表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

第4話 『ぬし』釣り勝負

 ふたりは、使用するルアーにスプーンを選択した。スプーンとは、食器のスプーンの柄を取り除いたような形をしたルアーのことである。


 晴人は細かいラメが入った緑色のものを、真守は赤と金の配色のものをそれぞれ選択する。釣り糸に取りつけ、ほぼ同時に投げ入れた。


 着水と同時に20秒カウントし、ゆっくりとリールを巻いていく。反応はまだない。


(まあ、すぐには来ないよな)


 どこか納得している真守は、何度もルアーを投げスローリトリーブをくり返す。


 ちらりと晴人を横目で見ると、魚とファイト中のようだった。竿先のしなり具合からして、午前中に釣り上げた魚と同等の大きさだろう。彼の足もとを見ると、網が準備されていた。午前中の失敗が活かされているようである。


 晴人のことは心配しなくても大丈夫だろうと思い、真守は自分の釣りに専念することにした。相手にするのは、警戒心の強い魚である。放流された直後の魚を狙う時よりも丁寧な誘い方をしないと、ルアーに食いついてくれない。つまり、集中力が必要になってくるというわけである。


 しばらく、ルアーを投げ入れ少し待ってゆっくり巻くをくり返していると、待望のアタリがあった。はやる気持ちを抑えつつ、慎重にあわせる。


(やった!)


 確実な手応えがあった。


 しかし、竿から伝わる魚の重さを感じて、真守は『ぬし』ではないと直感する。そこまで重くはないし、引きの強さも午前中に釣り上げた魚と同じくらいなのである。


 数回の攻防の末に釣り上げたのは、午前中に釣り上げた魚とほぼ同じサイズだった。少しがっかりしながらも、針からはずしたイワナをびくに入れる。


(……でも、底近くにいるのは確実だよな!)


 真守は気を取り直して、ルアーを投げ入れた。しばらく待ってからゆっくり巻き始める。


 しばらく巻いていると、ゴツッ! という衝撃にも似たアタリがあった。慌てずにあわせると、手応えがある。しかも、かなりの重量だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