を知る為、謎の中を進むのは可笑しな話かもしれない。失くすことを肯定していることになる。しかし、何もしないことよりもずっといい。
逆に何かをし続けなければ、自分自身や他多数の人間が納得できる『何故、大切な物を過去に置いて先に進むことが出来るか』という『命題』は一生分からないままだろう。