久方ぶりのガチャ! 十連祭 ①!!
「おーい。そろそろ起きろー。おーい。もしもーし」
「う〜ん……あと五年……」
「あれ! 常套句かと思いきや単位が違うよ!?」
どんだけ寝過ごす気だお前は。
オリンピックになったら起きる超能力者も真っ青だ。
「寝ぼけてないでさっさと起きろって。いつ結界が作動するかわかったもんじゃねぇ。頼むから早く起きてくれ」
「う〜……ぬぁ〜にぃ……って! なんでユウマが私の部屋に!?」
「ここは俺の部屋だぁ!? 使い古されたような寝ボケネタを使うのもいい加減にしろ! 」
しばらくよだれを垂らしながら目をくしくしとこすっていたが
理解するや否や速攻で不穏な発言をぶち込んでくれた。
わぁぁぁ! 見ろ!
変な警報みたいなもんがなり始めたじゃねぇか!
誤解だって!?
「あぁ、寝ちゃってたみたい。ごめんねユウマ」
「ああ、別に大丈夫だよ」
警報も止んだしね。
「あれ? そういえばメダルってどれぐらいたまったんだっけ?」
そのハルの言葉に口角が釣り上がる。
腕の中で弄られていた500ディラー硬貨をピッーンと上には値上げ、パシッと取りハルを指差す。
「ドラゴン討伐数六体! メダル総獲得数10枚だ!」
最初討伐した一匹を魔力に変換したら、メダルが残らなかった。
それ以降魔力に変換することなくメダルに変換させたが、一匹当たり2枚。
最初のとんでもない魔力を補充しながらメダルを3枚も残したあの翠竜が懐かしい……
が、合計は13枚。
夢の龍ガチャ連ガチャが可能になったのである。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「えー……と。何連にするか、取り敢えずキリがいいから、10連でいいか」
カラララッっと数字を10で止める。
基本偶数だからな。俺が連ガチャ引くの。
いや〜それにしても楽しみだなぁ〜。
ニヤニヤ が 止まら ない!
それも今回は初めての超激レアガチャときたもんだ。
楽しみ数倍!?
『龍ガチャ・10連:龍メダル1×10=龍メダル10枚を使用します。宜しいですか?
はい/いいえ』
「はい、っと」
はいを選択すると周りのメニューウインドウが全て閉じられる。
さあってと〜……ここからがガチャの始まりだ……
ポキッポキっと指を鳴らす。
《うぃーすユウマ乙〜。青春とかマジ乙〜。つーか滅びれば? 爆発しろよ礼儀として。勿論微分小レベルで》
出てきて初めに言うことがそれかお前は!?
「うっさい」
《俺様ちゃんも若え頃はそれはもう……》
「あーそーゆうのいいんで。サッサッと回してくれ」
ぶすっとした表情はすぐににかっと変化して、マイクを取り出した。
《ほんじゃ派手に行きますかぁ〜!!! 俺様歌って踊れるルゥーレットォォオ!! レディィイ!ゴォォォォォオ!!!!!》
ルーレットがガガガガガガガンと火花を散らしながら勢いよく回り出す。
頼む!?
俺が祈るように手を組んだ瞬間、見たこともない画面が繰り広げられた。
回り始めたガチャから、アイテムが排出されずに一度フリーズする。
バグか!? と思った次の瞬間。
画面の端からひょっこりと金色をしたルーレットがフリーズしている鉄錆色のルーレットに激突し
『ボーナスチャンス!』
という文字が出てきた。
気分が高揚してくる。
こういうガチャでこんな感じのがくると、気分が高まってくるのは当然の摂理である。
『ボタンをタップ!』
という文字が出たと思うと、金色に輝くボタンが出てきた。
その上に00:10という数字が出てくる。
『スタート!』と画面が変わるや否や俺はただひたすら画面を殴り続けた。
そのたった10秒の間。
その全てに、我らガチャ勢の愛と勇気と夢と希望とあんぱんが詰まってるんだ。
ほあたたたたたたたたたたたたたたたたたたたっっっぁぁぁぁあ!!!!
若干裏返った声で俺の全てをぶつけた。
ふっ……貴様はすでにボンッだぜ。
まぁ、そんなこんなでボーナスチャンスは成功したっぽい。
良かった良かった。
気を取り直して回りだした金色の鬼ルーレットの口から
10個の宝箱が排出……さ、……れ……
あれ?
全部、レアアイテム?
え? マジでっ!!!!
《ユウマ〜お前運がいいなぁ〜。珍しいガチャ引いてるときにボーナスチャンスなんて》
「ごめん。そういう設定があること自体初耳なんだが、何それ?」
《あれ? あ、そういえばマスターがそんな設定組み込んでたっけ。内緒にしてたのは、お前を驚かせたかったんじゃねぇか? いい意味で》
そ、うかな。
兄貴ならやりそうな話だが。
「で? そのボーナスチャンスってのは具体的になんなのよ?」
《超極稀に出現するルーレットだよ。選んだランクのガチャから排出されるアイテムをレアアイテムだけにしてくれるやつだ。ランクが高いガチャになっていくにつれて確率も下げてあるから、だいぶ運がいいぞ今日のお前》
「ねーレアアイテムってなんなの〜」
いつの間にか蚊帳の外だったハルが控えめに聞いてくる。
「そうだな。ハルでいう、超凄いアイテムのことだ。師匠とかがそうだな」
「ほーほー」
今は師匠は背中に担いでない。
スマホん中だ。
「ま、中身確認してみようぜ」
もう我慢できん。
「うんうん」
○●○
『霊獣ライノスの呪檻』
レア度:☆☆☆☆☆☆★★★★
道具
効果:聖十神獣の一匹『ライノス』を死ぬまで閉じ込めたと言われる暗黒の檻。
霊獣となったライノスの死に際の呪いにより、この檻の中に閉じ込められたものは一定時間ありとあらゆる方法を用いても脱出は不可能。
鉄格子の隙間には特殊な多重結界が張られており、この世にあるものならばなんであろうと閉じ込めることができる。
制限時間は最長で1時間。使用者が解放すると命じれば解放は可能。
使用後に呪いが解除されるかは運次第。
制限:閉じ込められるのはその檻の中に入るもののみ。
○●○
それを二人で読み上げ、二人で顔を見合わせる。
そして同時にブンブンと首を振る。
ちょっと待て!?
