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秀吉が黒幕になり得ない理由

 秀吉が救援の要請をしたことが本能寺の変の引き金になっている。


 中国征伐では実際に毛利の軍は来ていたが、にらみ合うだけで戦闘までには発展しなかった。


 講和をしていたが変が起きるまで取りまとめられなかったものを変直後に締結し、休戦できている。


 驚異的なスピードで中国大返しを行い、

 その最中に細川等明智に付きそうな武将を中心に手紙を送っている。

 内容は知り得ないはずの「信長と信忠の遺体が見つかっていない事」だった。


「信長も信忠も無事繕所に避難した」という内容で、細川家は出家という形で明智側に着くことを拒否することになる。


 そして山崎の合戦後、三法師を擁立していつの間にか実質的な権力を握って行くことになるのである。





 秀吉を黒幕と考えた場合、最も変の恩恵を受け、行動にも納得できる面があるのだが、しかしそれ以上に不都合な面が大きくなってくる。


 まず、秀吉は常に中国地方で戦闘を繰り返していた。

 天正5年(1577年)から始まる中国遠征では姫路城を拠点として変の起きる天正10年(1582年)には岡山まで入り込んでいる。


 光秀と計画しつつ行動しようとすると、計画以上に運の要素が大きくなってくる。


 秀吉は二度要請の手紙を送っているが、一度目は光秀のみ援軍に付かせる旨の返答を受けており、二度目にして信長も従軍することが決まる。


 まずここで、信長の中国行きが確定しないといけない。

 その当時は勝家に越後の上杉攻め、一益に関東の北条攻めを任せており、新しく神戸信孝に四国の長宗我部攻めを指示している最中だった。


 他の攻略地ではなく秀吉に付かせる確証はなかったはずである。


 更に当時、信長は朝廷から太政大臣、関白、征夷大将軍のいずれかを受けるよう話が来ていた。

 暦の使用でも揉めている最中である。


 万事激務が山積するなかで必ず来ることは確証できなかったのではないか。





 次に京都での護衛の少なさだ。

 援軍を決めたのなら兵を揃えるはずである。


 それを安土に残して京都に来ることは分かっていたのだろうか。


 手紙のやり取りだけでこの状況を作り出せたとは思えない。





 前にも述べたが、本能寺の変の時、信長三男の神戸信孝は兵を揃えて堺にいた。


 もし変後すぐに駆けつけることができ、光秀の軍と戦闘を交えて光秀を捕らえた場合、秀吉と内応していたならバレる可能性もある。


 野心があったとしても自分の手の届かない所で運に任せる行動は取らないだろう。


 光秀が秀吉の野心を信長に報告し、孤立する可能性すらあるのだから。




 そもそも秀吉も光秀も動機が薄いのが問題である。


 共に登用されて元の織田家重臣より昇進を果たした二人だ。


 現状の待遇を捨てる覚悟で信長を殺す理由が見当たらない。


 秀吉は単に織田の後継がいなくなり、織田家の家臣が宙に浮いたためその中で権力を握ろうとしただけであり、元から織田家を乗っ取ろうとしたわけではないはずである。


 自身が主君殺しの敵討ちを大義名分にして味方を集めたように、信忠が生き残っていれば信忠自身が挙兵して光秀を討っていたはずである。


 織田家は信忠の元で再興されるはずだから、権力を握ろうとしたら信忠の行動も把握し同時に攻略しなければいけない。





 本能寺の変は信長のみを標的にする動機を持った人物を探さなければならない。


 これは下克上が理由で起きた事件では無い。

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