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マジで頭痛くなってきた!!

すんません。今回も説明回です。

「ふぅ……。朝から平和だ」


今俺は、図書館にこもっている。

3週間こもり続けて本を読みあさっている。


あれ以来寮には戻っていない。

つうか、戻りたくない。


あの3週間前の悲劇は、今も俺の脳内を鮮明に駆け巡る。


今朝からずっと管理人のおばちゃんに説教を受け続け、ようやく解放されたかと思えばカシャカシャと撮影魔法の嵐。


俺は芸能人か! と思う暇なく。


俺が驚愕のあまり絶句している中、何人もの生徒が

「やるなお前!」とか

「くそったれ!爆発しろ」とか

「どこまで進んでるの?」とか

「呪ってやる呪ってる呪ってやる」などなど質問のショットガン。


なんとか死に物狂いで訳のわからん質問の雨をかいくぐり、学校に飛び込んで目撃した。


『早い! 早すぎる! 女性を虜にする力はオ・ト・コ・の・力か?

期待の新入生! 同じ入学生の女性と甘〜い一夜……!』


という張り紙により真相を知った。


「うそ……だろ」


膝から崩れ落ちた。


当然だろ?

勘弁してくれ。

嘘だろ? なあ。

期待の入学生って。誰? 紹介して欲しいくらいだね。

冗談もほどほどにしてくれ!

この最強の名を冠するヘタレな俺に、そんなことができるとでも思ってんのか?


……………………はぁ。もういやだ。




そんなこともあり、こもることにした。


え?ハルはどうしたって?

知らんよそんな事。

会ったら会ったでまた変な噂が加速するだけだろ?

3週間前に



◇◆◇



「ふえええ〜皆さん凄かったねぇ〜」

「大丈夫だ。ダメージを食らうのは全面的に俺だ」


今俺たちは寮を出た瞬間待ち伏せしていた人たちに捕まり、必死に逃げ裏道の隅っこで隠れている。


「早く学校行こうよ。遅刻するよ」

「あ?」

「私、授業受けるの夢だったんだ〜」

「…………は?」

「だから授業だよ。授業。先生に質問して〜。新しい発見とかして〜。居眠りしている人を怒ってみんなで笑ったりとか、はー、楽しみ〜」

「……………お前、まさか知らんの?」


知らん方が幸せだと思うというか、何というか。

まぁ、御愁傷様。


「何が?」

「俺たちの学校、授業制度、ないぞ?」

「…………へ?」

「うん」

「・・・・」


言わない方が良かったかな?

でも言わんでも結果は同じだし。


「嘘でしょぉぉぉぉぉお!!!」


おいっ!


「ちょっバッ!声がでかいって。ここに隠れてんのがばれたら、また追っかけにあうでしょうが!」

「むぐぅっ……コクコク。プハッ、うん、ごめん」

「勿論ちゃんと先生といった役職の方々もいるし、教室だってあるけど、授業というシステムは何年か前に無くなったって聞いたぞ」


学校案内のパンフに書いてあったのに……見てないのかよ。

入学するの楽しみにしてたんなら、どんなのかぐらい調べとけよな。


「嘘ぉ…………」

「たく…………。いいか?俺たちの学校はな。基本放置主義なんだよ。

学校側が行うテストとか、行事とかでいい成績が出せるよう、皆んなトレーニングしたり休息に使ったりしてるんだ。

あ、ちなみに。テストとかの実施日は、脳内インプットされた資料の中に詳細が書かれた物があるから。ちゃんと確認しとけよ」

「うっ。わかった。いい成績をとったら、どうなるんだっけ?」

「結構な量のポイントが貰えるらしい」

「本当に!!」

「ちょ! 声がでかいっつてんだ……ってどわぁ!」


来た来た来た!


「逃げっ……あ!俺たちはしばらく会わないほうが良い! 以上! んじゃ!」

「ちょっえ? 何で? あっ! うわあぁぁあ!!」


後ろで人混みに飲まれ悲鳴をあげている声が聞こえるが無視だ。


尊い犠牲であった。

さらばだ友よ。

安らかに眠れ。


心に1つのドラマを胸に、走る足は一切緩めず一目散に学校を目指した。



そして張り紙を見て、以下略。






◇◆◇



というやりとりをしたのみだ。


あ、ついでに『ポイント』について説明しておこう。


『ポイント』:3年制のラギア魔法学院は、年毎に進級できるわけではない。


学校側が主催する行事や、テストなどで高成績を取ったものにポイントというものが与えられ、ポイントが一定量を上回れば進級できる。という仕組みになっている。

即ち『ポイント』とは、この学校でのし上がっていく為の唯一の方法なのだ。


ちなみに、1年生が2年生に上がるには『計・20000ポイント』が必要だ。


実際どれぐらい大変なのかはうまく説明できないが。

通常1年生〜2年生に上がるには、最低3年はかかると言われている。

辛くて逃げ出す奴もいるくらいだ。

そう表現すれば、少しは分かるかな?

