期末と終末。2
苦手科目しか存在しない二日目がやってきた。こんなことは言いたくないが僕のパラメータはかなり偏っている。文系科目はそれこそ自称ではないガチの進学校とも殴り合えるけど、理系科目、とりわけ数学は偏差値が18と学校の過去最低記録を容易に塗り替えるようなレベルだ。我ながらどうしてこうなっちゃったんだろうと毎日頭を抱えている。
「はい、というわけで今日は麻雀牌を持ってきました!」
僕はどうせ点数の取れない科目を諦め、今日という日を臨時夏休みとすることにした。対面にはカキニーが座る。そんな僕たちを昨日僕がしていた目でゆっちーが見ていた。
「手積みで申し訳ないね、あと積み込みはバレたら8000オール、赤あり、ナキタンあり、少牌上がり放棄、多牌はちょんぼ扱いね」
さっくりハウスルール説明を終わらせると、タイミングよく担任が入ってきて、昨日同様問題を机の上に置くとすぐさま卓に寄ってきた。こんなのでも教師になれるんだから日本の教育はもう終わりなのかもしれない。
あと一人は何故か天明屋さんが面子として参入した。
「どうせできないから無駄な抵抗はやめた」
彼女も賢明な判断ができる人間だったらしい。僕は笑顔で受け入れた。
各自が牌を取り終わると、親番は対面のカキニーから始まる。カキニーは麻雀にロマンを求めるタイプで、毎回ハネマン以上を狙っては大爆死をしている。今回も案の定担任のダマ平和ドラ裏に振り込み、なかなかの失点をかましてきた。
「先生意外と堅実な手組みですね」
「そら点100レートでばっか打ってたからな」
「違法行為をしてたことをよりによって教師が宣言するかな」
「まあ時効だろ、今は公営の合法なやつしかしてねえよ」
そういう問題ではない。
それから場は巡り、テスト終了間際にカキニーのラス親が回ってきた。点数状況としては彼はすでにリー棒すらなく箱割れ寸前、天明屋さんは原点ちょい下、先生と僕が36000前後で若干僕が下くらいだ。安い手で上がれば十分捲れる。
「なあ瀬戸、お前なかなか打てるな」
「昔からやってますしね」
「今度点ピンでやらねえか?検事長もそこまでなら不起訴だったし」
「馬鹿が」
駄弁りながら牌を配り終えると、金塊のような手牌がきた。ドラ含みの三色がすでに完成しており、あと一枚北か中がくれば白とのシャボ待ちとなる。
「じゃあ始めましょうか」
期待の第一ツモ、天の采配かいきなり北が来た。
「ダブル立直」
「は?」
苦しい状況のカキニーから変な声が出る。そして、カキニーの第二打でいきなり北が出るもんだから思わず笑ってしまった。
「ロン!ダブリー一発三色ドラ!裏が二枚乗った!」
「ピ」
哀れカキニーは卓の藻屑となり、一限は終了した。
二限もツキを逃したカキニーが虐殺され、僕は1位3位で終了となった。先生はどちらも二位で硬い麻雀をしていたし、天明屋さんは倍満をかまして広げたリードを守り切り3位1位となった。
「あー有意義だった」
「脳みそ腐ってんのか」
昨日四駆とベイブレードに耽っていた阿呆がなんか言っているが、耳も貸さない。僕は片付けを終え教室を出て、自転車にまたがり陽気な帰宅をした。




