光、そして転移
「要するに光を探したらいいんだな」
そう口にしてから、留音はあることに気がついた。
これ、3つ同時に触ったらなんか起こるんじゃね?、と。
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5分ほど歩いただろうか。
前方に光が見えてきた。
「お、あれが例のやつか」
意識しないうちにワクワクしていたのか、足取りが軽くなる。
しかし、すぐにその軽い足取りはピタリと止まった。
「・・・・・・多くない?」
留音が足を止めた場所から10メートルほど先には大量の光が。
一つが2〜3cmほどの光の玉が大量に宙に浮いている。
「え、どゆこと?1、2、3、4、・・・だめだ、多すぎる・・・」
予想が大きく外れすぎていたのか、留音はおよそ100個の光の玉を前にへなへなと座り込んだ。
「こんなの同時になんか触れねーじゃねーか。どうなってんだ?」
さてどうするか、とあぐらを組んで考え込む。
が、答えは出てこない。
「せっかくいいこと思いついたと思ったのに・・・・・・くそっ」
苛立ちを隠しきれない(子供か)留音だったが、首の骨を鳴らそうと上を向いた瞬間、あることに気がつく。
「ん?あの光だけ明るすぎないか?」
留音の視線の先では他の光が霞んでしまうほど、美しく、眩しい光が一つ宙に舞っていた。
その光は、留音の視線に気がついたかのように留音の顔の前で舞ってみせる。
そして、ルネの胸のあたりに吸い込まれていった。
「おぉ・・・・」
その美しさに見とれていた留音だったが、最初の目的を思い出す。
「一つでも多くあの光に触るぞ!」
宣言するかのようにそう叫ぶと、大量の光に向けて走り出す。が、3歩ほど進んだところで動きが鈍る。
「あ・・・やばい・・・・」
手紙には、吸い込まれた直後に気絶したとあった。
実際に今、留音がそうなろうとしているのだろう。
必死に瞼をあける。
何とか光にたどり着いたものの・・・・
ドサッ
活動限界がきてしまう。
留音も最後の力を振り絞って、手を伸ばす。
「届け・・・・!」
光まであと10cm、5cm、1cm・・・・・・チョン、と中指が触れる。
と同時に伸ばしていた手からも力が抜け、再び空間に沈黙が戻る。
数秒後にはそこにルネの姿はなく、大量の光がただただ美しく舞っていた。
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