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織田信忠

「抜け目の無い光秀の事だ。完全に包囲され、本能寺から抜け出す方法は無いだろう」


 かちどきと銃声の響き渡る暁の本能寺で信長は覚悟を決める。


 信長が炎の中に消えていった直後、信忠も同様の思考を見せていた。





 早朝、信忠の宿泊していた妙覚寺に訃報が飛び込んできた。


「明智謀反、本能寺堕つ」


 本能寺へ向かおうとするも既に本能寺が燃え落ちていること、こちらにも敵が向かってくる事を理由に村井貞勝らに留められ、二条城で応戦することとなる。




 この時、逃げることを勧められた信忠は、


「明智の事だから逃げ道は作られてはいまい。雑兵に討たれるくらいならここで腹を切るべきだ」


 と決心する。


 軍議の後に籠城戦を決意する信忠だが、やはり光秀に対する評価は「事を始める前に周到に用意されているはず」というものであった。




 しかし、二条城が包囲されたのは信忠が軍議を行っていた時であり、本能寺を襲撃していた時は妙覚寺には明智の軍勢は来ていなかった。


 自邸にいた村井貞勝が妙覚寺の中に入れたところを見ても、光秀が信忠の存在を知ったのは本能寺を襲撃した後の事になるはずである。


 天正3年に信長は信忠に家督を譲っている。

 信長を襲撃するのであれば信忠を野放しにはできない。

 変後に信忠が一声上げれば光秀はどうあがいても謀反人になってしまうのである。


 計画性と情報を把握していれば、本能寺と同様に、また同時に妙覚寺を攻撃してなければいけない。


 信長や信忠の評価と異なり、光秀の場当たり的な行動が透けて見えるのだ。




 二条城で交戦した際も、逃げ出せた者がいる。

 信長の弟、織田長益(後の有楽斎)である。


 信忠と共に二条城に籠った長益は明智軍の隙を見て逃げ出し、安土、そして岐阜に無事に逃げ通せた。


 この事実からも明智軍がそれほどの強固な攻めをしているとは考えずらい。




 信忠の判断で二条城での籠城戦を選択したが、一か八か安土まで逃げ延びる。

 運良く助かった者が安土の兵を従え光秀を討つ、という決断をしていれば、若しくは助かった可能性もあったのではないか。(中国遠征は5日頃を予定していたとあり、そうであれば安土に兵は集まっていた可能性がある。)


 結局、万単位の明智軍に奮戦はしたが、数で劣る信忠は負けて自刃してしまう。


行動と結果を見ると光秀は棚ぼた的に信忠を討てたようにみえる。




 その後の光秀の行動も不可解だ。

 信長と信忠を討ち取った後、光秀は近江と安土の平定を始める。


 安土城へ向かう橋が壊されていたため、3日かけて修復し、6月5日に安土城へ入った。


 そこで信長の財宝を強奪し、家臣たちに与えたらしい。


 さらにそれから各将へ手紙を書いている。




 前話の通り、神戸信孝は早ければ戻ってこれた距離であり、織田家として声を上げれば光秀は窮地に陥ってたはずである。3日を要して橋の修復に充てるというのは悠長な気もする。


 仮に、信長と信忠の首が見つかっていないめ、生存し安土城に生還した可能性があったとしても、その時には安土で強固な軍団と向かい合わなければいけないわけであり、手間をかけて安土に向かうというのは効率が悪い。


 現に味方を見つけれていない状態だったのだ。

 早急に地盤を固めて、報せを受けた遠方の織田軍たちを迎え討たなければならないのだから。


 安土にはそれ以上に早急に入城しなければいけない理由があったのだろうか。

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