そうこの学校、言うなればこの国にある魔法学院の中でも、超エリート校なのである。




と、まぁそういうことは置いといて、『図書館』は実に素晴らしい。

静かだし。

知識の山が積まれてるわけだし。

勇者の国のことしか知らない田舎者の俺にとっては、まさしく宝庫だな。


この世界のこともろくに知らないし。

書物の数々が俺の周りを陣取っているが、色々と勉強になった。

ハルにこの国については結構聞いたけど、この世界についてはほとんどわかんなかったしな。

いや〜無知って怖いわ。


だがこの3週間の力は偉大だ。

ここの本の揃い方もおかしいが、まぁそこも置いておこう。

この広さだ。そしてエリート校だ。これで説明がつく。

かなり理解した。

クソみたいに頑張ったけど。


頭が狂いそうだ。

だが物凄く楽しい、楽しいぞフハハハハっ!!


う……ん。ちょっと覚えたことの整理でもするか……疲れているようだし。





まず第一に、今 俺たちの存在するこの地は、1つの星であるということはわかっていながらも、今まで誰1人として果てを見たことがないとの事から『果てしなき世界』と名付けられているそうだ。

『エンドレス・ワールド』とか呼ばれてるみたいだな。

実質自らの人生を全て捧げて、北へ北へひたすら北へと歩みを続けた勇敢な青年も、最後まで、最期のその瞬間まで、世界の果てを見ることができなかったようだ。





第二に、前回の世界戦争について。

約30年前に勃発した世界を巻き込んで行われた歴史に残る大戦争。


理由は不明だが、大型の魔物が各地で同時に大量発生し、その大型の魔物が自らの魔素により小型の魔物を大量発生させた。

ねずみ算方式。


そんな感じにありえない速度で最悪の軍勢となった魔物達は、国を襲い人々を虐殺するわ、森を焼き払い、水溢れる土地を荒野にするなどの環境破壊はするわで、それはそれは迷惑極まりないものだったという。


それを放置しておくわけにもいかず、人間達は各々の国で同盟を組み、『協勇同盟』というものを結んで魔物達を滅ぼすことを決めた。

亜人族・エルフや獣人といったもの達は、その同盟に協力。

隠して始まったその戦争は、何年にもわたり続いたという。


『協勇同盟』と最悪の魔物の軍勢の衝突。


それが今、世界戦争と呼ばれているものの内容だ。


何年間も続いた戦争は、1人の勇者の少年と1人の魔王の少女によって、唐突に終結した。

この話はずっと前から知っている。

聞きすぎて耳にタコができるほどだ。


何故かその戦争の嫌なところは綺麗に省かれた、馴れ初めを語るのろけ話だったけど……


問題はその被害だ。あれから30年が経ったが、その残骸は今も少なくない数存在している。そして一番の被害。

それはこの世界が『季節』を失った事。

春夏秋冬の輪廻にはずれ、夏に雪は降るは、そう思ったらクソ暑くなるは、桜が咲くは、冬には木々が生い茂り、春や秋には葉っぱの一枚も存在しなくなったり、常に春夏秋冬が入れ替わり繰り返されるといった。

異常きわなりない世界である。


でも今の俺たちにとってはそこまで大変なことではなくなってしまっている。

魔法を使えば大概何とかなるし。

格闘家とかは、その鍛え抜かれた肉体で寒さとか平気だし。

勇者の場合スキルでなんとかする。


慣れというのは実に恐ろしいものである。





第三に、職業ならぬ『一族』について。

その一族にも色々とあった。

それこそまるで、ゴミのように。

大きく戦闘に特化した一族を分けると



『勇者』『魔導師』『格闘家』『暗者』『狙撃手』


の5つ。


その中に分類があり。



『勇者』:兵士(ソルジャー)騎士(ナイト)剣士(フェンサー)剣聖(ソードマスター)


