↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/58

ヘルプ? いいえサポートはする!!

学園の生徒なら、彼に聞きに行けば何かわかるかもしれない。


「で、僕に何の用?」


というわけでやってまいりました風紀委員室?

涼原先輩のところへと。

というかだね。

学園の生徒とか話を聞いた瞬間、一人の人間が頭に浮かんだわけですよ。

それも、ものすっごい身近な子を。


「ちょっと相談がありまして」

「うん」

「魔導士の、スキルについてです」

「…………ふうん」


おっと、雰囲気が変わったね。

こりゃ、なんかあるってことは察しただろう。

なんでも、ここに来たのは、それなりの確信があるからだ。


「魔導士は基本的に魔力を得る代わりに、身体能力や、特殊能力、いわゆるスキルと呼ばれるものの適性を失った。そうですよね」

「確かにその通りだね。みんな知ってることさ」

「しかし、適性が完全にないわけじゃなくて、魔法に関するものや、本当に運が良かったりすると、発現することもある、らしいです」


これはまぁ、三歳児でも知っていることだ。

だが、この場でこの話題を振るということ自体に意味がある。

律儀に涼原先輩も話に乗って来てくれていることから、大体は察してくれているのだろうと思う。

「そんでもって本題なんですけど。この学園に『スキルを回収するスキル』をもった生徒がいる、という話を聞いて、その人にぜひ頼みたいことがあり探しているんです。先輩、何か知らないでしょうか」


先輩は色々と謎が多い人だけど、悪い人ではないと俺は思っている。

だからこそ、ここは隠さずに頼み込んで見る。


「ふむ…………因みに、どんなことを頼みたいのかな。あぁ、言いづらいなら言わなくてもいいんだけど」

「……そうですね……」


そう聞かれるだろうことはわかっていた。

しかし、これは俺だけの問題ではない。

つまり、俺だけの考えで動いていい案件ではないということだ。

これは俺だけではなく、学園のアイドルの沽券にも関わってくる話。


彼女の了解がない限り、ここは話せないだろう。


そう思い、ソファで俺の隣に座っているちみっこい先輩に視線を向ける。


先輩は少し赤くなりながらしばし考え込み、諦めたようにため息をついて、うなづいた。


「わかりました。では、話させていただきます」

「うん。そんなに畏まらなくでもいいからね」

「はい。えっと、まず先輩は彼女、『歌姫』紫吹 恵さんの事情をご存知ですよね」

「当然。まさかあの『眠り姫』が、周期を無視してユベル君と一緒に僕のところに来るとは思わなくて、さっきはひっくり返るほど驚いたよ」


まぁ、お茶吹き出してましたしね……


「それが呪いに関することであるということは……」

「うーん。その辺りは詳しくはわかってなかったけど、その時にやっていた魔術が、召喚の呪術系統だったから、そうなんじゃないかとは当たりをつけてたよ。事故が起きたら発動者に返ってくるって、最近じゃ珍しいしね。施設も充実してるし」


そう、か。

なら話が早くていい。


「その呪いなんですけど……」


そして俺は、少しの時間をかけて学園祭であったことを話すのだった。


--- --- --- ---


「……ふむ」


一通り話を終え、会長のパートナーさんが出してくれたお茶を軽く会釈をして受け取る。

会長さんは適度に相槌を打ちながら、俺の話を聞き、顎に手をやり目を細める。


「何をどう言ったものか……」


なにか悩んでいるのだろうか。

それが何であれ、こちらはなんらかの話が聞ければそれで良いのだ。

なのでここは素直に聞くとしよう。


「思ったことを言ってくれれば」

「リア充爆死しろ、って?」

「ちょ、オイ!」


しかし聞きたいことと全く関係ないことは良くねぇよ!

それと一番言われたくなかった言葉だよ。

少なからず自覚してしまっているから言い返せないのが辛い。

反応に困る!


「ごほん、会長」

「はっは。ごめんごめん。思ったことを言ってくれっていうものだから、ついね」

「……勘弁してくださいよ……」


その辺りのいじりはやめてほしい。

関係ない人にはそりゃ笑いの種かもしれんが、当事者にとっては死活問題なのだ。

割とガチ目の方でな。


「ははっ、さて、話を戻そうか」


そう言うと表情を真剣なものへと変える会長さんに、自然と当たりが静かになった。


「単刀直入に言うと、僕はそのスキルを弄れる子を知っているし、その子なら解呪だって可能だろう」


その言葉はほぼこちらが望んでいた回答だ。

紫吹兄弟は喜び、ハルもほっと溜息をついた。


しかし


「だけど、その子を紹介することはできない。いや、しない」


会長の続けられた言葉に俺以外の全員の表情が凍りつく。

こんなことで冗談を言う人ではないことは百も承知だし、特に理由もなくこんなことを言う人ではない。

勿論、相手のプライバシーの関係や、それ以外の理由もあることもあるが、もしそうならそうで、他にやりようはいくらでもある。

会長さんもそれはよくわかっているはずだ。


(それでも、しないと言い切ると言うことは)