最初っからとんでもないもんが出てきたなおい!?
いや、使い道は非常に多そうなアイテムなんだけど。
物騒すぎるだろぉ……
「す、凄いね」
「凄すぎて俺は今にも吐きそうだよ」
じゃ、じゃじゃあ、つ、つつつ次にい、い行こうかぁぁあ
○●○
『食変の粉』
レア度:☆☆☆☆☆☆★★★★
道具
効果:この粉をかけたものは全て食べ物となる。
失われた物をこの粉で食べ物にし食すと、その失われたものを取り戻すことができる。主に部位欠損の治療に行われる。
制限:無し
○●○
「……っ〜!」
あー頭がいたい。
ちょっと落ち着こうか、失われたものを食せば取り戻せる。部位欠損に使われる。
それって例えば、切り飛ばされた自分の腕とかにこの粉をまぶして……
ふぅ……これ以上考えないようにしよう。
「ハル。大丈夫か?」
「う、うん。なんとかぁ」
そうか、なら次に行こう
○●○
『メイジースギルの古文書』
レア度:☆☆☆☆☆☆★★★★
道具
効果:魔導皇帝と呼ばれた男『メイジースギル』が書き記した魔導に関する書。
魔導書と契約した魔導師が読むことで、使用者の魔力総量を倍に膨れ上がらせ、その魔導書の専用魔法を一つランダムで取得できる。
制限:古文書に記された文字を読めるのは最初に使用した者のみ。
一度読み終えると文字が消え去り、記憶からも消え去りただの本となる。
○●○
目をむいてハルと見つめ合う。
な、なんですと……
いやいや、焦るな。
もう一度読んでみる。
そしてハルと見つめ合う。
「マジか……」
「マジだね……」
「やばいな……」
「やばいなんてもんじゃないよ」
そりゃそうだろう。
魔導皇帝メイジースギルっていえば、この魔導師の国『ラギア・マジック』を作り出した人だ。
その人の直筆の古文書。
読まずに永久保存したい。
だが、驚くのはその効果。
はっきり言って。国宝をはるかに凌ぐ一品だ。
値にしたら、この国なら数百億 はくだらんだろう。
魔導師なら誰もが欲しい一品だろう。
「ふむ」
チラリとハルを見ると
「そんなキラキラした視線を送るなよ。もちろんお前にやるさ」
すげえ視線を送ってた。
まぁ欲しいならやるよ。魔導師ならみんな欲しいと思うけどな。
「ん? な、なんだよ」
欲しいとは思っていたがもらえるとは思っていなかったのか、ぽけ〜とした表情をしている。
「おいなんだよ。なんか言えよって、うぉわ!?」
ぶわっといきなり泣き出した。
「ご、ごめん。なんか俺悪いこと言ったか?」
狼狽えて宥めるように俺がそう言うと、うわんうわんと泣きながら首を振った。
聞いたところによると、嬉しさと申し訳なさが同時に心の中で満たされ、涙が出たようだ。
こんな凄いものをもらえるというのは嬉しいが、同時にやっぱり私はもらってばっかりなんだと思ったら申し訳なくなり、それでも嬉しくて……そんなこんなで泣けてきたらしい。
んな大袈裟な……
いや、大袈裟じゃないのか?
これを売れば一生遊んで暮らせる金がもらえるわけだし。
「まぁ俺は今は一生遊んで暮らせる金なんていらないし。魔力総量を倍にするったって、俺の魔力総量0は0だし。
専用魔法一個取得は確かに魅力的だけど、それは訓練次第でどうとでもなるし。
んで、魔導士の誰かが得するっていうんなら、俺はハル、お前に得して欲しい」
うっ、言っててなんか恥ずかしくなってきたが、ええい、いいじゃんか!
これが俺の本心じゃい!
「ワード入力『メイジースギルの古文書』」
一旦アイテムの説明を後回しにして、今出たばっかりのアイテムを具現化する。
「ほい。やっぱりプレゼントというのは相手が一番喜んでくれるものがいいよな。
それに、もらってばっかりだって申し訳なく思うんなら、ハルの今でも膨大と言えるその魔力総量を倍にして
今後の戦闘とかで返してくれればいいさ。
ほら、俺ってグイグイ魔力使うからさ、俺の補充してる魔力じゃ足りないし」
結局恥ずかしくなってしまい最後までかっこつけられず
茶化してふざけたように笑って、古文書を手渡しする。
それを驚いたような表情で受け取った。
「うん。ありがとう。頑張る」
それでもハルが涙が残った顔で満面の笑みで笑ってくれたので、俺も自然と笑顔ができた。
暫く、古文書を力強く抱きかかえながら「頑張る……頑張るから……」と言って泣くハルの頭を撫でてやっていた。
いつ結界が作動するかで、常にビクビク怯えていたせいで
そういう方向に意識が向かずに結界に捕まらなかった今回のユウマ君です
チッ!
おっとっとっ。




