ンドラってなに?
一時間後。
「らっぱ」
ぱせり
「ぱせり」
りんご。
「りんご」
ごりら。
「ごりら」
らっきょ
「……らいおん」
はい、「ん」がついたからおわりー。
これでしりとりはおわりー。俺の勝ちー。
……。
って何やってるんだ俺!しっかりしろ!
一時間もしりとりとか正気の沙汰じゃないよ!
謎の部屋に放置されること一時間。
初めの頃は不安を紛らわそうと一人語りを続けていたが、
こんだけ放置されれば最初の不安などどこかに吹き飛ぶ。
「ひ、暇だ…!!」
暇だ、暇すぎる。あまりにやることがない。
最初は「壁の向こうから犯人が現れて何か危ないことをさせられるのでは」と戦々恐々だったが、
今となってはあまりに何もなくて暇を持て余していた。
「壁に体当たりでもして暴れてみるかぁ…?」
と画策していたそんな時。
(…ン…ラ!)
「…ん?」
(ン、ドラ!)
「こ、声?」
なんだろう。どこか遠くの方から声がする?
しかしあたりを見渡せど人影なんてどこにもない。
(ンドラー!!)
「な、なんだ!?」
(ンドラーー!!!!)
「なんだーーーー!?!?」
謎の声は段々と大音量に!そしてようやく俺は気づいた!
ちがう!そばに誰かがいるんじゃない!
頭の中から何者かの声がきこえていたのだ!
(ンドラーーーーー!!!!)
頭に響くは謎の声。少し幼さを残す女の声だ!
「つ、ついに犯人との対面かッッッ!」
俺は勢いよくガバリと立ち上がる!
最初のころの怯えはもはやない!
脳内から声が聞こえる?ふっ。それがどうした!
暇すぎて暇すぎてしゃーなかったところにようやく訪れた新たな展開だ!
俺は胸を踊らせながら息を吸っと吸い込み一気に吐き出す!
「誰だお前ーーー!!」
(ンドラ!)
「どうして俺をここに連れてきた!ていうか目的はなんなんだー?!」
(ンドラ!)
こ、こいつ……
(ンドラー!)
こいつンドラしか言わねえ!
「それ訛り?日本語わかる?アンダスターン?」
(ンドラーーー!)
だめだわこいつ。話にならん。
俺は速攻でコミュニケーションを諦める。
でもせっかくの話し相手だ。なんでもいいから話しかけてみるか。
「そのンドラってなによ。それお前の名前?」
(へ?ううん違うよ!わたしの名前はメルティだよ〜)
お、おお?
「ふ、普通に喋れるじゃねーかっ」
(そりゃー喋れるよーペラペラだよー)
流暢に喋り出す謎の声。最初からそうやって喋れよっ
(というか…あれっ。
ところでさ。もしかして、もしかしてだけど、キミ私の声聞こえてる???)
「き、聞こえてるけど」
(あー!よ、よかったー!
"ようやく"私の声が聞こえるようになったんだね!おめでとー!)
よ、ようやく…?なにいってんだこいつ。