春眠、暁より早く醒める
なんか、ジャンル別日間ランキング〔その他〕部門で5位になってて死にそうです。喜びの二話連続更新。
応援ありがとうございます(素直な土下座)
あ、今回は短いです、どうぞ。
春休み、それは僕たち高校生に与えられた束の間の自由。そんな春休みの初日から、僕は全力の早起きをかましていた。そう、日の出前の四時に飛び起きたのだ。
「今日も一日頑張るぞい」
僕は昨日のうちに準備しておいた釣り道具をまとめると、山を下ってすぐの所にある漁港へと出かけた。
自転車で流すこと三十分、軽く汗ばみ始めた頃に漁港に着いた。
「メバルメバルメバルメバル……♪」
僕は釣り道具をテキパキと支度する。そう、今日は春告魚ことメバルを釣りに来たのだ。辺りを見渡してもただの一人として釣り人はいない。本当に釣れるの?って疑う人もいるかもしれないけど、ここは誰にも知られてないだけで、メバル、カサゴ、アイナメなど、ブサイクな根魚の宝庫なのだ。
「今日の仕掛けは……サビキでいいか」
僕は海水をくんだバケツにオキアミブロックを入れて解凍する。ある程度溶けてきたら溶けてきた分だけサビキカゴに詰めて海へと投下する。根魚と言えば普通はフカセ釣りとかブリクラを思い浮かべると思うけど、こういう漁港とかならサビキでも十分。
エサがある程度撒かれると、アタリはすぐに来た。竿先がブルブル震える。
「でも、少し待つ」
少し待つと、もう一、二匹かかることがあるので、僕は最初のヒットでは竿を上げない。
しばらく待つと、もう一度竿先がブルブル震えたのでリールを巻いて引き揚げる。たくさん付いた針の内三つにメバルがかかっていた。しかもどれもこれもまあまあのサイズだった。
「幸先がいいね」
僕はメバルを針から外してオキアミの入っていない、もう一つのバケツの方に入れておいた。
そして、餌を詰め直してもう一回仕掛けを海へと投げる。アタリは五分程度で来た。お、これは一度にたくさん釣れたのかな?竿がアホほどしなってる。
一応これも当然最初のアタリから少し待ってみたけど、もう一匹来る気配はなかったのでおとなしくリールを、
「えっ、重っ!」
巻けなかった。なんか根掛かりでもしたんじゃないかってくらい竿が重い。糸からも不吉な音が聞こえる。
「やばっ、糸切れる」
僕は糸を緩める。すると糸はどんどん出て行ったので、これは根掛かりなんかじゃなくて大物だということが分かった。なので僕はある程度糸を出したら、再びリールを巻いていった。
「うわっ、やっぱ重っ」
でも先ほどとは違って巻けない程じゃない。ジリジリと魚を岸に寄せていく。そして、時間にして数十秒の後、魚は観念して岸にその顔を晒した。
「えーっと、これは……なんだ?いや、何でだ?」
それは本来、海底が岩場のここら辺にいるはずがない魚だった。
「海底の状態が少し変わった……?いや、それ以前にこいつはこの仕掛けで釣る魚じゃないよね……?」
堂々たる大きさ、ヌラヌラとした茶色の平べったいその体、そして左側に寄った目。そいつはどこからどう見ても完全に砂底の覇者、ヒラメさんだった。
「なんで釣れたの……」
僕はポカーンとするしかなかった。だってヒラメだよ?こいつのメインディッシュは小魚のはずだし、サビキ針の形状で食いつけるの?そもそも何でこんな浅い海にいるの?
「と、とりあえず持ち帰ろう。ヒラメなら食べられるし。うん」
テンパった僕はぐるぐる回る頭を抱えて、釣りもそこそこに後片付けを終わらせて釣った魚を〆た。〆たらクーラーバッグに放り込んで、自転車にまたがってすぐに家に帰った。
「ていうか、なんでサビキ用の竿で耐えられたんだろ?」
自転車に乗ってしばらく風を切って頭を冷やすと、ふとそんな疑問が浮かんだ。けど、僕はなんだか考えるのが怖くなって、
「まあヒラメが釣れたんだ、細かいことは気にせず喜ぼう、うん」
僕は考えるのをやめ、あの漁港にはしばらく近付かないでおこうと思った。
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