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異世界に連れてこられた理由

「とにかくお前という人間は言葉が足りなさすぎる。」

メルティに謎の宣言を受けたあと、俺はメルティを正座させて説教をかましていた。


「俺には何が何だかさっぱりだ。1からちゃんと説明しろ」


「おまかせください!」

うむ!返事だけはたいへんよろしい!


「えーっとですねー?

まずここはアルテミナスっていう異世界で〜

私は異世界転移を担当する天使様で〜。

今この世界は魔族のせいで大変な危機になっててですね。少しでも助けが欲しいんです!」


「なるほど」


「わかっていただけましたか?」


「わけわからん!日本語で喋れ!」


「日本語だよー!」


そこからのメルティの解説は要約するとこうだ。


今俺がいるこの世界は神々が住まう天上世界、アルテミナスというらしい。

そしてアルテミナスの他にもう2つの世界が存在する。

それが地上世界と魔界であり、現在アルテミナスは魔界の人々と戦争をしているらしいのだ。

その戦争は1000年2000年と続き、もはや泥沼化してしまっているという。

そんな状況を打開すべく、神々が断行したのが「勇者召喚」である。

別の世界から強い人間を呼び出して魔界の魔族たちを倒してもらおうというわけだ。


そして、その勇者召喚に呼び出されたのが、俺だった、と。


しかし、実際に地球から召喚したはいいものの、勇者こと俺は全くこの世界に順応できていなかった。


いくら話しかけても何も反応しないし、触ってみても全く気づかない。

この世界のものを全く認知できておらず、召喚した当初は今にも消えそうな感じだったらしい。


どうしようかと神々が悩んでいたところで、ようやく俺がこの世界に順応してきて、

そしてメルティを認識できるようになった、と。


ふぅ、と長々とした説明の後にメルティが一呼吸おく。

「というわけです。わかったかな?」


「……なるほど、な」


なるほど。

わからん。


そもそも異世界、って単語の時点でよくわからない。

出だしから俺はつまづいてしまっている。


天井世界の神々ってなに?天井にすんでるの?

天井裏に住む白い蛇みたいな?それはたしかにめちゃありがたそう。

マゾクってなに?マゾの人ってこと?


異世界もののマンガとかアニメとか全然読んだことないからほんとわからん。


わからんさっぱりわからん……が、しかし俺はあえて何も聞き返さないことにした。

なぜならば!…たぶんこの子に質問してもちゃんと答えられなさそうだからだ…


「ふーん。大変なんだねメルティの世界って」

「そうですぅ…大変なんです…」


しょぼんと小さい体をさらに小さくしょんぼりさせるメルティ。


「たいへんだなー。

ま、きっと生きてればいいことあるさ。ファイト」


「うん!がんばるっ!」


うむ。その意気だ!

俺は他人ごとのようにメルティを励ました。まぁ実際他人ごとですし。


「それでね?

いきなり魔族と戦えって言われても無理ー!って思うよね?」


「思いますね」


「そこでなんとっ。

なんとなんと今回だけ!特別に!キミだけに!

スーパーウルトラ神具をプレゼントしちゃおうと思っています!」


ぱちぱち!メルティの小さな拍手が響く。


ふむ。プレゼントね

「寝具ってどんなのなの?」


「神具とは神様の方々が作ったありがたーーーい道具のこと!

人間の世界にも姿形が似たものはたくさんあるけど、神具は見た目は同じでもそれらとは一線を画す性能をもっている!とにかくすごいよ!!!」


なにその寝具すごそう。どんだけ残業して疲れててもあっという間に快眠できそう。

でも戦争行かせるならもっと良いものあげてやれよ神々。


「そして、キミに今回プレゼントするのはーーーー……どん!これだー!」


メルティが大袈裟に手のひらを天に向けると、

メルティの手の周りが白い光で包まれ始めた!!


「!?お、おいメルティやべえよ!やべえよそれ!

右手がやべえ!なんかやべえくらい光ってる!やべえってそれ!」


突然発生した異常現象に俺は全力でビビる!

この世のものとは思えない白い光の塊に、俺は現代の若者らしくやべえやべえを連呼した!


「あはは、やばくないって〜。

この光はそれはそれは神聖なる神の魔法だから全然やばく……あ、熱っ?!あついっ!あちちちっ!あっちい!?」


メルティは空から引っ張り出した光の何かを手に持つやいなや、

熱すぎてまともに持てないのか、光に包まれた物体をお手玉のように飛ばしていた。


「熱い!熱い!あ、熱すぎて持てないよこれっ!

は、はいこれ!こ、これが神々からのプレゼントですよー!はいどうぞ!パース!」


「!?」


メルティは白い光に包まれた「何か」を俺に放り投げてきた!


「あ、危ねえよ!?」


白い光を迸る謎の何かを俺はギリギリかわす!

なにしやがるこのアマ!!


投げ出されたままカランと音を立てて地面に落ちる。

「ああっ!神具がっ!

なんて罰当たりなことをするのっ!」


シングとやらを放り投げたお前の方が絶対罰当たりだアホ!


「それを言われると返す言葉もない」

悪びれる様子もなくケロっと返すメルティ。反省ゼロだ!

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