友達とは世界の宝である!!
『ラギア魔法学院』
魔導士の国『ラギア・マジック』に存在する魔導士を育成する学校だ。
『ラギア・マジック』の総面積は450.000㎢。
その中でもラギア魔法学院は総面積10㎢という広大な領土を有しており、中は主となる学校と、その周りに店や訓練所、寮などで出来ている。
その面積の他にも、山やその他もろもろの土地を、それはもう果てしなく保有しているそうだ。
もはや魔法学院自体が国で、ラギア・マジックはさしずめ、島と言っていいような広さである
学校自体はまだ見た事がないが、まぁ凄そうだ。
そしてここは
『図書館』か
『図書室』じゃないぞ?
ここは学校内だが、『図書館』だ。
だって広さが半端じゃないんだもん。
何これ。あらゆる場所に『本』『本』『本』!!!
ピシッ〜〜〜! と整えられた本棚達。
その数、数万、数十万は下らんだろう。
大〜〜きな、縦長〜〜な机が幾つかと、小さな机が多数設置され、中央には大きな丸いステージが作られている。
今自分たちがいるこの入り口は2階だろう。下が一望できる。上にもう1つ階段があるから3階建てなのだろう。
大きな階段はココのみ。壁際に幾つか階段が設置されている。
図書館なのに物凄く明るいな。天井まで一直線に繋がっているからだろうか?
中央のステージを飲み込むように、その辺りだけ2階からポックリ穴が開き、天井まで繋がっている。
人はかなりいるが静かな方だ。
めっちゃいるな
これ全員入学生か?
黙って本を読んでいる奴もいれば、談笑している奴、どこか落ち着きがなくソワソしている奴、人それぞれだった。
うはぁ〜〜天井高っけぇ〜〜。
しまいにゃ正方形の本棚が空中に浮いてる。魔法で浮かせているとして、どうやってあの本取るの?
「大っきいねぇーー」
「大きいより、広いという言葉の方があってると思うぞ?」
「ねぇねぇ!早く本読もぉー!ほら早くぅ!」
「……聞けよ」
すてててぇぇ! と駆けていくハルカを横目に、俺は周りの本を見渡す。
本当に良い本ばっかだな。
ここの管理人は本好きなのかもしれない。
俺はそういうの嫌いじゃない。
「わぁ〜この本面白そぉー!えーと、ん? え? うぇ?」
「どうした?」
「読めない」
涙目でそう訴えてくる。
知るか!
言葉くらい少しは読み書きできとけよ。
俺も人の事は言え……ない……が?
「ああ。これ昔のミリアル語じゃん。俺読めるぞ? 読んでやろうか?」
「本当!?」
「今度な」
「何で!」
そろそろ始まるみたいなんで。
『入学式』
そもそも入学式がなんで図書室?
こういうのって普通違くない?
ポカアァァアン!!!
静かな図書館に、派手なクラッカーの様な音が鳴り響く。
音のなった場所に皆の注目が集まる中、何も無かったはずのステージに、いつの間にかフヨフヨと浮遊している小さい球体があり、そこから声が流れ始めた。
『やあやあ! 諸君! まずはおめでとうと言わせてもらうよ! 入学おめでとう!! 私は理事長の『ヘラ・アフラン・アヌビ』。かなり高位の魔導師であると自負しているよ。
私がこれから君たちの通う学校の総取り締まり役だ。呼び方は何でも良い。好きに呼んでくれたまえ。宜しくね。
しかし長ったらしい話をするつもりは無い。そんなのは面白く無いし、君たちにとっても苦痛だろう。
そこで! 私は君たちをここに呼んだのだ!! ゲームは好きかな?
この書物庫には、私の所有している『魔道書』コレクションの一部が保管されているんだ。魔導士である以上必要不可欠な『魔道書』!! それを見事見つけた人には、何と何とその魔導書をプレゼント!! しかもその中の魔導書の幾つかは、あの『古代魔法』の魔導書なんだ!!さぁ頑張ってぇ!宝探しのスタァートだぁ!!』
――――――ウッ!
―――ウォォォォォォォォォオオオオオオッ!!!!!