俺は予想していたパターンであることを想像し、軽く冷や汗が出る。

いや、別に悪いこととかではないんだけど。

もし俺の予想通りだったら、俺も少し、解呪のことを『見送りたくなる』かもしれないからな。


「ユウマくんのその顔を見るかぎりだと、感づいていたのかな?」

「いや、ちょ〜っと身近に、そう言うことができそうなやつが一人、いるもんでね。そいつの顔が脳裏をよぎった程度ですが」


俺のその発言にハルと紫吹兄弟が驚いた顔で俺を見る。

いや、悪かったって。

でもあくまで予想だし、確信を持って言えることじゃないのに変に場をかき乱すのもアレだなって思ったんだよ。

それに今だって、それが正しいってなったわけじゃないしな。


「そっか。まぁ、それが正解だとも不正解だとも言わないよ。教えないとさっき言ったしね」

「そんな! この呪いは早急になんとかしたいんです! どうかお願いします」

「『眠り姫』ちゃん、いや、今は『歌姫』ちゃんかな? いくら頼まれても、無理なものは無理だ。そちらにも色々と理由はあるのだろうけど、こちらにも理由があるし、何をどう言われても考えを変えるつもりはない。すまないけど、諦めてほしい」


会長さんの頑なな態度に恵さんも口を噤んでしまった。

そして今度は三人とも俺の方を見る。


……はぁ


最初の態度の変わりようからなんとなくわかったけど、ね。

マジかよ……となるとやっぱり、話をしにいくべきかねぇ……


「なぁ三人とも、ちょいとこの部屋からでてっくんね?」

「え? なんで?」

「風紀委員での、秘密の話し合いなんだ。すぐに終わる、頼む」


うまい言い回しが思いつかなかったせいで、なんとなく三人にヒントを与える形になってしまった気がする。

とはいえ、ここは言い訳とかしないでおこっと。


「うん……わかった」

「悪いな。恵さんもすみません」

「い、いえ。その……」

「また後で話し合いましょう。俺も話せることは話しますので」

「は、はい」


そう言って三人が一度お辞儀をして部屋を出ていく。


扉がガチャリと閉められたところで、一度溜息をついてもう一度会長に向き直る。


「さて会長さん。もう一度聞いていいですか?」

「聞くのは自由だよ。ご自由に」

「そうですか、では」


これは疑問というより、確認に近い気もするが



「俺にも(、、、)、教えてはもらえませんか? スキルの女の子(、、、)のこと」



果たしてこの俺の挑発に近い言葉の返しは


「ごめんね」


にこやかな一言であった。


「そですか……ははっ、自分で解決しろってことっすかね〜」


その顔に不利を悟り、面倒になってきたので責任とかを放り出す。

ずっと張り詰めていた緊張とか俺に似合わない真面目さとか、全部を放り捨てて、いつも通りのヘラヘラとした笑いを顔をへばりっつけてぽりぽりと頭を掻く。


なんか一人緊張してた俺が馬鹿みたいだな。


さて、すぐに終わるってハルにも言っちゃったし、俺も戻るかぁ。


「ユウマくん」


いざ帰ろうと俺が扉に手をかけると、会長さんが俺を呼び止める。


「はい」

「頑張ってっね。教えはしないけど、応援はしてるよ」


その会長さんの言葉に、数秒硬直し、軽く吹き出した。

そしてそのまま、思ったことを口にする。


「俺としては、応援より手助けしてほしいんですけどね」

「はははっ、そうはいかない。人に頼りっきりは良くないぞ」

「そりゃそうだ。んじゃ、俺は行きますね」

「あ、ユウマくん。最後に一つだけ」


今度こそと扉に手をかけるが、又しても呼び止められる。

今度はウゥっと軽くつんのめりながら、もう一度振り返る。


「な、なんすか?」

「君最近、風紀委員としての自覚が薄くなってる気がするよ? ダメじゃないか、パートナーとは出来るだけ一緒に行動するようにって言ってあっただろう?」

「は、はぁ」


確かにそんなルールを忘れてたけど、この人はわかっているのだろうか。

今(、)、そのことを口に出す、意味というものが。


いや、当然わかっているだろう。

わかっているであろう笑みで俺を見ながら、会長なりのエールを受け取る。


「まったく…………ベルちゃんは、今別棟の図書室にいるらしいよ」


どうやら、応援してくれるというのは本当のようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。