16ページ目 最強
昨日の記憶がないミュート・オンネス。
ミュート・オンネスです。
朝起きたらミコたちと地面にめり込んでた。
何故だろう?
疑問符を浮かべつつもギルドに行くと序列第1位様に会った。
ギネス・ケートス・メルヴィル。いつも眠たそうに目が半開きの状態は見てるとこちらのヤル気が失せてくる。で、相手のヤル気が消えていったところに攻撃を加えるのがいつものやり口だ。まあ、そんな不意打ち紛いなことしなくても十分強いのだからふざけてる。
普段は街に居らず世界中をふらふら旅して、たまーに帰ってくる。ただ、帰ってきても基本的に寝てるので周りで騒ぐと潰されるのだ。文字通り。
ん?なんかデジャブ?
どんな奴でも瞬時に潰すのでギネスと戦いたい奴は彼女が帰ってきた時に彼女への挑戦権を巡って争うのだ。一気に数人で選んでもいいけどやっぱり自分一人の力で勝ちたいし順番待ちなんかしてたらギネスが飽きて旅立ってしまうので予選紛いなことをしてるわけだ。
勝てばギルド序列第1位。
トップの座は魅力的だよ。
で、ギネスに会ったわけだがなんか存在感と言うか威圧感と言うかよく分からないけどなんとなく前より強くなってる気がしたのですぐにボーっとしてたギネスに問いただしたところ、彼女、一月前に国を1つ滅したらしい。そこで何人か強そうな将軍を殺ったらしい。
そう言えば前に新聞に南の方でやたらと繁栄してた国の中枢が物理的に潰れて滅んだってあったな。あれ、ギネスだったのか。
彼女のスキルを見て目をつけた国の上層部を鬱陶しがったギネスに潰されたのだろう。
ギネスの固有スキル、絶対神言。
睡眠時間の増加を代償に世界に干渉して自分の言った内容に変えるスキルだ。
彼女が「壁」と言えば壁が現れ、「城」と言えば城ができ、「噴火」と言えば火山が噴火する。
世界への干渉規模の大きさによって増える睡眠時間は多くなり一度寝ると普段の睡眠時間に代償の睡眠時間がプラスされる。
会った時は代償睡眠からの寝起きみたいだったのでボーっとしてたわけだ。
今、思い返してみたが昨日、スキルを使ったのだろうか?
まあいい。
2人でギルドに入ると注目された。
1位と2位が揃ってご出勤なのだから当たり前だ。ギネスは無気力系美少女なのもあったと思う。
久しぶりに2人で依頼を受けた。ギネスと一緒に依頼を受けるのは滅多にないので長い間放置されていたクリスティー王国の溶岩流の塞き止めに行った。世界に4000ある火山の中でも活動が激しい活火山の1つに入るウーリー火山の溶岩流の塞き止めだ。この場所は火竜の群れの生息域であるので溶岩流を塞き止めようとすると火竜が襲ってくるのだ。僕1人でも火竜の群れくらいどうって事はないけどいちいち火竜を相手にしながら溶岩流を塞き止めるのは面倒くさい。だから、前々からクロノスやスカーレット、ミコ、ジャックを誘っていたのだがクロノスは暑いのが苦手でスカーレットは里帰りしたくないとミコはやるなら狩り尽くすと言ってジャックは相性が悪いと断られていた。(ミコは無視)
他のメンバーやギルドメンバーも断られていたのでギネスと一緒に受けたのだ。
クリスティー王国にはギネスに1時間を代償に空間跳躍をしてもらい行った。着いたら後は簡単だった。飛んできた火竜をボクが水魔法で対応してその間にギネスに30分を代償に溶岩流を治めてもらった。
なかなか、速かった。
これが他のメンバーなら溶岩流に対抗できるのがボクだけになるのでボクが冷やして塞き止める事になるのでもっと時間が掛かっていた。その点、ギネスなら遠距離から治める事ができたので楽だった。
帰りも1時間を代償に空間跳躍してもらった。
今日はここまでとする。
1位「……ねむい。」
μ「相変わらずデタラメなスキルだったね。」
1位「……そう?」
μ「そうだよ。」
1位「……ん。
……ミュート。」
μ「んー?なに?」
1位「………結婚しないの?」
μ「………………はあ!?」
1位「……そろそろしてもいい年。」
μ「ギネスに言われたくない!!」