その場にしばしの静寂が走り、そして雄叫びが上がった。
うわぁお。うるせぇ〜〜〜。
あーあぁ。皆んな血相変えて本棚探って。
あぁーあぁー。
『あっちなみに、ここ全寮制だから。パンフとかでもう知ってるとは思うけど、取り敢えず寮の場所もマップに映ってるから。荷物とかも移してない人は移しといてね。…………あーーていうか誰も聞いてないのね。まあいいや。以上! 理事長からでした!! 入学式終了!!! また明日ねぇ〜』
プッツンという気の抜けた音が響いたが、聞いたの俺だけだろうな。
さてと、入学式も終わったしさっさと寮に荷物移してゆっくりするとしますかぁ〜。
「えっ! ちょっ! ちょっと待ってよぉ〜。ユウマ、魔導書入らないの!?」
全力で探そうとしていたらしいハルカが大声を上げる。
「? どうして?」
「どうしてって。だって古代魔法だよ!?」
「ああ。あの遥か昔に存在し、強大な力を与えると言われている魔法だろ? どうせ探してもこんな広いとこじゃ骨折り損だし。普通の魔導書だって十分使える。それに古代魔法ったてそんなに珍しいもんでも無いらしいしな。ただ見つかりづらいってだけで。何より契約が面倒くさそうだ。俺はパス」
「え、えっ! え、う〜〜! ちょっと待ってよぉ〜〜」
そそくさと歩き出す俺に何故か走って付いてくる。
「そんな悔しそうな顔をしてまで俺についてくる必要なんて無いだろ。そもそも何で俺について来るんだ?」
「へ?」
そんなキョトンっとされましても
「だって私たちもう友達でしょ?」
「はっ? いつ俺たちが友達になったんだ?」
それともう1つ疑問だ。
友達だということは置いといと、なんで友達だったらついてくるという発想になる?
「えぇぇぇえ!!」
いや、そんな驚かれましても。
ねぇ。
「それ思っても口にする!? ううっ、酷いよ! そういうの結構心にくるんだよ?」
うん。
知ってる。
「もういいじゃん! 友達で!」
「あ、ああ。わかったわかった。わかったからちょっと落ち着け」
「うむ。素直でよろしい!」
イラァッ
「ああそうだな。俺たちは友達だ。そうだハルカよ。腹が減ったから飯おごってくれないか?あ!あとちょっと小遣いもくれよ。友達なんだからそれぐらいはしてくれるよな?」
「うっ!?、い、いいよ。そ、それくらい」
言ってることはただのカツアゲなんだが。
まぁただのイラつきをぶつけているだけだ。
犯罪にはならなかろう
「そうそう。欲しい武器があったんだよ。何ソードつったかな? まぁそれも頼む」
「ちょっ! それは…………」
「アイテムも一式揃えたいなぁ。勿論俺の言うやつ全部買ってくれるよなぁ? なにせ、友達だもんなぁ?」
「うぐ!?」
はははっ。あー楽しい。
こいつの反応なかなかつぼだなぁ。
まぁ、こいつと友達ってのも悪く無いかも知んない。
「あ〜あとぉ」
「うわあぁぁあ!!ユウマ様ぁぁ!!もう止めれぇぇぇえ!!」
「ははっ。冗談だよ」
「へ?」
ポンッとハルカの頭に手を乗っける。
「お前子供の頃からこの国に住んでるんだっけ?」
「そ、そうだけど」
「んじゃ、取り敢えずこの国について知りたいんだ。歴史とか武器屋とかレストランとか。そういう事教えてくれよ。友達なんだからそれぐらいはいいだろ」
「えっと。それはつまり?」
あーもう!
言わすなっての!
「友達だって事! おし! んじゃ取り敢えず飯にしようぜ。ハルカ、美味いとこ知ってる?」
「あ。呼び方はハルでいいよ。う〜と。確か美味しくて安いお店がこの近くにあったはず」
「了解」
「う〜ん。友達とこういった話するの夢だったんだ〜」
ほう、夢とな
「なるほど。ああ、そう。言い忘れてたけど、飯代全部ハルの奢りな?」
「何で!?」
「だって夢だったんだろ? 友達に奢るのが」
「それは夢じゃない!!!」
『ラギア魔法学院』の総面積が狂ってたので、10㎢に直しました。