『魔導師』:魔導士(ソーサラー)賢者(セイジ)大魔導師(アークウェザード)魔聖(メイジマスター)


『格闘家』:闘士(ウォーリアー)拳闘士(グラップラー)剣闘士(グラディエーター)拳聖(フィストマスター)


『暗者』:暗殺者(アサシン)黒騎士(ブラックナイト)暗黒騎士(ダークナイト)闇聖(ダークマスター)


『狙撃手』:弓手(アーチャー)銃士(ガンナー)重銃士(スナイパー)銃聖(スナイプマスター)



みんな生まれた時は、兵士(ソルジャー)か、魔導士(ソーサラー)か、闘士(ウォーリアー)か、暗殺者(アサシン)か、弓手(アーチャー)のいずれかだ。(この中での話であり、他の一族の奴等は勿論違う)


強くなっていき、体に『進化』が訪れた時1つまた1つと成長していく事ができるそうだ。


兵士(ソルジャー)だったら騎士(ナイト)、とかにね。

だがこれはあくまで簡単にまとめただけで、違うのもある。

兵士(ソルジャー)だった奴が、騎士(ナイト)と同列の進化形態、戦士(サーバン)とかになったりもしたりする。

剣聖(ソードマスター)』と同列の進化形態、『英雄(ヘルドマスター)』というのもある。



最終の進化は『〜マスター』だけれど、ごくごく稀に、そのカテゴリから外れた者がいる。


例えば、剣聖(ソードマスター)でありながら明らかに他の剣聖(ソードマスター)より強かったりした奴は、『剣帝(ソードエンペラー)』とか呼ばれたりする。


他には、補助的な職業『鍛治舎』だったり、『建築士』だったり『牧師』、『錬金術士』など色々とあった。


あと『人間』というものもある。


あ、ちゃんと俺たちも人間なんだけどね。


何の力も持たない者。


それが『人間』と書かれていた。


先祖様が丁度転職したばかりだったり、丁度その時職業をお休みしていたりしていた人達なのだとか。


そりぁそうだ。そんなで、職業を極めるなど到底無理だろう。


だが、『人間』の方達は途轍もなく頭がいい。

強者は腕を磨き、弱者は知恵を磨く。


いい言葉だ。

教訓にしよう。


これもあくまで大まかにまとめた物で、詳しく言って行けば最初に言っていたようにゴミほどある。


今の俺は『魔導士(ソーサラー)』だな。


今の時代、一族から外れて転職するなんて俺ぐらいだろう。


あ。


そういえば最近自分のステータス確認してなかったな。見てみるか。


そう思い俺はスマホを起動させ、『魔力ガンガン貯めようぜΩ』の『ステータス』をタップする。


そこには



○●○



名前:荒杭(あらくい)勇魔(ゆうま)

性別:男

キャラクターネーム:ユウマ

(リアル)LV:13

称号:無し

パーティー:無所属


一族:『勇者』

一族LV:兵士(ソルジャー)(元) 《レベル3》

魔導士(ソーサラー)(現)《レベル1》


パラメーター

HP:100/100

ATK:52

DEF:30

AGI:73

INT:35

MP:0


装備

ブロンズソード:ATK+5

魔導制服:DEF+3

スマホ:INT+5

シューズ:DEF+2・AGI+1


能力(スキル):勇者権限・想像



○●○



と記されている。


うん。ちょっと知力が上がったかな?それぐらいであんまり変わらんなぁ。

そうそう簡単に変わるもんでもないんだろう。


さて、次は何の本に


「ユウマぁーー! いるぅーーーー!!」


バーンっと図書館の扉が勢いよく開かれ、大声を張り上げたハルが駆け込んできた。


「あぁ……いるよ。あと図書館では静かにな…………」

「あっ! ごめん」

「はぁ……何の用だ? 俺たちが一緒にいるとまだマズイぞ」

「もう3週間もたったんだし大丈夫だって。えーと。用事はねぇ……っこれ!」


カバンの中から取り出した紙をこちらに向ける。


「クエスト受理してきたの!一緒に行こ?」





「は?」





そして俺の平和な時間は、唐突に幕を閉じることとなるのだった……………………



ユウマのレベル2じゃちょっと少なすぎると思ったので13に変更。


あと、全体的にステータスの感じを修正しました。



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