終わり
「ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ・・・・・・・・」
薄暗い部屋の中に響くのは、無機質なアラーム音。
これでもかというほど訴えかけるが、その音に応えるものはない。
ただ異質なだけの空間に一人の少年は倒れこんでいる。
その胸は深くえぐられ、赤い液体がとめどなく流れ出ており、何者かに刺されたのであろうと推測できる。
だが何かがおかしい。
もちろん、少年が刺されているという状況はおかしい。
しかしそれ以上におかしいこと。
よくよく見れば全身を傷つけられているということ。それも深く、苦しめるように。
そして、少年を刺したであろう凶器が、少年の手に握られていたこと。
きわめつけは、少年が笑っていること。
体がまだ微かに動いていることから、まだ息があることがわかる。
だがもう遅い。
整っているはずの顔も血で汚れ、今ではその面影は残っていない。
少年は最後の気力を振り絞るように、口を開いた。
「ルタ・・・モ・・・・・ルー・・・・ト・・・・・・」
少年が何のためにその言葉を発したのかは、すぐに知ることになった。
ーなぜなら少年が息絶えた瞬間、彼は黒い光に包まれ、光が収まった時にはもう彼の姿はなかったのだから。