彼女との約束
下手くそですけど
アニメの話で盛り上がった陽介はふっと思ったことがあった。
それは、転校してきた彼女がなぜ、教室にいるかだ。
疑問に思った陽介は飛鳥に聞いてみる。
「そういえば、小林さんは、なんで教室にいるの?。普通、ホームルームのときに先生と一緒にくるよね?」
「ああ・・・そういえばそうだな」
「いや、なんかわかった気がする」
哲平だけは想像できたようで、案の定彼女の口から出た内容は哲平の想像していたことで一致していたようだ。
「それは、先生が寝坊してみたいで、他の先生もなんか忙しいみたいで、教室の場所だけ教えてもらって1人できたんだよね。」
「そうなんだ。てか、また実里ちゃん寝坊かよ!。教師としてどうなんだ?それ。」
「確かに・・・」
「俺が想像出来るとか、マジで乙だな。実里タン」
教師にタンはないだろと、思いながらも、彼女の話を納得した陽介はだったがもう一つ気になることがあった。
それは、飛鳥が転校してきた理由だ。
「小林さんはどうして、東京から転校してきたの?、家庭の事情?」
「えっとね。私のお父さん、ラノベ作家をやっているんだけどね・・・」
「え!?、マジで!?」
「うん。まあ、最近、売れるようになってきたから、あまり知られてないと思うけど、まあ、それでね、家族旅行で栃木のいろんなところを行ったときに、なぜか、足利を気にいったみたいで、急に住むとか言いだして、結局、止められずに転校してきたってわけ。」
「そ・・・そうなんだ。アクティブなお父さんなんだね・・・アハハ・・」
彼女の話を聞いて少々、苦笑いをしつつも、話の続きを聞き始めた。
「まあ、それでね、その家族旅行もラノベのネタ探しってのもあったらしく、急に言い出したことだから幼馴染とも離れることになったし、しかも、一番最悪なのがアキバに行くのが難しくなったのが一番のダメージだったのよ。」
「へ~。それは確かにショックだよね。ここからじゃ、電車で二時間近くはかかるもんね。」
「そうなのよ!。だから、私、この町でアニメ系のお店がないか探したんだけど・・・」
「まあ、あまりなかったと。」
「そう。」
かなり、落ち込んでいるのか、下を向きながら右手と左手の人差し指で突っつき合わせている。
その姿をみた陽介は、「しょうがない。」と口にしながら、彼女に提案することにした。
「なら、今度の休み、一緒にアキバに行く?」
「・・・え?」
「実は俺、アキバって行ったことがなくってさ、だから、案内してもらいたいんだよ。小林さんなら詳しそうだし、それにここから、特急列車を使えば、1時間で着くし。どう?」
「うん・・行く!、行きたい!!」
「だから、近いって!?」
あまりにも嬉しかったのか、陽介に近づいては目を輝かせている。
恥ずかしくなった陽介は顔を赤くして、目線を反らしながら、話を続ける。
「じゃあ、今度の土曜日で、待ち合わせ場所は足利市駅に集合。時間は9時でいいかな。」
「異議な~し。大丈夫だよ。」
「お前らもそれでいいか?」
親友2人にも聞いてみるが、なぜか、断られてしまった。
「俺はいいや。2人で行って来いよ。」
「そうだな。さすがに女子と行くのはまだ、俺には耐性がないだお。それに、俺は亜美タンの誕生日を祝うから無理だお。」
「だお?、まあ、いいや。それじゃあ、2人で・・・」
「ちょっと待った~!」
飛鳥さんと約束をしようとしたその時、聞き覚えのある声がこちらに向かってきた。
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